少女救出作戦
「シェンラー、君たちは作戦通り、この町で待っていてくれ。」
「あぁ。あんたも気をつけなよ。」
私は視線をシェンラーからタサに切り替える。
「タサ、行こう。」
宿屋を出て5分ぐらい。城についた。だが、そこにあった城は、先ほどまでのものとは大きく異なっていた。何と言うか、凶々しい。
「!!」
「タサ!アレ!!」
日はほとんど沈み、夜と言っていいだろう。その空に赤い衣が浮かび上がる。
「ドラゴン…」
私の中には二つの選択肢がある。一、タサと逃げる。二、少女を助けにいく。
「…」
どちらでもないな。私は…どっちも成し遂げる!
「タサ、少しの間、時間稼ぎお願いできる?」
相手はドラゴン。タサが強いからと言って長く持つとは思わない。
「誰に物言ってるの?余裕に決まってるでしょ。」
「フフッ。頼もしいね。頼んだよ。」
私はドラゴンをタサに任せ、城内に向かった。
「やけに静かだな。」
戦いが終わった後だから当たり前だけど。私は場内を進んだ。
(闇雲に進んでも見つからないだろうな…)
すると奥から足音が聞こえてきた。
「!!」
足音の正体は、ゴブリンだった。武器を持たず、立ち止まり、こちらを見ていた。
「敵…?」
「つい、て…こ…い…」
「!!」
ゴブリンが喋った。それだけで私の中では驚くに値するものだった。ゴブリンは私に背を向け歩き出す。
「いく先もわからないし、ついて行ってみるか!」
ゴブリンに先導されること数分。気づけば地下に来ていた。
「道、真っ直ぐ…出口…」
そう言い残し、ゴブリンは地面に倒れ込んだ。そのゴブリンの体は少しづつ灰になっていった。何だったんだろう。そんな気持ちが心に残った。すると、右の壁沿いに扉があることに気がついた。扉に近づき開けようとする。だが開かない。
[ここからは、本編の内容と一緒です。(第一話 救いの手)]
私とヴィーシャは、無事、城から脱出することに成功した。しかし、ドラゴンに追いつかれてしまった。これが今の私の状況だ。私はドラゴンを見ながら、日本刀を抜く。
「ヴィーシャ、走れるか? いや、走れなくても気合いで走れ。」
私はヴィーシャの背中を強く押した。それを受けヴィーシャは、勢いよく走り出した。走っていくヴィーシャに私は叫んだ。
「下の街の宿屋でシェンラーという人を尋ねろ!お前の力になってくれる!」
ヴィーシャは振り向かずに走っていった。それを見た私は、目の前のドラゴンと向き合う。
「おい、人間。お前は俺を倒せるのか。」
ドラゴンが問いかけてきた。話すドラゴンは珍しくない。
「うん、勝てるよ。私が本気を出したら。」
「ほう。」
「その前に。私の仲間はどうした?」
「あいつは気絶させた。まだ死んでいない。」
「そうか。なら、安心して戦える。」
ドラゴンは自分の強さに圧倒的自信がある。実際、圧倒的に強い。たが、その油断が私に勝利を与える。
「!!」
ドラゴンは衝撃を目にする。目の前のエルフの魔力が膨れ上がっていく。
「こんな魔力量ありえん!」
「普通ならありえない。でも、私は例外。」
緑色だった髪は、白銀に代わり、月明かりに照らされていた。
「白銀の髪、長い耳、魔法使い…!!、お前、何者だ!」
「私は、エルフの中のトップレベルの魔法使い。ただそれだけ。」
白銀の魔法使い。本名;アタラ・クライシス
現代最強の魔法使い降臨
とうとう。本編の三話ぐらいに追いつきました。これからもよろしくお願いします。