Stage14 ここなと迷子の少女(2)
「 「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」 」
マイクから放たれた光が、ここなとゆきねを包み込む。
ここなの体は青い光、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。
「 「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」 」
こう唱えると、ここなにブーツ、ゆきねにパンプスが装着される。
「 「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」 」
ステップを踏んでいるここなとゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「 「つややかなヘアー!」 」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。ゆきねの銀色の髪は、白いロングヘアーとなる。
変化が完了し、ターンをする。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」
変身が完了し、作られたステージの上に二人が現れる。
「悲しみを!」
「幸せの歌に変える!」
「 「私たち、I♡DERELLA!」 」
ユニット名を名乗ると、曲が流れ始める。
「あなたは~いつだって~あなたでいるよ~」
「?」
オーシャンの綺麗な歌声が聞こえ、観客席にいたゆうなが顔を上げる。
「どんなに大きな壁に~ぶつかったって~」
「自分を~責めなくていいんだよ~」
ゆうなの表情が、少しずつ明るくなっていく。オーシャンとスノーを見たことがなかったが、自然と2つのサイリウムを降り始める。
「そんなときは~涙で心を綺麗にしよう~」
「笑顔は~無理に作らなくていい~」
オーシャンは、授業でいじめのリーダーに怒鳴られたことを思い浮かべた。この歌詞によって、傷んでいた心が洗われていくのを感じた。
「 「大丈夫~あなたの心は強いから~」 」
みんなを元気づける歌詞を、オーシャンとスノーがメロディーに乗せる。そして曲が終わった。ゆうなたち観客が、大きな拍手をする。
「楽しいライブを見られるなんて……!」
とゆうなは感激している。
オーシャンとスノーのところに、ミュージックプリズムが降ってくる。二人は手をかざす。
「 「ドラマチック・トゥインクル!」 」
大きな星を描き、サッドンに向かって飛ばす。サッドンは、吸い込まれていった。
「やっつけられてよかった。ゆうなちゃんは大丈夫かな?」
「きっともう元気を出してるよ」
ステージに現れたトーンは、ニコニコしながら言った。ライブによって、オーシャンは、授業後の落ち込みから立ち直れた。
★
スーパーの前で。
「よかった。ゆうなちゃんが元気になったみたいで」
「さっきのライブ見てたら楽しくなっちゃった!」
とご機嫌のゆうな。すると、探していた人が飛び込んでくる。
「お母さーん!」
ゆうなは、母親に向かって全力で走る。
「どこに行ったのか心配だったのよ」
母親は、重たい買い物袋を持っている。もう片方の手で、ゆうなを撫でる。
「会えたみたいだね」
しばらくして、ゆきねがゆうなに話しかける。
「ゆうなちゃん」
「もしかして、白銀ゆきねちゃん!?」
国民的アイドルを見たゆうなの母親が、信じられないという表情をしている。
「ゆうなちゃんの母親を探すのを、手伝ってくれたんだよ」
とトーンが説明する。
「ゆうなちゃんに会えた記念として、これをあげる」
ゆきねがゆうなに渡したのは、ライブのチケットだった。
「やった! ゆきねのライブに行くの、ずっと夢だったんだ!」
「うちの子を探してくれて、ありがとうございました」
母親は、ここなたちにお礼を言った。それから、ここなたちは、別れていくゆうなに手を振った。
「元気でねー!」
ゆうなと母親の姿が完全に見えなくなったとき、ここなは考えた。
「私、使えない人じゃない。こうして、誰かを助けて、笑顔にできたから」
迷子の少女に話しかけたこと、ライブで元気づけたこと、母親を見つけられたこと。
ここなの心には、そんな前向きな気持ちが広がっているのだった。




