Stage23 ここなとゆきねのお泊まり会(2)
その後、ここなたちは近所を散歩することにした。
「さっきはすごい人混みだったけど、ここは人通りそんなに多くないね」
ここな、ゆきね、ミュアンは、澄んだ空気を堪能していた。
「風が心地いい……」
涼しい秋風が吹いている。その中を歩くここなたちを、男が屋根の上で見ていた。ディスコーズの一人、デッドエンだ。
「あいつら、気持ちよさそうにしやがって、苦しめてやる……! 出てこい、サッドン!」
デッドエンは、黒い物体をここなたちめがけて投げつける。
「ここな!」
ゆきねがここなの手を引き、黒い物体を避ける。物体がサッドンに変化すると同時に、デッドエンがここなたちの元に飛び降りてきた。
「また現れた……!」
後ずさりするここなたち。
「みんな、大丈夫か!?」
「トーン!」
異変に気づいたトーンが駆けつける。
「世界を悲しみで満たすために、今日こそアイデレラを滅ぼしてやる……!」
「みんな、行くよ!」
ゆきねの掛け声で、ここなはブライトマイクを取り出す。
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
マイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
オーシャンとスノーが名乗った。
「ミュー!」
ミュアンが鳴き声を上げると、首輪についているミュージックプリズムの飾りが光る。
光の中で、ミュアンは人間の姿になっていく。そして体が、黄色い光に包まれた状態となった。
「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」
こう唱えると、ミュアンにパンプスが装着される。
「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」
ステップを踏んでいるミュアンに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「つややかなヘアー!」
そしてミュアンの髪が、金髪のロングヘアーに変化する。
変化が完了し、ターンをすると、ミュアンはこう言う。
「きらめく可愛さ! アイデレラ・キューティー!」
キューティーが名乗ると、トーンが作ったステージの上に、三人が現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「みんなに届け!」
スノー、オーシャン、キューティーの順にセリフを放つと、ユニット名を名乗る。
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
スノーをセンターに、曲が流れる。
「人はみんな~誰かのために~生きている~」
「傷つけるためじゃない~」
不協和音を出そうとするサッドンの動きが止まる。そして観客が盛り上がり始める。
「誰だって失敗するけど~」
「無駄なものじゃない~」
三人が息を合わせて歌っていく。アイデレラの頭上のミラーボールが少し光り始める。
「みんな一人ひとり~かけがえのない人~」
「いらない人なんて~誰もいない~」
「だからできることに~自信をもって~」
「 「You are forever friends~」 」
綺麗な歌声とともに曲を締めくくった。ミラーボールの光が強くなり、大きなミュージックプリズムを作っていく。
プリズムを握ると、三人は付与された力によって、浄化技を使う。
「 「アイデレラ・レインボー・ミュージカル!」 」
三人は、手から虹色の五線譜と音符を出した。それがサッドンに向かっていく。虹色の光に包まれ、消えていった。
「……そろそろ俺も本気を出すとするか」
何か作戦があることを予感させるようなセリフを放つと、デッドエンは姿を消した。
「スノー、どうかした?」
無表情のスノーを見て、オーシャンが言った。
「なんだか、変な胸騒ぎがするの……」
「何かあったのか?」
トーンが尋ねると、スノーはゆっくりと言葉を出す。
「ディスコーズ、だんだん強くなってる気がするの」
「……大丈夫。私たちアイデレラの力なら、どんなに強い相手にも立ち向かえるよ」
そう言ったのはキューティーだった。オーシャンとスノーの肩を軽く掴む。
「ありがとう、キューティー。あなたがいてくれたら心強く感じるよ」
真剣な表情だったオーシャンたちは、自然と緩んでいった。
★
「今日はあたしの家に来てくれてありがとう」
寝る時間になり、ここなとゆきねが同じベッドに入る。帰り道にゆきねが、泊まっていかない?とここなを誘ったのだ。
横になっているここなとゆきねの間に、ミュアンが入ってくる。
「わあっ!」
二人でミュアンを挟む形になり、ここなとゆきねはお互いに笑い合った。ほどなくして、ここなたちは寝息を立て始めた。
こうしてここなは、ゆきねと充実した一日を過ごしたのだった。




