表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/53

Stage29 戻ってきた笑顔♡アイデレラのラストライブ!

 ここなはゆっくりと目を覚ます。外では、鳥の鳴く声が聞こえている。


「目が覚めたか、ここな」


 ベッドの横には、トーン、ゆきね、ミュアンの姿があった。


「あれ……? ここ、私の部屋……?」


「そうなの。ステージの上で光に包まれた直後、あなたが倒れてたから、びっくりしたの」


 ゆきねが、今までのことを簡単に話した。


「トーン、ゆきね、ミュアン、ありがとう。一緒にいてくれて」


 ここなは、とびきりの笑顔をトーンたちに見せる。ここなは、もう絶望のどん底にいたあのときのここなではない。


 ★


 ぐっすり眠れた翌日、ここなは学校に向かう準備をする。体の重さは感じられず、てきぱきと制服に着替える。


「行ってきまーす!」


 と言って家を出る。その足取りは今までより一番軽やかだ。あっという間に学校に着くと、教室に入る。


 するとクラスメイトたちが、ここなに駆け寄ってくる。


「わ、私、何かした……?」


 またいじめられるのではないかと考えたここなの声は、少し震えていた。


「ここな、今までごめん。いじめてきて」


「ここなが、アイデレラというアイドルの一人として、変な怪物をやっつけるところ、クラスのみんなが間近で見たんだ」


 アイデレラ・オーシャンがここなであることは、クラスのみんなに知られたようだ。


「ここながいなかったら、あの怪物今でもいると思うし、感謝しかないよ」


 クラスメイトたちは、ここなに対して謝罪と感謝の気持ちを述べていく。


「うう……わああああ……!」


 ここなの心の中の穴が、少しずつふさがっていく。温かい涙が、ここなの頬を伝っていく。そして大声を上げた。クラスメイトたちは、誰もここなを責めることはなかった。


 ★


「よかったな、ここな。クラスのみんなに理解されて」


 学校の帰り道、ここなはトーンと一緒に歩いていた。


「ここな、大事な話がある」


 ここなの表情が、少し硬くなる。


「僕とミュアンは、ミューグダムに帰らないといけなくなった。だからアイデレラは、活動を終了する必要がある」


「えっ……」


 ここなは、時間が止まっているような感覚を覚えた。


「だからここな、ミューグダムでアイデレラ最後のライブをみんなでしてほしい」


「……分かった」


 自分をたくさん助けてくれたトーンと、お別れのときが来るなんて。受け入れられないここなだったが、うなずいたのだった。


 ★


 ここな、ゆきね、ミュアン、トーンは、平和なミューグダムにやってきた。ライブの準備をする。


「みんな、いくよ」


 ここな、ゆきね、ミュアンは手を重ねる。


「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」


 ブライトマイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。


 ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。


「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」


 こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。


「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」


 ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。


「 「つややかなヘアー!」 」


 そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。


 変化が完了し、ターンをする。


「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」


「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」


 オーシャンとスノーが名乗った。


「ミュー!」


 ミュアンが鳴き声を上げると、首輪についているミュージックプリズムの飾りが光る。


 光の中で、ミュアンは人間の姿になっていく。そして体が、黄色い光に包まれた状態となった。


「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」


 こう唱えると、ミュアンにパンプスが装着される。


「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」


 ステップを踏んでいるミュアンに、衣装やアクセサリーが装着されていく。


「つややかなヘアー!」


 そしてミュアンの髪が、金髪のロングヘアーに変化する。


 変化が完了し、ターンをすると、ミュアンはこう言う。


「きらめく可愛さ! アイデレラ・キューティー!」


 キューティーが名乗ると、ステージの上に三人が現れる。


「悲しみを!」


「幸せの歌に変える!」


「みんなに届け!」


 スノー、オーシャン、キューティーの順にセリフを放つと、ユニット名を名乗る。


「 「私たち、I♡DERELLA(アイデレラ)!」 」


 ミューグダムの住民である動物たちが、温かく拍手をする。


「今日も夜が明けて〜」


「きらめく一日が〜始まる〜」


 カラフルなサイリウムが振られ始める。


「今日のことだけ考えて〜」


「今が一番大切だから〜」


 歌っている間、三人は今までのことを思い浮かべていた。初めてステージに立ったとき、強い敵が現れて苦戦したとき、みんなで助け合ったとき、ライブや握手会を成功させたとき……。


「今日の自分が〜」


「一番きらめいているから〜」


「 「未来はもっと〜いい自分になるよ!」 」


 とポジティブな歌詞で締めくくる。あっという間だと三人は感じていた。


「よし、もう一曲歌おう!」


 スノーの言葉に、オーシャンとキューティーは笑顔になる。


「人はみんな~誰かのために~生きている~」


「傷つけるためじゃない~」


 三人は、別の曲を歌い始める。これも、アイデレラの想いが詰まった曲だ。


「誰だって失敗するけど~」


「無駄なものじゃない~」


 みんなを元気づける歌詞を、メロディーに乗せていく。


「みんな一人ひとり~かけがえのない人~」


「いらない人なんて~誰もいない~」


「だからできることに~自信をもって~」


「 「You are forever friends~」 」


 綺麗な歌声が重なり、曲が締めくくられた。沸き起こる拍手は、とても温かく、しばらくの間止まなかった。


「みんなー! アイデレラを応援してくれてありがとうー!」


「私たちのライブは、今日で最後になるけれど、アイデレラは永遠に、みんなを元気にしていくよー!」


「ここでライブができて、私たちは幸せものだよー!」


 スノー、オーシャン、キューティーの順に、感謝の言葉を言った。ミューグダムの住民たちは、アイデレラの活動終了を惜しむように、拍手を続けている。


 そしてオーシャン、スノー、キューティー、トーンは、数えられないくらいの間、抱き合い続けるのだった。


 これは四人にとって、一生忘れられない思い出となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ