Stage8 ここな、ゆきねのライブに行く(1)
ここなは学校に向かっている途中だ。
「あれは……ゆきね!?」
目立つ銀色の髪が、ここなに飛び込んでくる。ゆきねは、ここなの数メートル先を横切ろうとしている。ここなは、ゆきねのもとまで走る。
「あら、ここな」
「これからどこに行くの?」
「お仕事だよ。あたしは数日後にライブを控えているの。それに向けて歌やダンスを磨いていくの。あっそうだ」
ゆきねは、カバンの中を探り、ここなにあるものを渡す。
「あたしのライブのチケット、あなたにあげるよ」
「いいの!?」
「あなたがアイデレラになってくれたお礼に」
「ありがとう、ゆきね」
「じゃ、そろそろ行ってくるね」
ゆきねは、急ぐように走っていった。
「ゆきねのライブ、ついに行ける……!」
ここなは、チケットを胸に当てながら満面の笑みを浮かべた。
★
ゆきねのライブ当日になり、ここなは、ライブ会場まで向かった。チケットに書かれている番号の席を探す。
「わぁ、一番前だ!」
ゆきねと友達になったとはいえ、ここなにとっての憧れの存在であることは変わらない。そんなゆきねのパフォーマンスを近距離でじっくり見られるのは、天にも昇るような心地だ。
そしてステージに照明がともり、白い衣装を着たゆきねが現れる。
「みんな、今日はあたしのライブに来てくれてありがとう!」
ゆきねの登場に、観客が大声で歓声を上げる。客席は満員の状態だ。ここなは、ゆきねの名前が書かれたうちわを振る。
「みんな元気いっぱいだね! じゃあ早速歌います!まずは『Snow Fairy』!」
ゆきねが曲名をコールすると、曲が流れ始める。ゆったりとしたテンポに合わせて、ゆきねは踊り始める。
「真っ白な〜銀世界に〜」
ゆきねの手先やつま先が、滑らかに動いている。
「たたずむ〜妖精〜」
柔らかい表情のゆきねに、観客たちがゆっくりサイリウムを振る。
「ゆきねの歌声、すごく綺麗……」
とここなの目が輝く。
「たくさんの〜キラキラを〜見つけていこう〜」
曲が止まると、ゆきねは胸に両手を当てるポーズをとって静止する。会場は、拍手に包まれていく。
「ありがとう、ゆきね……!」
ここなは、ゆきねに聞こえるくらいの声でお礼を言った。
「みんな、大きな拍手をありがとう! ふふっ、次の曲に行くね!」
ゆきねが、次に歌う曲をコールしようとすると……。
「きゃあ!」
ステージの上に、何者かが突然降り立ったのだ。ここなとゆきねにとって見覚えがある。
「あいつは、バッダー……!?」
「ライブの邪魔をしないで!」
よく見ると、バッダーは、手に黄色い猫を抱えている。
「あの猫は一体……?」
猫の首輪からは、ミュージックプリズムによく似た飾りがついている。それにここなとゆきねが気づく。
「俺の嫌いな、綺麗な歌声をいっぱい響かせるなんて……、出てこい、サッドン!」
バッダーが魔法を使うと、ステージの上に怪物サッドンが現れた。
「☆→%¥$$☆→☆○¥〜!」
不協和音を響かせ、観客が次々と座り込んでいく。ここなとゆきねは、なんとか耐えようとする。
「ゆきねが危ない……!」
ここなは、ステージにゆっくり上がり、サッドンに襲われそうなゆきねを助けようとする。
「ここな……!」
座り込んでいたゆきねは立ち上がり、ここなの手を取る。そして二人は、ブライトマイクを取り出す。お互いにうなずき、呪文を唱える。




