Stage19 謎の救世主!アイデレラ・キューティーって誰?(1)
この日は、ゆきねがねおん市から離れた場所でライブをすることになった。数日前、ここなとトーンがゆきねからチケットをもらった。
ミュアンを抱いたトーンに案内されながら、ここなは電車に乗っている。
「ここな、慣れない場所だけど不安はないか?」
「うん。ゆきねのライブに行けること考えたらむしろ楽しみだよ」
「よかった」
ここなとトーンは、電車を降りると、会場まで歩いていく。駅からすぐ近いところにある。
「わあ……」
ゆきねのライブ会場は、普段は球場として使用されている大きなドームだ。周囲には多くの人があふれている。
トーンは、ここなの手を引きながら会場に入っていく。ここなは、胸の高鳴りを感じていた。
★
「今回も特等席みたいだ」
一番前の席に座ったトーンが言った。ここなはその隣にいる。
「こんな大きな会場に入るの、初めて……」
ここなは、ときめきあふれる表情で言った。
しばらくして、ゆきねがステージに姿を現した。姫を思わせるような白い衣装に身を包んでいる。
「衣装が豪華……!」
とここなは圧倒されている。
「みんな、今日はあたしのライブに来てくれてありがとう! ここでも多くのファンに会えてあたしはとっても嬉しいよ!」
ゆきねの声を聞いて、観客が大きな歓声を上げる。
「こんな大歓声を浴びるなんて、アイドルになれてよかったって思えるよ。それじゃあさっそく曲紹介に行くね!」
ゆきねは少し照れていたが、すぐ笑顔を見せる。
「では、まずはこの曲から! 『キラキラシャイニー☆』 」
キラキラとサウンドエフェクトの入ったメロディーが流れ始める。
「輝く~色とりどりの世界~」
ここなたちは、リズムに合わせてサイリウムを振っていく。トーンに抱えられているミュアンもテンションが上がっている。
「こんなにも~キラキラがたくさん見えるよ~」
ここなたち観客は、歌詞の後にゆきねの名前をコールする。
「キラキラシャイニー☆ 星空またたく~」
サビに入り、大盛り上がりの観客たち。とそのとき。
「きゃっ!」
「!?」
ゆきねが突然、誰かに突き飛ばされたのだ。ドン、と倒れる音がはっきり聞こえた。するとステージに、ディスコーズの一員であるデッドエンが現れる。
「くっ、アイドルのライブなんて、くだらねえ……。俺が滅ぼしてやる……。出てこい、サッドン!」
ステージの上に、怪物サッドンが姿を現す。
「☆♪¥€$¥→♪¥〜!」
サッドンが放った不協和音によって、観客が次々と倒れていく。ここなは襲ってくる悲しみに耐えながら、ゆきねを助けようとステージに上がる。トーンとミュアンも続く。
「ゆきね!」
ゆきねは、サッドンに襲われかけており、苦しそうだ。ここなとトーンはゆきねの手を引っ張り、サッドンと距離をとる。
「助かったよ……」
トーンは、ゆきねの背中を撫でて落ち着かせる。そしてブライトマイクを渡す。ここなもマイクを握る。
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
マイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
変身が完了し、ステージの上に二人が現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
二人がユニット名を名乗ると、心を癒す曲が流れ始める。
「あなたは~いつだって~あなたでいるよ~」
歌詞が一筋の光となって、観客の心を照らしていく。
「どんなに大きな壁に~ぶつかったって~」
「自分を~責めなくていいんだよ~」
元気づけられた観客たちが、サイリウムを振り始める。
「そんなときは~涙で心を綺麗にしよう~」
「笑顔は~無理に作らなくていい~」
やがてサイリウムは、真っ暗な観客席を明るくする。
「 「大丈夫~あなたの心は強いから~」 」
前向きになれる曲が締めくくられる。拍手が送られると、オーシャンとスノーのもとにミュージックプリズムが降ってくる。
「 「ドラマチック・トゥインクル!」 」
大きな星を描き、少し弱った感じのサッドンに飛ばす。しかしサッドンは、パンチで星を破壊する。
「……!」
「☆♪¥€$¥→♪¥〜!」
盛大な不協和音をサッドンが響かせ、オーシャンとスノーが倒れてしまう。
「オーシャン、スノー!」
無事なトーンは、ミュアンを抱えていない片方の手で、二人の体をそれぞれ揺する。ミュアンは、今にも泣きそうな表情になっている。
「もうライブなんてしたくない……」
ここなとゆきねは、無気力で動けなくなっている。
「さあ、早く降参するんだ、アイデレラ」
とデッドエンが追い詰める。どうすればいいか分からなくなっているトーン。観客たちもここなたちと同じような状態になっている。
そのとき、ミュアンがある行動に出る。




