それでも地球は曲がってる
ある日世界中が驚きました。
地球が各国元首に「私は曲がってる」と言ってきたのです。
地球は「体のコリが酷くていつもほぐしていた。水分を含んだ海の柔らかい地盤などで曲げていたのに」と主張しました。
でも人間には水底は見えませんから気づかなかったのです。
各国元首は一致団結して海面上昇の窮状を地球に訴えました。温暖化対策に努めても間に合わない、と。
地球は海底を曲げて巨大な窪みを作り海水を貯めてくれました。おかげで沿海部の人は安心して住めるだけでなく、豊かな漁場を得て暮らしも大変潤いました。
羨ましく思った海のない国は湖川の底を変えてもらいました。低予算でダムができ、湖に滝を出現させて観光客を集めたりと、皆は大喜びでした。
しかし悪い国が地球を脅しました。
「敵国に巨大地震を起こせ。さもないと核を突くぞ」と。
地球は怒りました。カッとなった体はなかなか冷めなかったので、温暖化対策がちっとも進んでいないことに気づきました。地球は人間の身勝手さに心底腹を立ててパンパンに膨らみ、曲がれなくなり、丸くなってしまいました。
温暖化は進むばかり。人間はいつ心を入れ替えるのでしょう。
それまで地球のへそは曲がっているのです。
お読みいただきどうもありがとうございました。
この作品は……
・しいなここみ様主催「500文字小説企画」参加作品です。
・毎週ショートショートnote 参加作品です。出されたお題「それでも地球は曲がってる」を基に執筆しました。
作者はショートショートをはじめ多ジャンル書いています(˶′◡′˶) 広告のさらに下、子猫のバナーから遊びに来てくださいね( ◜▿◝ )