Stage17 夏を彩るロマンチックな花火(1)
夏休みも終盤に差し掛かった頃、ここなは精神科でカウンセリングを受けていた。
「私……実は白銀ゆきねさんと友達になれたんです」
「あの国民的アイドルですか? すごいですね!」
ここなは、ゆきねと仲良くなったことをカウンセラーに明かす。
「実は、道端でたまたま会って、ライブのチケットをくれたんです」
「こんな偶然があるなんて、ここなさんは恵まれていますね」
ここなとカウンセラーの会話は、いつの間にか盛り上がっていた。
「ここなさん、笑顔が増えてよかったです」
ここなのうつ病は、もう少しで完治しそうだ。カウンセリングを終えると、抗うつ薬を処方してもらい、薬局を出る。
真っ青な空のもと、ここなは帰宅するのだった。
★
帰ってきたここなに、トーンが一枚の紙を渡す。そこには、お祭りの案内が書かれている。場所は、近所の公園だ。
「わあ……お祭り? 楽しそう……」
「ここなが喜んでくれるかなって思って。そうだ、よかったら一緒に浴衣を買いにいかない?」
「いいね」
「よし、行こうか」
ここなとトーンは、浴衣を買いに出かけるのだった。
★
服屋さんにて。
「どの浴衣もよくて迷っちゃうなー……」
「ふふっ、僕が選ぼうか?」
「そうだね……トーンにお任せしようかな」
自分で買う浴衣を決められないここなは、トーンに選んでもらうことにした。
「これなんかどうだ?」
トーンが見せたのは、貝殻の模様の入った水色の浴衣だ。
「わあ……私にぴったりかも」
「この柄、ここならしいと思って選んだんだ。よかったら試着してみる?」
ここなはうなずき、浴衣を持って試着室に入る。しばらくして、トーンに浴衣姿を見せる。
「すごく似合ってる。この色、ここなにピッタリだよ」
「ありがとう、トーン。私この浴衣にするよ」
そしてここなは、試着した浴衣を購入するのだった。
★
そしてお祭りが行われる日になった。ここなと、ミュアンを抱えたトーンは、浴衣を着て公園まで向かう。
「ここな、トーン!」
と後ろから声が聞こえた。振り向くと、白い浴衣を着たゆきねがこちらに向かってくる。
「ゆきねもお祭りに行くの?」
「うん。あたしは毎年行くんだ」
「よし、今年は三人で一緒に行こうか」
ゆきねはトーンの言葉に賛成すると、お祭りが開催されている公園に入った。
公園は、提灯などで飾り付けがなされ、盆踊りの曲が流れている。
「私、お祭り行くのとても久々だよ」
ここなは、いじめっ子に会うのが嫌で、楽しいお祭りにも行くことができなかったと続ける。
「大丈夫。僕とゆきねが守るから」
トーンが、ここなの不安を軽減する。
「まずはどこに行く?」
「あそこの金魚すくい、やってみたいな」
ここなたちは、金魚すくいを最初にやることにした。やりたいと言ったここなが挑戦する。
「なかなか難しいな……」
すくおうとしても、金魚が逃げていき、苦戦するここな。
「やった!」
なんとか金魚を一匹すくえた。もう一匹、と思ったところで、すくう紙が破れてしまった。
「一匹でも十分すごいよ」
とトーンがここなを励ます。ゆきねは拍手している。その後ここなは、水と一匹の金魚が入った袋をもらった。
「次はわたあめを買わないか?」
「わあ、お祭りといえばこれだよね」
トーンが、近くにあるわたあめの屋台を見て言った。
「よかったら僕が買ってくるよ」
トーンはそう言って、長い列に並ぶ。数分後、わたあめを3つ持ってここなとゆきねのところに来る。
「わあ、ありがとう」
ここなたちは、わたあめを頬張る。甘さが口いっぱいに広がる。三人は、思わずにっこりする。トーンは、わたあめを少しミュアンに分けた。美味しいのか、ミュアンも笑顔だ。
そんな楽しいお祭りの中、怪しい男が一人紛れている。ディスコーズの一人、デッドエンだ。
「見つけた、ここなたち……。楽しい雰囲気をぶち壊してやる……。出てこい、サッドン!」
「!?」
トーンは、いち早く異変に気づく。
「サッドンが現れた!」
「えっ!?」
サッドンに追いかけられている人々が、どんどん会場から逃げていく。
「☆€♪¥$€¥♪#☆$〜!」
不協和音によって、逃げる人々が座り込んでいく。そしてネガティブな言葉を発し始める。
「ここな、ゆきね、大丈夫か!?」
襲ってくる悲しみに耐えようとするここなとゆきね。同時にブライトマイクを持ち、呪文を唱える。




