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Stage12 悲しみのここな、とらわれのトーン(2)

「うう……」


 少しずつここなの意識が浮上する。目を開けると同時に、「大丈夫?」と声が聞こえてきた。


「ゆきね……?」


 ここなは、自分の部屋にいるのが分かった。


「道端で倒れてたから、あなたの家まで運んだよ」


 ゆきねのブライトマイクが、ここなのピンチを知らせてくれたことも話した。


「……実は、トーンが、サッドンに飲み込まれて……私はとてもつらくなって、変身もできなくて……」


 静かに涙を流すここなを、ゆきねが慰める。


「大丈夫。そんなときはあたしに頼って」


 ここなは、トップアイドルであるゆきねに慰められることを今まで考えていなかった。


「ここはあたしが、サッドンをなんとかするよ」


 ここなが落ち着くと、ゆきねは言った。再びここなを抱きしめると、ゆきねは部屋を出る。


 ★


「あそこだ……」


 ここなの家を出て数メートル歩いた先に、サッドンがいる。その周囲で、悲しみに暮れた住民たちが倒れている。


 ゆきねは、ブライトマイクを握り、呪文を唱える。


「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」


 ゆきねは、マイクが発した光に飲み込まれた。その中で、ゆきねの体は白い光に包まれた状態となった。


「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」


 こう唱えると、ゆきねにパンプスが装着される。


「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」


 ステップを踏んでいるゆきねに、衣装やアクセサリーが装着されていく。


「つややかなヘアー!」


 ゆきねの銀色の髪が、白いロングヘアーに変化する。


 変化が完了し、ターンをする。


 「きらめくダイヤモンドダスト! アイデレラ・スノー!」


 アイデレラ・スノーに変身し、ステージに上がる。


 スノーは、目を閉じ、深呼吸をする。そして曲が流れる。


「いつも~楽しい~キラキラの~世界~」


 綺麗な歌声をいっぱい響かせる。サイリウムが次々と点灯していく。


「誰も~世界の~すべてを~知らないから~」


 スノーの歌声は、ここなの家まで届いている。


「これは……スノーの歌……?」


 ここなの傷んだ心に、スノーの歌声が薬のように作用していく。


「きっと~魅力的な~場所が~あるよ~」


 スノーは、振られているたくさんのサイリウムに気づいている。そして曲が終わり、盛大な拍手が起こる。


 歌い切ったスノーのもとに、ミュージックプリズムが降ってくる。


「スノー・ダイヤモンドショット!」


 たくさんのダイヤモンドを、ステージ付近のサッドンに向かって放つ。弱ったものの、倒れてはいなかった。


「あたしだけの力じゃ……」


 スノーは、力の限界を感じていた。サッドンがゆっくりとスノーに近づいていく、そのとき。


「スノー……!」


「!」


 ステージに現れたのは、家にいるはずのここなだった。スノーはサッドンから離れ、ステージ袖にいるここなに向かう。


「ここな……」


「私の部屋に、スノーの歌声が聞こえてきて、少し元気が出てきた。スノー一人だと心配で……」

 

 ステージに来た理由を話すと、ここなはブライトマイクを取り出す。輝きを取り戻している。


「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」


 マイクは光を放ち、ここなを包み込む。


 ここなの体は、青い光に包まれた状態となった。


「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」


 こう唱えると、ここなにブーツが装着される。


「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」


 ステップを踏んでいるここなに、衣装やアクセサリーが装着されていく。


「つややかなヘアー!」


 そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。


 変化が完了し、ターンをする。


「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」


 変身できたアイデレラ・オーシャンは、元気な声で名乗った。ステージに姿を見せたオーシャンを見て、スノーが歓喜する。


「みんなに届ける〜幸せの歌〜」


 曲は流れていないが、オーシャンは歌い始める。サッドンの動きが止まる。


「私は〜みんなと〜幸せになりたい〜」


 可愛さと美しさが入ったオーシャンの歌声に、スノーの胸が熱くなる。オーシャンの頭上では、ミュージックプリズムが少しずつ出来上がっている。


「 「でも〜みんなが悲しいのは〜いやだから〜」 」


 オーシャンの歌に、スノーも混ざる。ミュージックプリズムが輝き始める。


「 「幸せの歌を〜届けたい〜」 」


 歌い切ると、プリズムが二人のもとに降りる。


「 「ドラマチック・トゥインクル!」 」


 二人の描いた大きな星が、弱ったサッドンに飛んでいく。サッドンは星に吸い込まれていなくなった。少しすると、星からトーンが飛び出してくる。


「トーン!」


 よろめくトーンを、オーシャンとスノーが支える。


「怪我はない?」


「ああ、ダメージを食らっちゃったけど、君たちの歌のおかげで回復したよ」


 トーンは、自分の無事を伝える。


「オーシャンが元気になってくれてよかった」


「それはスノーのおかげだよ」


 三人は、それぞれ笑顔を見せるのだった。


 ★


「街のみんなも元気を取り戻したみたいだね」


 夕焼け色の街を、多くの人が行き交う。その中を、ここなたちが歩いている。


「あはは、ここな、すごくトーンのことが心配だったんだね」


 ここなは、トーンに抱き着いている。それを見て、ゆきねがほほ笑む。


「今日はほんとにありがとう、ここな」


「ゆきねこそありがとう」


「あたしこっちだから、じゃあね!」


 ここなとトーンは、ゆきねと別れる。

 

 ここなは家に着くまで、トーンから離れることはなかった。

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