Stage9 アイデレラ・オーシャンのソロライブ(2)
重い足取りで学校に向かい、教室に入る。
「どうした、ここな!?」
突然ここなに抱きつかれたトーン。ここなは落ち着くと、今朝見た夢のことを話す。
「また、いじめられる夢を見た……ママに蹴られた……」
トーンは、何も言わずにここなを撫でる。
「ここなはとても素敵な人だよ。僕にちゃんとお話しして、それにアイデレラになってライブができるから」
しばらくして、トーンは小さい声で言った。
「もし耐えられなかったら、保健室に行っていいから」
「うん……」
ホームルームが始まるまで、ここなはトーンに慰めてもらった。
★
授業中、先生に当てられたのはいずれもここなをいじめていた人だった。きちんと正解を答えていた。
悪夢が頭から離れないここなの心には、自責感が広がっていくのだった。
そして休み時間になり、トーンがここなの席に向かう。
「ここな、しんどくないか?」
トーンが、ここなの背中を軽く叩く。
「うん……」
ここなの声は、泣きそうになっていた。
「保健室に行くか?」
ここなは小さくうなずく。
「僕がついて行くから」
トーンは、立ち上がったここなの手を握り、教室を出ようとする。
とそのとき。教室の扉が開く。
「もう先生が来た!?」
トーンはそう思って黒板のある方向を向くと。
「誰あの人!?」
教室がざわつき始める。
「ダーコン……!?」
トーンの声に気づき、ここなもダーコンの方を向く。
「このクラスを……悲しみで満たしてやる……ここな!」
「!」
突然名指しされたここなは、ビクッとする。
「今回は俺とお前の直接対決だ! 俺だってお前を倒す技が使えるんだからな!」
「……!」
ここなは、自信なさげな表情をしている。
「大丈夫。アイデレラの力ならきっと勝てる」
トーンに言われたここなは、自分の席に戻り、カバンからブライトマイクを取り出す。
「アイドルシンデレラ・オン・ステージ!」
するとマイクは光り輝き、ここなを包み込んでいった。
ここなの体は、青い光に包まれた状態となった。
「レッツドレスアップ! 軽やかなシューズ!」
こう唱えると、ここなにブーツが装着される。
「華やかなドレス! きらびやかなアクセ!」
ステップを踏んでいるここなに、衣装やアクセサリーが装着されていく。
「つややかなヘアー!」
そしてここなの青色の短いポニーテールが、水色の長いものに変化する。
変化が完了し、ターンをすると、ここなは無意識にこう言う。
「きらめく大海原! アイデレラ・オーシャン!」
変身したオーシャンは、現れたステージの上に立つ。
「あの人見たことある……」
とステージの向こうからクラスメイトの声が聞こえる。そして曲が流れ始める。
「みんなに届ける〜幸せの歌〜」
オーシャンの可愛さを感じられる歌声が、響き始める。
「私は〜みんなと〜幸せになりたい〜」
クラスメイトたちは、サイリウムを振ってオーシャンを応援する。
「ずっと〜つらかった〜何もかもが〜」
オーシャンは、自分の気持ちを歌に乗せていく。
「でも〜みんなが悲しいのは〜いやだから〜」
オーシャンの心が、少しずつ回復していく。
「幸せの歌を〜届けたい〜」
バラード調の曲が終わり、クラスメイトから温かい拍手が送られる。オーシャンは、涙をこらえる。
そのとき、オーシャンはミュージックプリズムが降ってくるのに気づく。手をかざそうとすると。
「!」
ダーコンが、ミュージックプリズムを一瞬で奪ってしまった。
「これでお前は俺を攻撃できない……」
「……」
ダーコンに勝つ手段を失ったと感じたオーシャンは、握った両手を震わせる。そのときダーコンは、オーシャンに攻撃する。
「出てこい、雷の鎖!」
「きゃあああ……!」
雷でできた鎖が現れ、オーシャンを締め付ける。しびれる感覚が同時に襲ってくる。
「オーシャンになんてことを……!」
とトーンがステージに現れる。数秒後オーシャンは解放されたが、その場に倒れてしまう。
「オーシャン!」
オーシャンは全身がしびれており、うめくような声を上げている。トーンがオーシャンの体を揺するが、反応はない。
「今回は俺の勝ちのようだな」
ダーコンは、オーシャンを見下すように言った。
「どうしたら、ミュージックプリズムを取り戻せるんだ……。そうしたらオーシャンを助けられるはず……」
と悩むトーン。そのとき、ステージの上に大きめの光が現れる。収まり、出てきたのは。
「スノー……!」
「やめなさい、ダーコン」
「も、もう一人出てきたか……」
ダーコンは、慌ててミュージックプリズムを隠そうとする。アイデレラ・スノーは、それを見抜いていた。
「スノー、オーシャンを助けるのを手伝ってほしい」
「ええ」
スノーはうなずくと、倒れているオーシャンに視線を向ける。
スノーとトーンは、オーシャンを助けられるのか。そして、ダーコンとの勝負の行方はいかに……!?




