Stage11 文化祭でゆきねがライブ!(1)
「おはよう、ここな」
教室に入ったここなを、トーンが迎える。
「具合はどうだ?」
「もう大丈夫。いじめられる夢を見なかったから」
ここなは、カウンセリングを受けたこともトーンに話す。
「また新しい相談相手ができてよかったな」
とトーンは笑顔だ。カウンセリングのおかげで、ここなのいじめのフラッシュバックはほとんど収まっていた。
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「みなさん、今月は文化祭があります」
ここなの中学校では、6月に文化祭が行われる。教室から、楽しみといった声が聞こえてくる。
「今年は、文化祭にスペシャルゲストをお呼びする予定です。誰が来るかは、当日になってからのお楽しみです」
「えー」「誰だろう?」
「このクラスでは、教室に作品を展示していただきます。描いた絵を飾るもよし、迷路やゲームを作るもよし、内容はクラスの皆さんにお任せします」
ここなは昨年、仲間外れにされて文化祭での作品制作に関われなかった。
「今年は参加できたらいいなぁ……」
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ここなのクラスは、文化祭に向けて展示する作品の準備を始めることになった。クラスで、展示する作品について話し合っている。
「ここなは、どんな作品を作ってみたい?」
「自分が輝ける理想のステージ……」
「ここならしくていいじゃないか」
とここなとトーンが会話する。するとトーンが挙手する。先生に当てられ、トーンはこう言った。
「自分が輝ける理想のステージは、どうですか」
「ステージ……」
「こんなステージに立てたら、輝けそうっていうのを絵に描いて、展示するんですよ」
「いいアイデアですね」
ここなから聞いたアイデアを、トーンが発表した。先生やクラスメイトたちが賛成する。間接的にほめられたここなは、少し照れている表情になっている。
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ここなは、自分が立っているステージを思い浮かべながら、紙にスケッチしている。そのステージは、アイデレラが立っているステージと同じものだった。
足元はラメでキラキラしていて、あちこちにある照明がここなを照らしている。後ろの巨大モニターには、ここなの姿がアップで映っている。そんな絵が簡略的に描かれている。
「私の作品、今年は展示できますように」
いじめによって、自分の作品だけが展示されないという事態にはなってほしくない。
「ここな、大丈夫だよ。僕がついてるから」
ここなの言葉を聞いたトーンが言った。ここなは小さくうなずいた。
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そして文化祭当日になった。多くの生徒や保護者たちで学校はにぎわっている。
ここなのクラスには、自分が立っているステージの絵がたくさん飾られている。
ここなの絵は、床のラメやたくさんの照明に照らされて歌い踊るものだった。絵の中のここなは、とびきりの笑顔だ。
「好きなテーマで作品を完成させられて、よかったな」
トーンは、一緒に作品を見て回っているここなに言った。ここなの心は、達成感でいっぱいになっていた。




