Stage29 戻ってきた笑顔♡アイデレラのラストライブ!
ここなはゆっくりと目を覚ます。外では、鳥の鳴く声が聞こえている。
「目が覚めたか、ここな」
ベッドの横には、トーン、ゆきね、ミュアンの姿があった。
「あれ……? ここ、私の部屋……?」
「そうなの。ステージの上で光に包まれた直後、あなたが倒れてたから、びっくりしたの」
ゆきねが、今までのことを簡単に話した。
「トーン、ゆきね、ミュアン、ありがとう。一緒にいてくれて」
ここなは、とびきりの笑顔をトーンたちに見せる。ここなは、もう絶望のどん底にいたあのときのここなではない。
★
ぐっすり眠れた翌日、ここなは学校に向かう準備をする。体の重さは感じられず、てきぱきと制服に着替える。
「行ってきまーす!」
と言って家を出る。その足取りは今までより一番軽やかだ。あっという間に学校に着くと、教室に入る。
するとクラスメイトたちが、ここなに駆け寄ってくる。
「わ、私、何かした……?」
またいじめられるのではないかと考えたここなの声は、少し震えていた。
「ここな、今までごめん。いじめてきて」
「ここなが、アイデレラというアイドルの一人として、変な怪物をやっつけるところ、クラスのみんなが間近で見たんだ」
アイデレラ・オーシャンがここなであることは、クラスのみんなに知られたようだ。
「ここながいなかったら、あの怪物今でもいると思うし、感謝しかないよ」
クラスメイトたちは、ここなに対して謝罪と感謝の気持ちを述べていく。
「うう……わああああ……!」
ここなの心の中の穴が、少しずつふさがっていく。温かい涙が、ここなの頬を伝っていく。そして大声を上げた。クラスメイトたちは、誰もここなを責めることはなかった。
★
「よかったな、ここな。クラスのみんなに理解されて」
学校の帰り道、ここなはトーンと一緒に歩いていた。
「ここな、大事な話がある」
ここなの表情が、少し硬くなる。
「僕とミュアンは、ミューグダムに帰らないといけなくなった。だからアイデレラは、活動を終了する必要がある」
「えっ……」
ここなは、時間が止まっているような感覚を覚えた。
「だからここな、ミューグダムでアイデレラ最後のライブをみんなでしてほしい」
「……分かった」
自分をたくさん助けてくれたトーンと、お別れのときが来るなんて。受け入れられないここなだったが、うなずいたのだった。
★
ここな、ゆきね、ミュアン、トーンは、平和なミューグダムにやってきた。ライブの準備をする。
「みんな、いくよ」
ここな、ゆきね、ミュアンは手を重ねる。
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
ブライトマイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
オーシャンとスノーが名乗った。
「ミュー!」
ミュアンが鳴き声を上げると、首輪についているミュージックプリズムの飾りが光る。
光の中で、ミュアンは人間の姿になっていく。そして体が、黄色い光に包まれた状態となった。
「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」
こう唱えると、ミュアンにパンプスが装着される。
「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」
ステップを踏んでいるミュアンに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「つややかなヘアー!」
そしてミュアンの髪が、金髪のロングヘアーに変化する。
変化が完了し、ターンをすると、ミュアンはこう言う。
「きらめく可愛さ! アイデレラ・キューティー!」
キューティーが名乗ると、ステージの上に三人が現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「みんなに届け!」
スノー、オーシャン、キューティーの順にセリフを放つと、ユニット名を名乗る。
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
ミューグダムの住民である動物たちが、温かく拍手をする。
「今日も夜が明けて〜」
「きらめく一日が〜始まる〜」
カラフルなサイリウムが振られ始める。
「今日のことだけ考えて〜」
「今が一番大切だから〜」
歌っている間、三人は今までのことを思い浮かべていた。初めてステージに立ったとき、強い敵が現れて苦戦したとき、みんなで助け合ったとき、ライブや握手会を成功させたとき……。
「今日の自分が〜」
「一番きらめいているから〜」
「 「未来はもっと〜いい自分になるよ!」 」
とポジティブな歌詞で締めくくる。あっという間だと三人は感じていた。
「よし、もう一曲歌おう!」
スノーの言葉に、オーシャンとキューティーは笑顔になる。
「人はみんな~誰かのために~生きている~」
「傷つけるためじゃない~」
三人は、別の曲を歌い始める。これも、アイデレラの想いが詰まった曲だ。
「誰だって失敗するけど~」
「無駄なものじゃない~」
みんなを元気づける歌詞を、メロディーに乗せていく。
「みんな一人ひとり~かけがえのない人~」
「いらない人なんて~誰もいない~」
「だからできることに~自信をもって~」
「 「You are forever friends~」 」
綺麗な歌声が重なり、曲が締めくくられた。沸き起こる拍手は、とても温かく、しばらくの間止まなかった。
「みんなー! アイデレラを応援してくれてありがとうー!」
「私たちのライブは、今日で最後になるけれど、アイデレラは永遠に、みんなを元気にしていくよー!」
「ここでライブができて、私たちは幸せものだよー!」
スノー、オーシャン、キューティーの順に、感謝の言葉を言った。ミューグダムの住民たちは、アイデレラの活動終了を惜しむように、拍手を続けている。
そしてオーシャン、スノー、キューティー、トーンは、数えられないくらいの間、抱き合い続けるのだった。
これは四人にとって、一生忘れられない思い出となった。




