Stage24 最恐の不協和音!アイデレラなら怖くない!(2)
戦う前に三人は、再び手を重ねる。
「懐かしいね~初めての出会い~」
「それは奇跡なんだよ~」
「あなたとぶつかった~あの日~」
三人は、アカペラで歌を口ずさむ。その歌声に気づいたのか、観客がサイリウムを振り始める。
「アイデレラ……頑張って!」
サイリウムの光たちが、アイデレラに向かっていく。
「何だか……力が湧いてくる!」
「攻撃が来るよ!」
理性を失ったデッドエンは、三人に向かって突進してくる。
「わあっ!」
「こんなに高く跳べるんだ……!」
ジャンプでかわした三人は、自分の能力に驚嘆した。
「なんだか魔法少女になった気分……」
そう言いながらオーシャンは、いつ攻撃してくるか分からないデッドエンを見据える。そのとき、オーシャンの身に変化が起こる。小さなミュージックプリズムが作られたのだ。
「ミュージックプリズムが……!」
「これは観客のサイリウムと、ミラーボールの力で作られるんだ!」
オーシャンはミュージックプリズムを握ると、呪文を唱える。
「オーシャン・アクアハンド!」
オーシャンは手を前に出し、水でできたビームを放つ。デッドエンは少しの間ひるんだ。
「アイデレラー!」
と観客が声援を送る。今度はスノーのミュージックプリズムが作られる。
「あたしからもいくよ! スノー・フリーズ!」
スノーは手から冷気を放つ。これもデッドエンをひるませるだけだった。
「なかなか手ごわい……」
デッドエンは、身構えるオーシャンたちに、パンチを繰り出していく。
「きゃああ!」
ステージ袖に飛ばされるオーシャンたち。威力が高く、かなりのダメージを食らってしまった。
「はあ……」
全身が悲鳴を上げ、立ち上がれそうにない。
「このままじゃ……私たちやられちゃう……」
オーシャンが、目に涙を浮かべる。そのとき、あることを思い出す。
それは、初めてステージに立ったときだった。
「私……悲しみの世界を救うために、アイデレラとして歌うようになった……」
そう言っていると、オーシャンは不思議と立ち上がれた。そしてステージの真ん中へ向かう。
「みんなに届ける〜幸せの歌〜」
オーシャンが口ずさんだのは、初めてアイデレラになったとき歌った曲だった。オーシャンの歌声を聞くと、デッドエンは力を失ったように見えた。
「私は〜みんなと〜幸せになりたい〜」
観客たちがサイリウムを振り始める。
「ずっと〜つらかった〜何もかもが〜」
オーシャンに、サイリウムの光が集まっていく。
「でも〜みんなが悲しいのは〜いやだから〜」
そして光が強くなっていく。
「幸せの歌を〜届けたい〜」
オーシャンが歌い切ると、光は先ほどよりも大きめのミュージックプリズムに姿を変えた。
「オーシャン・トロピカルウェイブ!」
オーシャンの周囲に、きらめく波が出現し、デッドエンを巻き込んでいく。
「だいぶ弱ってきた!」
とトーンが歓喜する。サイリウムの光はスノーとキューティーにも向かっており、二人は回復した状態になった。二人がオーシャンのもとに向かう。
「みんな、今のうちにライブをするんだ!」
トーンがそう言うと、三人のユニット曲が流れ始める。
「懐かしいね~初めての出会い~」
「それは奇跡なんだよ~」
「あなたとぶつかった~あの日~」
三人の歌声は、デッドエンを少しずつ弱らせていく。
「そんなあなたが~身近な存在だと気づいて~」
「隣の席で話しかけてくれた~」
「分からないところ~教えてくれた~」
観客たちが、オーシャン、スノー、キューティーの名前をコールする。
「 「この出会いは~必然なんだ~」 」
「あなたを助けてくれる人とは~必ず出会うんだ~」
「あなたは~素敵なところを持っているから~」
歌い終えると、ステージの天井についている虹色のミラーボールがオーシャンたちの足元を照らし、大きなミュージックプリズムを作り出す。
「みんな、これで決めるんだ!」
「いくよ……!」
プリズムを握ると、三人は付与された力によって、浄化技を使う。
「 「アイデレラ・レインボー・ミュージカル!」 」
三人は、手から虹色の五線譜と音符を出した。デッドエンの姿が、少しずつ薄れていく。唸るような声とともに、やがてデッドエンは完全にいなくなった。
アイデレラの実力を見て、観客たちが大きくわきあがる。
「フェスはまだまだこれからだよ!」
こうしてアイデレラのフェスは、大成功に終わった。
★
「どうだ? 僕が作ったんだ」
フェスが終わった後の楽屋にて、トーンが見せたのは、オーシャン、スノー、キューティーの手作りマスコットだった。
「アイデレラがグッズに……!」
「かわいい……!」
ここな、ゆきね、ミュアンはときめくような表情を見せる。トーンは、アイデレラグッズの通販を始めることをSNSで告知するのだった。
数日後、通販サイトにアイデレラグッズが並び始める。マスコットだけでなく、うちわやタオル、キーホルダーなどもトーンが作り、出品した。SNSのコメント欄には、購入したことの報告が投稿されていった。
「すごい反響……!」
フェスとグッズによって、アイデレラの知名度は上昇していくのだった。ここなは、アイデレラとしての活動によって、悲しみに強くなったことを感じていた。




