ピオニー、転生王女を発見
ピオニー、転生王女を発見
私の名前はピオニー・エプタ、エプタ子爵家の五女である。
私はこことは違う世界の日本と言う国の転生者で、七女のビオレータもそうらしい・・・、らしいと言うのは、私の持つ鑑定のスキルがそう示しているからで、本人から直接聞いたわけでは無いからである。
前世は津田さくら、梅・桃・さくらの三姉妹で、経済・経営学者の先祖が多く、私達姉妹も期待されていた。
特に姉二人はトレーディング才女と言われ、高校時代から株や為替で稼いでいたが、私の方は経営や物流の方が得意であった。
ま、この石器時代並みの物流体系では出番無しだし、経営と呼べるものは領地経営以外になかった。
しかし10歳の時に事件が起こる。
王妃の嫌がらせによる通商破壊に対してビオレータがキレた。
「領民の為に自重を止める」と宣言すると、蒸気機関を開発して蒸気船を造り、上下水道を整備して砂漠を灌漑し畑を造る。
さらには油田を掘り当て発電所を造り電気とガスを整備した。
「G20に入れそうね!」と、つい言葉を漏らすと、「私が学園に入るまでにG8レベルまで引き上げます。」と応えた。
ビオレータが転生者だと確信し、私も自重を止める事にした。
「ビオレータ、輸送機は造れる?」
「ピオニー姉さんは空輸も手掛けるのですか?」
「パラグライダーでも悪くは無いですが・・・、出来ればコンテナ一つ位を今の三倍の速さで運べませんか?」
少し考えてビオレータは話始める。
「現在、偵察・伝令用に水艇を試験運用中です。
稼働機は練習機も含めて10機で、パイロットを養成中でして、少し時間がかかります。
輸送機はその間に建造しましょう。」
「それで構わない、で、どの程度の輸送機が可能なの?」
「ピオニー姉さんは船の科学館に行ったことは?」
ここで惚けても意味はない。
「あるよ!」
「あの庭にあるやつです。」
「うわぁ~、マニアだねぇ~!」
「わ、私の趣味では有りませんよ!
コンピュータ制御の航空機なんて造れませんから・・・」
「わかったわかった、で、練習機のモデルは?」
「・・・晴嵐。」
私は笑いを堪える。
「なぜ笑うんですか?」
「ハハハ、潜水艦に晴嵐・・・、フフフ!」
「とにかく、パイロットの教官を増やしている最中なのでもう少し待って下さい。」
「わかった、宜しく頼むな!」
中々に可愛い妹である。
「ビオレータ、頼みがある。」
「何ですか? ピオニー姉さん。」
「今より遠距離の通信が出来ないかな?」
ビオレータは「あ!」と言って自分の部屋から書類を持ってきた。
「この前、人工衛星の打ち上げに成功しました!
管理はマグノリア姉さんに任せているので確認と器財の受け取りをお願いします。」
「チョッと待って、それって何時でも使えるの?」
「静止軌道上に乗せましたから、何時でも使えますよ!
イヤー、とっても苦労しました、3回目にやっと成功したのですが、最初は距離が足りなくて移動衛星になってます。
2回目は通り過ぎちゃって、ボイジャー1号になりました、ハハハ!」
「ハハハじゃ有りません!
今さらですが、歴史が500年進みました。」
「時代の先取りですね、あと、一時間に1度、衛星写真も送って来ますから気象の確認も出来ますよ!」
「・・・」
「ねぇ~、お願い、リリィ~」
ビオレータは、一つ上のリリィには姉さんを付けない、しかも甘える。
「どうしたの?」
「あ、ピオニー姉さん・・・、ビオレータが
サウスアイランド王太子の誕生日式典に出席しろと・・・」
「あ、あれね、リリィ、エプタ子爵領の為に出席しなさい!」
「ピオニー姉さんまで・・・、ドレスは好きではないのです。」
「ドレスは着なくてもいいから~」
「そうね、王太子は先日の航空ショーを見て招待しているのだから、航空服で構わないでしょう。」
式典には、当日パラグライダーで王城の庭に降り立ち、挨拶の後に空の散歩を誕生日プレゼントとして親交を深めることに成功した。
「ピオニー姉さん、お願いが有るんだけ・・・」
「ロキ公爵領の開拓なら順調に進んでいるけど?」
「それとは別に、これを栽培したいんだけど・・・、出来ればある程度大規模に・・・」
「ん~、シロバナムシヨケギク? これって・・・蚊取り線香?」
「正解、正確にはピレトリン、殺虫剤成分ね!」
「・・・殺虫剤? これって黒い悪魔も殺せるの?」
「勿論、殺虫剤だからね。」
「やるわ、あのにっくき人類の敵に宣戦布告するのよ、駆逐してやる!
ビオレータ、安心して私に任せなさい。」
「いやいやいや、全然安心出来ないよ、栽培目的の主は殺虫剤じゃなくて農薬だからね!」
ウ~~~~~~ッ
『気象警戒警報発令、超大型台風の進路予想に入りました!
現在、ケープシティーに停泊している船舶の商会代表者は、港湾管理棟へ集合して下さい。 繰り返します・・・』
「マグノリア姉さん、あんなデカイ台風が直撃したら最悪です!」
「同感、しかし確率10%!」
「直撃でないにしても風は吹きますし、海上も大しけです。」
「しける前に退避。」
軍施設から港湾管理棟に水陸両用ホバーで移動しながらマグノリアとリリィは話していた。
私は管理棟に入ると、大広間で商会の代表を前に現状の報告をしていた。
「この台風の進路予想では、バングラ大森林とドルト辺境伯領の境目辺りに明後日の夜半頃上陸しますが、このケープシティーも最大で60マイルの強風が吹くと予想されます。」
「タリア王国のルシア商会代表を務めるボルチノです。
この台風では港を出てもタリアには向かえず大海で立ち往生する事になります、どうすれば・・・」
「これからそれを説明致します。
まず明日の午前中までに荷積みが終り港から西又は南に向かう船舶は問題有りません。
次に明日の午後から日没にかけて西又は南に出港予定の船舶ですが、船脚に不安のある場合は申し出て下さい、エプタ海軍が安全地帯まで曳航致します。
最後にケープシティーより東又は明日の日没までに出港出来ない船舶ですが、選択肢は三つ。
一つ目、荷積みをノープル港で行って貰う。
二つ目、荷積みをせず台風を避けて帰国、荷物はリストで提出してもらい後日ピオニー商会が無償で配達いたします。
三つ目、海軍ドックで陸揚げし、台風をやり過ごして頂きます。
只今の説明を持ち帰りご検討ください。
あと、曳航・配達・陸揚げとノープルでの荷積みをご希望されます方は、こちらの管理棟で受け付けます。
宜しくお願いします。」
説明の最中にマグノリア姉さんとリリィが入ってきたのは気付いていた。 二人は入口近くで立っていたが、説明を終えると歩いてくる。
「マグノリア姉さん、曳航の申込が有りましたらお願いします。 その後はコンスタン海軍と話はついていますので、軍港で待機をお願いします。」
「ウィ!」
「リリィはどうする?、鳥島で待機する?」
「歓談中のところ申し訳有りません。
実は折入ってお願いしたい事が有りまして・・・」
「タリア王国のルシア商会代表・・・でしたか? 王弟殿!」
「流石はピオニー商会の商会長、情報通ですね!」
「当然の事です。 エプタ領と友好であるタリア王国の要人を把握していなければ、お忍びの補助が出来ませんからね!」
「有り難う御座います。 それで・・・姪の第三王女が昨日から行方不明でして・・・」
「ラケーレ殿下ですね。 マグノリア姉さん!」
「ラグナルが接待中!」
「ボルチノ殿下、エプタ子爵家次男のラグナルが接待していると言う事で、お忍びを満喫させてあげては以下がでしょうか?」
「しかし、商会としては荷の配達をピオニー商会にお願いして帰国しようかと考えていまして・・・」
「船だけ帰して、殿下達は飛んで貰ったら?」
「失礼ですが、飛ぶと言うのはパラグライダーですか?」
「いえ、飛行艇と言って輸送用の物です。」
「一度見学したいのですが?」
「そうですよね、何か分からないのに返事は出来ませんね?
リリィ、お願い出来る?」
「了解、車借りてくね。マグノリア姉さん、ホバーをお願い出来る?」
「ウィ」
マグノリアはホバーで軍港施設に戻り、リリィはジープをとりに出ていった。
「色々と無理を言った見たいで・・・」
「そんなこと無いですよ、サウスアイランド王国と友好国であるタリア王国とはエプタ領も親交を深めたいと願っています。
また、ピオニー商会としてもルシア商会は注目している商会ですし、この様なチャンスはいかさなければ!」
「そう言って頂けて嬉しいです。」
ボルチノ殿下はニッコリと微笑んでいた。
リリィがジープで管理棟の前に戻ってくる。
後部座席にはラグナルと女性が乗っている。 なるほど、この子が裏の商会長ですか!
「ピオニー姉さん、見学だって? 俺らもいいかな?」
「ラグナル、殿下達は旅客機で帰るから、それまでラケーレ殿下のエスコートをお願いね!
晴嵐の試乗も認めるわ。」
「ピオニー姉さん、晴嵐を飛ばして良いの?」
「リリィ、要人を同乗させるのだから何時もの荒い操縦は止めてね!」
「了解です!」
ラケーレ殿下はボルチノ殿下に気付き隠れた様子でいたが、同じジープに乗るのにバレないはずもないので諦め、ラグナルが後部座席を譲り助手席に座る。
「では、パンツァー・フォー!」
ジープが四人を乗せて走り出す。 戦車では無いのだが・・・ビオレータが変な言葉を教えるから・・・。
まさか三人目の転生者とは、ドルイド・巫女と有りました、味噌や醤油、漬け物など他の国から技術輸入したものかと思っていましたが、そういう事でしたか!
直ぐにビオレータへ連絡しましょう。
停泊中の船は全て出港し、その内10隻が曳航を希望、20隻がノープルで荷積みをし、5隻が配達を頼んだ。
風雨は、40マイル前後の風が一日半ほど続き、しけも二日後におさまった。
台風は、予想よりも東よりに上陸しドルト辺境伯領とマッケイ男爵領は大被害を被ったが、王国の支援も視察も無いようだ・・・、代わりにサターン侯爵・ソーマ伯爵・フリーデン伯爵に支援の通達が有ったが、サターン領もフリーデン領も被災地(実際は気象情報の報告をしていたため被害小。)でありソーマ領もその支援のためと断った。
タリアのラケーレ殿下一行は、台風が去っても5日ほど滞在して楽しんだあと帰っていった。




