Stage27 終わりの始まり!?運命をかけたライブ
「ううーん……」
目を覚ますと、ここなは自分の部屋にいた。その隣にはトーンがいる。
「ここな、大丈夫か? 急に倒れたから。すごい熱があるよ」
ここなは、かすれたような声しか出せなかった。
「ごめんね……」
「いいんだよ。謝らなくて」
トーンはここなを少しも責めず、優しく頭を撫でてあげた。
「クリスマスケーキ、一緒に食べる約束だったのに……」
「今日中なら一緒に食べられるよ。ここなの体調がよくなれば。賞味期限は明日だから」
「……」
「もう少し寝るか?」
ここなは小さくうなずくと、再び眠り始めた。
★
次に目を覚ますと、すでに外は暗くなっていた。たくさん寝たからか、体調は少しだけ回復しているように感じた。
「ここな、体調はどうだ?」
「少し、よくなったかも……」
「クリスマスケーキ、食べられそうか?」
「うん……」
トーンは一旦部屋を出て、クリスマスケーキを取りに台所へ向かう。
「ケーキ持ってきたよ」
トーンは近くの机にケーキの箱を置くと、それを開ける。そしてお皿の上にケーキを移す。トーンはケーキにフォークを刺すと、ここなにそれを近づける。
「ほら、あーんして」
トーンは、フォークの先のケーキを、ここなの口に入れた。ここなは、思わずにっこりする。
「よかった、美味しいみたいだ」
ここなの反応を見たトーンは、再びフォークをケーキに刺すのだった。
★
食欲があったここなは、トーンと一緒にクリスマスケーキを食べ切った。それからここなは再びベッドで横になる。
「トーン……ありがとう……」
ここなはそう言って、トーンの手を握った。じんわりと温もりが伝わってくる。そしてそのまま眠り始めた。
トーンはしばらくの間、ここなの手を離さなかった。そのとき、外では静かに雪が降り続けていた。
★
「明けましておめでとう!」
年が明ける頃、ここなの体調は万全になった。そのとき、トーン、ゆきね、ミュアンがここなの家に集まり、新年のお祝いをした。
「ここな、熱を出したみたいで心配だったの。お見舞いに来れなくてごめんね」
「気にしなくていいよ。トーンがずっとそばにいてくれたから」
ここなは、ゆきねとミュアンに熱を出したときのことを話していた。ゆきねはそのときライブで、ここなの家に行けなかった。
★
ディスコーズのアジトにて、クローザが体を震わせていた。
「はあ……この手で……アイデレラを、滅ぼしてやるわ……! 見てなさい、私の秘密兵器を……!」
クローザはそこで、ある魔法をかける。
★
「わっ、なんだこれは!?」
トーンは、SNSを見て思わずびっくりする。
「変な怪物がいっぱい現れた!」
といった投稿が、一気にたくさん流れてきたのだ。
「みんな、これを見るんだ!」
とトーンがスマホの画面をここなたちに見せる。
「サッドンが……たくさん……!」
ゆきねが窓の外を見ると。
「なっ……!」
外には、気を失ってしまいそうなくらいの大量のサッドンが湧いていた。
「何が起こっているの……!?」
「きっとクローザの仕業だ! アイデレラのライブで、きっとサッドンたちをやっつけられるよ!」
「みんな、変身しよう!」
大量のサッドンに立ち向かうため、ここなたちは変身の呪文を唱える。
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
ブライトマイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
オーシャンとスノーが名乗った。
「ミュー!」
ミュアンが鳴き声を上げると、首輪についているミュージックプリズムの飾りが光る。
光の中で、ミュアンは人間の姿になっていく。そして体が、黄色い光に包まれた状態となった。
「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」
こう唱えると、ミュアンにパンプスが装着される。
「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」
ステップを踏んでいるミュアンに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「つややかなヘアー!」
そしてミュアンの髪が、金髪のロングヘアーに変化する。
変化が完了し、ターンをすると、ミュアンはこう言う。
「きらめく可愛さ! アイデレラ・キューティー!」
キューティーが名乗ると、ステージの上に三人が現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「みんなに届け!」
スノー、オーシャン、キューティーの順にセリフを放つと、ユニット名を名乗る。
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
オーシャンたちは、ライブ会場の雰囲気がいつもと違うことに気づく。
「大量のサッドンに対抗するため、このライブ会場は日本全国に広がっているんだ!」
「ええー!?」
「確かに、サイリウムの海が果てしなく続いてる……」
驚きの声を上げるオーシャンとスノーと同時に、ミュアンは冷静につぶやく。観客はサッドンに押しつぶされそうになっているが、サイリウムを懸命に上げている。
「よし、私たちのライブを見せよう!」
曲が流れ、オーシャンたちが歌い始める。
「人はみんな~誰かのために~生きている~」
「傷つけるためじゃない~」
悲しみを打ち消そうとする歌声が、日本中に響く。
「誰だって失敗するけど~」
「無駄なものじゃない~」
アイデレラのライブは、テレビでも中継された。
「あの子たち、すごい歌が上手……」
ここなの母親もテレビからライブを見ていた。
「みんな一人ひとり~かけがえのない人~」
「いらない人なんて~誰もいない~」
「だからできることに~自信をもって~」
「 「You are forever friends~」 」
オーシャンたちが歌い切った、そのとき。
「♪☆¥$○・¥¥$〜!」
なんとサッドンたちが、不協和音を響かせながらアイデレラのステージに上がってきたのだ。不協和音によって、ステージに少しずつヒビが入っていく。
「きゃあああ!」
ステージが壊れ、オーシャンたちは外に投げ出されてしまった。
「みんな!」
とトーンが悲鳴を上げる。
「これで私の勝ちが決まったわね。悲しみと不幸でいっぱいの世界がもうすぐ完成するわ」
倒れている観客たちに紛れて、勝利を確信したクローザがつぶやいた。そして、思いっきり口角を上げた。
一方、ステージから投げ出された三人は、変身が解けてしまっていた。ここな、ゆきね、ミュアンが気絶した状態で地面に横たわっていた。
アイデレラ、そして日本の運命はいかに!?




