Stage25 悲しみに満ちたミューグダムを救え!(1)
ディスコーズのアジトにて、一人の女がアイデレラのフェスの様子をモニターから見ていた。
「デッドエン……やられちゃったの……」
ディスコーズは、残り一人となった。
「アイデレラ……なかなかいい曲を出しているわね。あいつらに負けないくらいの悲しみを、思いっきりぶつけてやるわ」
女は姿を消し、そこは誰もいなくなった。
★
ここなたちは、学校から帰っているところだ。
「あの子、私のマスコットをつけてる……!」
制服を着た少女のカバンには、アイデレラ・オーシャンのマスコットがつけられていた。
「帰ったらトーンに報告しよう」
トーンは、ここなより先に帰った。ここなは、歩く足を速くするのだった。
★
「トーン、ただいま」
ここなが、自分の部屋の扉を開ける。
「ここな、大変なことになった。ミューグダムが、悲しみでいっぱいにされてしまった」
「えっ……」
部屋にはゆきねの姿もあった。
「今すぐミューグダムに行こう」
ここなたちは、ミューグダムに向かうこととなった。
「いざ、ミューグダムへ!」
トーンがこう言うと、ここなたち三人は、光に包まれる。その場から三人の姿がなくなった。
★
「わあ……何これ……!」
ミューグダムはメルヘンな雰囲気が失われ、元気を失った動物たちが横たわっている。
「見る限り、誰かに荒らされたみたいだな……」
トーンが推測する。
「ふふっ……その通りよ……」
聞いたことのない声が聞こえた。大きな麦わら帽子をかぶり、それで目が覆われた女がそこにいた。
「お前は……まさかディスコーズの一員か?」
「ええ……私はクローザ。デッドエンよりもっと強いのよ」
「また新たな敵が……」
「あなたたちがアイデレラね。でももう私の勝ちが決まってるわ」
クローザが、何か魔法を使おうとしているのに気づいたのか、ここなが走り出す。
「ここな!」
「やめて……!」
そしてクローザの魔法がここなに直撃してしまう。ここなはその場に倒れる。
「ここなになんてことを……!」
そう言いながらゆきねがここなをゆする。トーン、ミュアンも続く。
「私……生きるのが嫌になった……」
「!?」
ここなの瞳からはハイライトが消えていた。
「うふふ、これは人をネガティブにする魔法よ。ついに成功したわ」
「ここな……!」
ここなは突然ふらつきながら歩き始める。
「どこに行くんだ!」
トーンたちがここなを止めに走る。
「ここなを元に戻したければ、私を圧倒させるライブを見せてごらんなさい」
クローザの言葉に、トーンたちが足を止める。
「二人だけで……そんなことを……」
「今までの実力を発揮すればきっと、ここなは助かるよ!」
希望を失ったような表情のゆきねとミュアンに、トーンが励ましの言葉をかける。
「許せない……ここなに勝手なことして……」
ゆきねは震えながらこぶしを作る。今にも何かを叩きつけてしまいそうだった。
「先にここなを探さないと! もうここにはいない!」
いつの間にかここながいなくなっていることに、ゆきねたちは気づく。
「このままだと、ここなが……」
「ここはいったん、手分けして探そう!」
ゆきねとミュアン、トーンに分かれ、ここなを探すことにした。
★
ここなは、息を切らしながら、崖のふちに立っていた。アイデレラになる前、家出したときよりもずっと気持ちが重い。ここなの中では、「消えろ」という声が何回もこだましている。
「クラスメイトとママも、私を嫌ってるみたいだし……。ここに来たら、こんな世界ともお別れできるんだ……」
ここなが暗闇の中に足を踏み入れようとしたそのとき。
「ここな!」
ここなの手が強く握られた。しかしここなは今にも崖の下に落ちそうだった。
「ここなは大切な仲間なの! だから安易に自分をないがしろにしないで!」
「……!」
ミュアンも、鳴き声でここなに呼びかける。
「アイデレラの活動が上手くいってるのは、ここなのおかげだって、ミュアンが言ってる!」
ゆきねとミュアンは、力強くここなの手を引っ張り上げていく。
「トーン!」
そのとき、トーンが加わり、ここなはさらに引き上げられていく。
「わあっ!」
ここなは無事に地面まで引き上げられ、その勢いでトーン、ゆきね、ミュアンが重なるように倒れた。ゆきねはすぐ立ち上がる。
「ゆきね、ミュアン、今のうちにライブをするんだ」
「うん。ここなを元気にしたい」
ゆきねはブライトマイクを取り出し、アイデレラに変身しようとする。




