Stage21 ここなは弱くない!本気の体育祭!(1)
ねおん中学校では、体育祭に向けて、ダンスやリレーなどの練習が行われているところだ。
ここなのクラスでは、ダンスの練習を始めている。
「ゆきねの曲だ……!」
ダンスで使用する曲を先生が流し始める。ここなにとっては、聞きなれたメロディーと歌声だ。ゆきねの曲でダンスができることに、ここなはワクワクしている。
クラスでいじめられたことが今でも気になっているが、ゆきねの曲で本番を迎えたいとここなは思うのだった。
★
しかしここなは、心が重たくなっていた。クラス対抗のリレーがあるからだ。運動が苦手なここなにとって、チームで行うスポーツは苦痛だ。
「はあ……」
帰り道、ため息をつきながら歩くここな。転んだり、バトンを落としたりして、クラスメイトたちにさんざん怒られたのだ。
「ここな、そんなに落ち込むなよ」
トーンが後ろから声をかける。ここなは、治りそうなうつ病が悪化してくるのを感じた。
「こんな状態で立ち直るのは無理……」
「そっか。帰ったらゆっくり休もうな」
家に着くまで、トーンはここなの背中をずっと撫で続けた。
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その日以降、ここなはリレーの練習を休むようになった。ダンスの練習は毎回参加しているが、表情は暗い。
家で落ち込んでいるここなのところに、トーンが近づく。
「……!」
トーンがここなに近づけたスマホからは、ゆきねの曲が流れている。
「これ聞いて元気出せよ」
ここなは、ゆきねが心の支えであることを思い出す。いじめられてきたけれど、ゆきねの存在が、この世界から消えてしまいたい気持ちを抑えていく。それにここなは、伝説のアイドル「アイデレラ」の一人として、悲しみを浄化できる人なのだ。
そんなここなに、トーンのペット、ミュアンが飛びつく。
「ミュアン……」
ここなは、ミュアンを優しく撫でてあげるのだった。トーンとミュアンも、ここなにとって頼もしい仲間だ。ここなは、心が洗い流されるのを感じていた。
★
そして迎えた体育祭当日。雲ひとつない空の下で、体操服を着たここなたちが、グラウンドに集合している。
選手宣誓や準備体操が終わると、ここなは自分の出番を待つ。その間、ここなは上手くいくか気になり、他のクラスの競技に集中できないでいた。
そしてここなの学年のリレーが始まろうとしていた。練習にまともに参加できていなかったここなは、全身が震えている。
「ここな、自分ができることを精一杯するだけでいいんだ」
トーンが、ここなの肩を持つ。トーンは、ここなからバトンを受け取ることになっている。ピストルの音とともに、四人が一斉に走り始める。
しばらくして、ここなにバトンが渡そうとしている。ここなは、バトンをもらうことができた。
ここなは、全力で走っていた。トーンの応援する声が聞こえてくる。トラックを一周し、トーンが手を差し出している。そのままバトンを渡せると思われたが。
「ここな!」
ここなは、バトンを渡す直前に転んでしまったのだ。その間に、ここなは抜かれていく。
「立つんだ!」
泣きそうなここなだったが、ゆっくり立ち上がる。そしてトーンにバトンを渡す。
しかしここなのクラスは、最下位に終わってしまった。
「ごめんね……」
クラスメイトたちは、次々とここなを責めようとする。トーンは、すぐクラスメイトたちを止めようとする。
「ここなが悪いんじゃない! 誰かが傷つくのを見て楽しいか!?」
「……」
クラスメイトたちは、すっかり無口になっていた。
「ここな、気にすることないよ。あとはダンスを思いっきり楽しもう」
ここなは、小さくうなずいた。
それからも、他の学年の競技観戦中、クラスメイトたちはすっかり意気消沈していた。その様子を、ここなは気にしている。反省しているというように感じられた。
しばらくして、ここなのクラスのダンスが回ってきた。
「ここな、失敗することは考えなくていいから」
トーンは、緊張しているここなに声をかける。トーンは、ここなの隣で踊ることになっている。
グラウンドにここなたちが集まると、ゆきねの曲が流れ始める。
先頭から順にターンをしていく。ここなは真ん中の列にいる。他のメンバーと息を合わせ、ここなはターンができた。
ここなは、踊ることの楽しさを感じていく。次に、ここなはトーンの片手を握りながら踊ろうとするのだが。
「!?」
ここなの近くに、黒い物体が投げ込まれた。踊っていたクラスメイトたちも困惑し始める。
「これはサッドンだ!」
トーンがここなに伝える。物体は怪物サッドンに変化する。ここなとトーンは、サッドンから距離をとる。
「☆♪¥€$¥→♪¥〜!」
クラスメイトたちが、不協和音によって座り込んでいく。ここなとトーンは耐えられた。
「体育祭……つまんない……」
そうつぶやくクラスメイトを、校舎の屋上からサッドンを呼び出したデッドエンが眺めていた。
「これで体育祭を台無しに……」
トーンは、ここなにブライトマイクを渡す。そこに、
「ここな!」
ブライトマイクを持ったゆきね、それからミュアンも駆けつける。
「ライブで悲しみを浄化しよう!」
そう言うと、ここなとゆきねは呪文を唱える。




