証明
証明
「ふぅ、全く、ビオレータさん、まさか宰相の令息にあれほど辛辣な毒を吐くとは・・・、ナーシサスとそっくりです」
「それは心外です。 ナー姉さんは『剣聖』の加護持ちです、本当に無敵なのです!
それに、殿下にトドメを刺したのはカタリーヌ先生ではありませんか」
「わたくしが至らないばかりに、ご迷惑をお掛けしました」
「「「何を?」」」
「本当は、わたくしがお止めしなければなりませんもの・・・」
「側近の筆頭がバカボンの無能で、周りに煽り囃し立てられてるのに本人が気付けないなら、注進を聞き入れることも無いでしょう!」
「ビオレータさん、マッティ殿下派に辛辣ですね?」
シルフィーは知らないのであろう、第一王子と第二王子、それと王妃のエプタ子爵領に対する仕打ちを・・・
「シルフィーさん、王妃とその息子王子たちは、エプタ子爵領に多大な嫌がらせをしてるんですよ!」
「え?」
「ナー姉さんが王妃と第一王子に嫌われていて、周りの領主も私達と疎遠になり、通過税も上げられ領民は自給自足でギリギリの生活をしています」
「ビオレータさん、申し訳ありません。
ナーシサスが王妃や王妃の息子王子に嫌われているのは私の責任です。
7年前に私が婚約破棄された時に、ナーシサスは王妃の近衛騎士の内定を蹴りました。
ナーシサスは笑いながら『主君と崇めれない者の騎士にはなれない!』と言って学園の卒業式にも参加しませんでした」
「さすがナー姉さん、人を見る目があります。
マッティ殿下はクズでしょう、それと同じ性根なら第一王子もクズでしょう?
子供がクズなら親もクズです!
現に、私達の領地に対する嫌がらせが全てを証明しています」
三人は、苦笑いで私を見つめていた。
「出来ました~~」
「ビオレータさん、それは何ですか?」
「簡易型衝撃測定器です、ドヤー!」
「「??」」
「成る程、良く考えられています、上からの衝撃を受けて沈み込んだ最大値を記録として残すんですね?」
「さすがカタリーヌ先生、分かってますね!」
「でもこれでは、衝突時の速さが測れません、どうするのですか?」
「それは、今回証明する理論を逆利用します!」
「ということは、4倍の衝撃を受ける高さから落としたときにかかる時間は、最初の2倍になる、ですね、確かに納得です!」
「わたくし、目から鱗ですわ、こんな証明方法が有るなんて・・・」
「こんなアホ見たいな事に時間を費やしていられないです。
簡単にサクサクっと終わらせて、フレイアさんの素材回収です!」
「『こんなアホ見たいな事』って・・・」
「シルフィーさん、私にとっては誰の為とも分からない論文証明よりも、親友の為の素材回収の方が大事です!」
みんなニッコリ笑って私を見つめていた。