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家族が他人になった話

作者: 雪下月華


 今日、久しぶりに実家に帰った。


 両親から新しい銀行のカードが実家に届いたと連絡があったからだ。


 ここ最近は仕事も忙しく久しぶりの帰宅だったが、両親は二人共元気だった。


 見慣れた風景、少し寂れた家々、どことなく懐かしい風景と共に新築の家が建ち並ぶ。


 

 私は新しいカードを受け取りる昼食にインスタントラーメンを食べながら世間話をした。


 お茶を飲みそろそろ帰ろうかと席と立つと、何故か両親が一瞬暗い顔をした。


 一旦持ち上げた腰を降ろした私の目の前に二人は住民票を広げてみせた。



 「――あのな、その、なんだ、お前の姉さんこの人の養子になったんだ」


 

 私は訳が分からなかった。


 姉が養子になる?


 そこには見知らぬ名前が書いてあり、我が家の一覧から姉の名前が消えていた。


 

 遥か昔に家を出た姉。


 何があったかは正直私は知らない。


 興味もなかった。


 何と言うかあまり姉とは仲が良くなかったからだ。


 両親と何かあったのであろうことは薄々感ずいていたが、わたしもあえて聞かなかったし、二人も私に何も言わなかった。


 それが突然、今日から姉が他人になった。


 両親は乾いた笑いを一つこぼしお茶を啜い、私も「……そう」とだけ返した。




 帰宅途中、私は何故か姉の名前をXで検索した。


 特別養子縁組についても調べた。


 家に帰るまでもう何が何だかわけがわからなかった。




 ――私も親孝行物ではない。


 どちらかと言えば親不孝者だ。


 けど、


 けど、あんな顔の両親を見るのは初めてだった。


 ぎゅっと胸が締め付けられた。


 姉の事なんか正直どうでもよかったけど、”お前”を産んだ実の両親にあんな顔させやがったあいつがどうしても許せなかった。




 私は家に帰り大好きなアニメを見まくって嫌なことを忘れようとした。



 ふと家族で過ごした日々が脳裏に蘇ってくる。


 本当にどうしようもない姉だった。


 だが、きっとあいつにも色々事情があったのだろう。


 でも、だからって他に何か良い方法は無かったのか?



 「――今日から姉は他人だ」


 

 私はこの言葉を一生死ぬまで忘れないだろう。


 

 


 


 



今日、実際に起きた出来事です。


この感情を忘れない様ここに書き残します。


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― 新着の感想 ―
 この文章(あえて作品とは言いません)に対して「面白かった」と言うのは、私としても納得出来ないし、励ましたり慰めたりするのも間違っていると思います。 「こういう事実があった」という事を、何故か私も覚え…
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