Stage22 アイデレラの握手会!オーシャン、サインを書く!(2)
「ここな、起きるんだ!」
トーンに揺すられ、ここなは飛び起きる。
「大変、サッドンが現れたの!」
ゆきねが素早く現状を説明する。そしてここなたちはステージのわきに向かう。サッドンはステージの上で不協和音を響かせていた。観客たちの悲鳴も聞こえてくる。
「よし、ここであたしたちの出番だよ!」
ゆきねがそう言うと、ここなたちはブライトマイクを取り出し、呪文を唱える。
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
マイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
オーシャンとスノーが名乗った。
「ミュー!」
ミュアンが鳴き声を上げると、首輪についているミュージックプリズムの飾りが光る。
光の中で、ミュアンは人間の姿になっていく。そして体が、黄色い光に包まれた状態となった。
「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」
こう唱えると、ミュアンにパンプスが装着される。
「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」
ステップを踏んでいるミュアンに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「つややかなヘアー!」
そしてミュアンの髪が、金髪のロングヘアーに変化する。
変化が完了し、ターンをすると、ミュアンはこう言う。
「きらめく可愛さ! アイデレラ・キューティー!」
キューティーが名乗ると、ステージの上にオーシャンたちが現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「みんなに届け!」
スノー、オーシャン、キューティーの順にセリフを放つと、ユニット名を名乗る。
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
悲しむ観客たちを元気づけようと、オーシャンたちが歌い始める。
「懐かしいね~初めての出会い~」
「それは奇跡なんだよ~」
「あなたとぶつかった~あの日~」
オーシャンたちが、ステージのライトや観客のサイリウムに照らされ始める。
「そんなあなたが~身近な存在だと気づいて~」
「隣の席で話しかけてくれた~」
「分からないところ~教えてくれた~」
海のように広がっていくサイリウムが、オーシャンたちを応援する。
「 「この出会いは~必然なんだ~」 」
「あなたを助けてくれる人とは~必ず出会うんだ~」
「あなたは~素敵なところを持っているから~」
歌い終えると、ステージの天井についている虹色のミラーボールがオーシャンたちの足元を照らし、大きなミュージックプリズムを作り出す。
プリズムを握ると、三人は付与された力によって、浄化技を使う。
「 「アイデレラ・レインボー・ミュージカル!」 」
三人は、手から虹色の五線譜と音符を出した。それが近くにいたサッドンに命中する。虹色の光に包まれ、消えていった。
それを見た観客たちが、大きな歓声を上げる。
「今回のライブ、大成功だったな」
ステージに現れたトーンが拍手をした。
「ここでライブして正解だったね!」
「もっと、アイデレラの活動が広がってほしいな」
アイデレラは、また新たな世界に踏み出せたのだった。
★
その後ライブ会場の近くのブースにて、アイデレラの握手会が行われた。
「いつも応援してます!」
ファンの一人が、オーシャンと握手をした。初めて会う人だったが、オーシャンの手に、特別な温もりが伝わってきた。アイドルってこういうものなのか、とオーシャンは思った。
いじめや虐待を経験したオーシャンは、今たくさんのファンと交流しているのだ。直接応援の言葉をかけられ、オーシャンに与えられた温もりが全身に伝わっていく。
それぞれのブースにいるオーシャン、スノー、キューティーの前には、長蛇の列が並んでいる。
「オーシャン! サインください!」
オーシャンに、ついにこの言葉がかけられた。オーシャンは、渡された色紙とペンを受け取ると、震えた手でゆっくりサインを書いていく。
やがて書かれたサインは、筆記体で書かれた「Ocean」の文字だった。Oの中には波線が書かれ、nの上にはヤシの木がある。
「これでどうかな?」
「わぁ〜、とっても素敵!」
オーシャンのサインを見たファンは、目を輝かせていた。そしてウキウキした様子で、サイン色紙を抱えながら帰っていった。
このサインは、トーンと一緒に考えたものであった。波線やヤシの木のアイデアは、トーンが出してくれた。
トーンと出会っていなかったら、そしてアイデレラになっていなかったら、最悪この世界にいなかったかもしれない。そうオーシャンは感じていた。
オーシャンは、トーンとの出会いに感謝しながら、次々と現れるファンと握手を交わしていった。そんなオーシャンを、両隣のブースにいたスノー、キューティー、そして遠くにいたトーンがときどき微笑ましそうに眺めるのだった。




