決闘
決闘
翌朝、講義開始前にカタリーヌ先生からの報告があった。
「皆さんお早う御座います。
昨日講師会議が行われ、フレイアさん、ビオレータさん、シルフィーさんに6段階の認定が内定しました。」
「まて、その方は何を言っている? 正気か?」
「マッティさん、私は講師会議の報告をしているのです、貴方はこの学園講師総てが気が触れているとでも? それこそ失礼ですよ!」
「・・・」
カタリーヌ先生はマッティ殿下をだまらせる。
「失礼、話を遮られたのでムカッとしました。
先程の三人は6段階と言う事で、新人講師より上位の段階になり生徒のレベルでは有りません、その為三人は生徒から講師とするところですが、未成年ですので研究員となります。
つまり、講師と研究員は同等扱いですので宜しくお願いします。」
「まて、入学の成績では私がトップだったではないか!
こやつ等が講師扱いになるなら私も講師扱いにならねば合点がいかぬ!」
カタリーヌ先生はため息をつき、汚物でも見るような目をしながら毒を吐く。
「試験問題の答えがわかっていれば誰でもトップ入学が出来ますよ、それでもビオレータさんやシルフィーさんに及ばなかったボンクラもいますがね!
精霊を見る事も出来ない者がどの様に講義をするのです?
いくら頑張っても3段階を突破出来ない方を講師扱いに出来るわけが無いのですよ!」
「グググゥ、決闘だ!」
「「「「はぁ?」」」」
「バカなの? 魔法実技の授業初日に放った私の攻撃を受けたいのですか?
死にますよ!」
「お、お前じゃない」
「私、まだ制御が出来ていないので、決闘するとこの国が焼け野原です。」
マッティ殿下はギョッとした顔をした。
「フレイア、お前だ、お前と決闘だ!」
自信満々に指名した。
「フレイアさん、どうしますか?
二人を選らばれるとハルマゲドンレベルの大被害になるので却下するつもりでしたが、フレイアさんなら被害は皆無なので決闘して敗北し、理解して貰いたいのですが・・・」
「ナー姉さんが勝てる気がしないと言ったフレイアさんを選ぶとか・・・、相手の力量をはかれない時点で終わってる。」
「私も無理です。 攻め手が有りません!」
マッティ殿下が睨みつけるが、全然怖くない。 寧ろかかってこいって感じだ!
「わかりました、受けましょう!」
「納得いかない奴、全員でかかって来なさい!」
「ちょっと、エイル!」
「私達は二人だから負けたとか言い訳されたら釈じゃない?」
「それもそうね!」
「カタリーヌ先生まで?」
「どうせ勝つから問題ないし、負ける要素皆無だし、エイルさんやる気だし、言葉で理解出来ないなら痛い目を見た方がいいのよ!」
「・・・」
実技の時間になり、決闘が開始される。
「始め!」
カタリーヌ先生の合図で開始された。
フレイアさんとエイルの対戦相手はマッティ殿下を含む17人、私達三人を除く全員である。
17人の攻撃魔法がフレイアさんに殺到する。
「聖域!」
防御壁『聖域』、全ての害意を無効・浄化する。
防御壁に爆煙が上がる。
「参ったか!」
「俺達をバカにするからだ!」
「見たかこの!」
爆煙が晴れてフレイアさんが現れる。
無傷だが・・・杖を地面に立てたままエイルと二人座り込んでお茶を飲んでいた。
「クソう、何のつもりだ?」
「17人で最大魔法をぶっぱなしてこのレベルとは・・・、アクビが出ます。」
「何を!」
マッティ殿下がエイルの言葉に激昂し剣を抜く、周りの取り巻きも同じく剣を構える。
「しねぇ~!」
ガシャ~~ン
「あ、飛んでった!」
17人が宙を舞い、場外へと飛ばされて行った。
「マッティ殿下以下17名、場外。
勝者フレイア!」
「ちょっと待て、今のは無しだ!」
何が無しなのか? 勝つまでやるとか言い出しそうだな?
そもそも17対2(1人は契約魔獣なので実質1)で負けて待ったは無いだろう!
「フレイアはとても強いのだろう? 他の二人は分からないじゃないか!
次はお前だ!」
マッティ殿下はシルフィーを指差す。
「マッティ殿下、今のは正式な決闘で学園の実技試験評価対象です。 敗者は10ポイント下がり勝者は10ポイント上がります。
三人に決闘を挑んで負けた場合、次の実技試験で60ポイント以下なら魔導科からの除籍が決定し、30ポイント以下なら退学です。
その覚悟は御有りですか?」
「あ、当たり前だ!」
あ、カタリーヌ先生の悪い笑み・・・、不正入学者を処分するつもりだな。
「シルフィーさん、勝てば170ポイント入りますが、やりますか?」
シルフィーは実技の成績だけ弱い、剣士を目指してきただけに訓練不足と言うだけだが、本人はかなり気にしている。
「やります、勝てば170ポイント入るんですよね?
やります!」
「ではフレイアさん、申し訳ないですが、殿下達に癒しを掛けてくれませんか?」
「はい、『エリアヒール』、これでいいですか?」
「はい十分です、開始位置について下さい!」
シルフィーも、クレイモアを構え位置につく!
「始め!」
先程と同じく17人の魔法が飛び出すが、シルフィーはクレイモアで魔法を吸収・・・、レーバテインが食べていた。
「凄いですわね、魔力弾を食べていますわ!」
「剣術も見事です、流石、ナー姉さんのライバルであるヤオさんの弟子ですね!」
シルフィーさんは一人づつクレイモアの腹で場外に叩き出し、数分で終了した。
「勝者、シルフィー!」
「つ、次だ、次はお前だ!」
「はぁ、本気ですか? まぁ、良いでしょう、フレイアさんまたお願いします。」
私はミスティルティンを構えて待つ!
「始め!」
身体強化を発動し、魔法を神殺しのスキルでぶった斬る。
お付き合いで続けていたら、魔力切れで次々倒れて行く、最後に残ったマッティ殿下が魔力切れ寸前で斬りかかってきたが、剣を根元から斬り飛ばして場外に蹴り飛ばす。
「勝者、ビオレータ!」
「圧巻でしたわね?」
「流石、ナーシサスさんが素質は同等と言うだけは有りました。」
三人(一人はエイル)は茶を飲みお菓子を食べて寛いでいた。
カタリーヌ先生はジト目で私を見て呟く。
「なるほど、ナーシサスが愚痴るわけです。」
実験室に移動して今後の話し合いが持たれる。
「今後の授業への参加は自由です、学外へも活動内容を申請すれば出られます。」
「活動内容とは素材採集とか最新魔法の取得、武者修業とかでも構わないのですか?」
「ビオレータさん、武者修業をしたいのですか? ナーシサスが喜びそうです。」
「いえ、ただ聴いてみただけです。 有り得ません!」
「そうですか?、残念です。
ま、その様な理由でも外出は許可されます。
買い物の場合も、素材の買い出しとでもしておけば許可が下ります。」
「ラグナロクの事については面に出さない方が宜しいのですよね?」
「そうですね、もう少し様子を観たいと思っています。
今だと逆に危機感を煽ってしまうと思われます。」
「研究員として研究をしなければ駄目ですか?」
「シルフィーさん、鍛練でも構いませんが、図書館の主となったので関連の学問は学んで貰いたいです。」
「わかりました、その授業の選定はカタリーヌ先生にお願いしても宜しいのですか?」
「そうですね、授業を受けるのと此方で個人的に受けるのとではどちらが宜しいですか?」
「シルフィーさんにはわたくし達の研究も、たまに覗いて貰いたいので此方で受けませんか?」
「ならカタリーヌ先生、フレイアさんの要望もあるので此方で・・・」
「わかりました、空いた時間に此方で対応しましょう。」
「有り難う御座います。」
「では早速!」
昨日の金を取り出し、実験を始める。
ピカー
金はプラチナへと変化して、その横に置いた容器に水が入っているか確認して重さを計量、10グラムあった。
「よし、仮説通り!」
振り向くと、カタリーヌ先生が鬼の形相で睨んでいた。
「ビオレータさん、今度は何をしました?」
「昨日の金を白金に変化させて、余った物で水を作りました。」
カタリーヌ先生は鑑定を発動して確認している。
「はぁ・・・、白金まで作りあげるとは・・・
因みに原価はいくらですか?」
「銀貨1枚はかかっていませんね」
「経済が崩壊するので、この実験は終了して下さいね!」
ニコニコ顔なのに何故か寒気のする笑顔で伝えてきた。




