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八界  作者: 鬼頭悠莉
第壱章 生界編
1/5

第一話 移遷

はぁー••••••はぁー•••••••

ここまでか。


「うわぁ•••• !」

「お前は不運なやつだな」

(なんだこれは?)


「お前はーーーーーおれをーーーーー」


「ーーーーーーーで危険だ」


(えなんか濁っててなんも聞こえない)


「まーいー、ーーー」

(やばいやばいやばい、剣で刺されるー!)


うわぁぁぁーーーーーー!


「……」


目が覚めたら目の前はいつも通りの俺の部屋だった。


「なんだ夢か…」


すげー怖い夢を見てた気がする。

その、なんか…剣かなんかで刺されるような夢みたいなやつ。

まぁいい、どーせ夢だ。

現実世界なんかでおこりやしない。


「さてと準備しますか」

そうして俺はいつもどうり出勤の準備をした。

顔を洗い、スーツを着て、朝食を食べて、家を出た。

変わらない日常だ…。



俺は21歳のクズサラリーマン、山田鉄人だ。

高卒で働き始め3年が経つ。

仕事では失敗ばかりしてみんなに迷惑かけてばっかりいる。

もうそろクビになってもおかしくない。


なんで失敗ばっかしてるかって?そりゃー俺になんの能力もないからさ。

俺だってよある程度の高校に行って、大学にも入って、家庭もつくり、人並みの給料が貰える会社で働きたいよ。


でも無理なもんは無理だ。

そうだろ、いくらLv1のモブが頑張ったとしてもLv99の猛者には勝てない。

それと一緒だ。

はぁーやだやだ……。




そして俺は会社に着いた。

会社でクソ上司の罵声を浴びながらやりたくもない仕事をこなす。

そんな毎日が俺の日課みたいなものだ。


ようやく退勤の時間だ。

はやく家に帰って1人で酒でものみたい。

そんなことを思っているとあのクソ上司が近づいてきた。


「おい山田、今日飲み会あるからな。お前参加するよや?」


最悪だ。このタイミングに飲み会かよ。


「わ、分かりました。」


しょーがないじゃないか。上司の言うことは絶対!なんだから。


「場所はスマホに送っとくわ。確認しとけよ。」


はぁー………地獄の始まりだ……。

また悪口を聞きに行かないといけないのかよ。




飲み会は駅前の繁華街の一角にある焼き鳥屋さんで開かれた。


「それでな、こいつまたミスしやがってよ。なんも使えんわー!」


上司の俺への悪口が店の中で響く。

もう少しボリューム下げて喋れよ、常識知らずかよ。

いつもと変わらない上司の悪口大会の飲み会だったのに何故か今日だけ長く感じた。



21時すぎだろうか。

やっと飲み会が終わった。

飲み会が終わった時の開放感はたまんねーな。


1人で2軒目行こうか迷ったがやめといた。

終電がもう近い。


さすがにホテルに泊まるのだけは嫌だ。

ただでさえお金が無いって言うのにここでホテルにお金を出すのは金欠サラリーマンからしたらだいぶ痛い事だ。

だから家に帰る。




電車に乗り最寄り駅へとむかった。

最寄りの駅から出るといつもと変わらない風景。

特に都会とも言えないが田舎とも言えない場所。

住宅街が広がっている。


いつもの帰り道を歩いて帰る。

人道りは少ない。


足早に家へと向かうと交差点に引っかかった。

くそ、もう少しで家だっていうのに。

しゃーない、待つか。


車があまり通ってないからって言って信号無視して捕まるのはゴメンだ。

信号が青に変わるのを待っていると、ふと空に異変お

きているのにきづいた。



その瞬間、爆発音と光とともに俺は吹き飛んだ感覚がした。

骨の砕ける音、なんかの器官が弾ける音など色々なもの聞きこえた。

いや聞こえたというか身体がそう感じてた。

そう、死を感じてたのだ。



まぁ、あの爆発で生き残るなんて不可能か。

どうせ俺が死んだ所で誰も悲しんだりしないだろう。

家族ぐらいかな、悲しんだりしてくれるのは。


他のやつなんて嬉しいだろう。

特に上司。

俺みたいな役に立たない部下が減って喜んでるに違いないな。



でも死ぬのか……。

特にやり残したことなどないか……?いやないわけないか。


まだ21年しか生きてないからやりたいことはまだ沢山あるはずなのになんか悲しいって思いはあまりない。

でもなんな少し虚しいな。

これが"死"ってやつか。



しゃーない、そういう運命だったのだ

憎むな、来世に期待しよう。


来世は人並みの頭の良さで人並み人間性をもって、人並みに生きていく運命の人になりたいな。

あぁ……気が薄れていく……。

もう終わりか………。

そんなことを思いながら俺は気を失った…。




ようやく俺は目を覚ました。

お、天国か?それとも地獄か?

三途の川とか渡らせられたりして。


そんなことを考えてるのが無駄だと思ったのは目が覚めて2秒もたたないうちだった。

驚いたよ。


そこは草原だった。

え、いまさっき俺って爆発に巻き込まれて死んだよね?

え、ここが天国?


天国ってなんか雲の上にある楽園とかじゃないの?

それがまさかの草原って、笑わせんなよ。


しかも体には以上もないし五感もしっかりとあった。

じゃなんでこんな草原みたいなところにいるんだ?


本当に天国ってことは無いだろうな。

いやでもありえるか。


雲の上にあるのは俺ら人間の想像に過ぎないからな。

本当は草原地帯でしたってことも無きにしも非ずだ。


こんななんも無いところで1人寂しく一生暮らすなんて嫌だ。

急に天使みたいなのが現れて「あなたは地獄行きよ」なんて言われるのも嫌だ。


でも何もしない訳には行かないから付近を散策してみることにした。




やっぱ何も無いただの草原地帯だった。

動物なんて1匹も見つからなかった。虫もだ。

強いて言うなら岩がところどころあるぐらいだ。

それ以外全部草。

本当になんで俺はここにいるんだよ。


水なんて一滴も見当たらない。

もしかしてこれが来世?

いや来世っていうのは生まれ変わって別の生き物になるってことだからこれとは別か。



じゃーなんだ、転生か。

でも転生って知らない異世界に赤ちゃんとして産まれましたってことだよな。

赤ちゃんじゃないし見た目も変わってないからこれも違うか。



じゃーなんだ?

三途の川を渡るために今順番待ちでもしてるのか?

そっちの方が辻褄が合うがなぜ俺一人だけなんだ?

もう1人2人いてもおかしくないだろ。


ならやっぱ異世界転生?

いや言うなら転生じゃなく"転移"の方か。

体とか記憶は元のまんまだからな。


でも異世界ってなんかお城とかそびえ立っていて、城壁の中に城下町的なものがあるのが思い浮かぶのだがそれは違うのか?

まぁ、場所によるか。


田舎に転移するか都会に転移するかのどっちかだもんな。




考えるのが面倒くさくなってきた。

そしてお腹が減った。

夜ご飯も食べずに変なところに来てしまったからな。

せめて水かなんかを飲みたい。

でもこんなとこなんもないか。

いや探す。

こんなとこで飢る訳にはいかない。


いや、でももう死んだか。

飢えて死ぬこともないかも。


でも俺は数パーセントの可能性を信じて水を探し求めた。

そう、異世界だという可能性だ。




さっきよりも遠い範囲まで調べることにした。

元いた場所が分かるように目印を立ててさあ出発!

と言いたいところだが、目印にするものがないなぁー。

仕方ない胸ポケに入っていた名刺ケースと腕時計を置いとくか。


ん、おかしいなー。

いつもなら入ってるはずなのに今日に限って入ってないか。

仕方ない腕時計だけにするか。

え……腕時計もないだと。

おかしい。

俺は確かにつけてたはず。


爆発に巻き込まれる前まではつけてたのは確かだ。

おいマジかよ。

私物まで無くなるのは勘弁してくれよ。

高いんだぜ、あの時計。


仕方ない。

無くなったものはもう取り戻せない。

穴でも掘って分かりやすくでもしとくか。



そして当たりを探索した。

そして俺はあるものを見つけた。

水溜まりだ。

いやー助かったー!

水があれば2週間は生きていけるからな。

それにしても急に水溜まりがあるのはびっくりしたな。



そこは俺が目覚またところから数十分歩いたところにあった。

水を飲み、今夜はそこで過ごそうとした。




日はもうそろ3時を指す頃だ。

地球と同じ時間軸かは知らないが同じ感じがする。

体内時計がそう言っている。

俺はぼんやりと空を眺めている。


「悪い夢を見てるに違いない」


そう俺は呟いた。

さすがに21歳の世間知らずでも異世界に転移するのが現実に起こらないなんてわかるに決まってる。

五感もはっきりしてる深い夢だ。

俺はそう思い込んだ。

だがその思い込みは数十秒のうちにかき消された。


後ろからなにか話しかけられたのだ。

驚いたよ。

いや驚きすぎて腰を抜かしたよ。

だってさっきまで人の気配なんてしてなかったんだもの。


俺は殺されると思った。

俺の下半身からは恐怖によってでた水がズボンを濡らしていた。

恐る恐る顔を見た。


そこにあったのは、前世でも見た事のあるような顔だった。


人間が目の前にたっていたのだ。



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