ピオニー商会の誕生
ピオニー商会の誕生
「投錨、ウェーバーあとは任せたわよ!
ロイド、交渉に行くわ」
「了解です、ピオニー様」
錨を降ろし、ホバークラフトでサウスアイランドの貿易港であるコンスタン侯爵領ノープルに到着する。
コンスタン侯爵にはエプタ子爵の二女カミーリアが嫁いでいる。
港に到着すると、カミーリア姉さんと夫であるコンスタン侯爵が出迎えてくれた。
「長旅、お疲れ様です。
カミーリアの妹のピオニーだったかな?」
「はい、お久し振りです、コンスタン侯爵!
カミーリア姉さん、此方での生活はどうですか?」
カミーリア姉さんは夫であるコンスタン侯爵と顔を見合わせて語った。
「毎日楽しく過ごしています。
エプタの実家はどうですか? 何か大変な事になっていると報告を受けていますが・・・」
「その事も含めて、今回は報告とお願いに参りました」
「カミーリア、こんなところで立ち話もなんだ、邸でゆっくり聞こうではないか」
「そうですね! ピオニー、邸に案内します。
そちらの馬車に乗って下さい」
馬車に乗り、領主邸へと向かった。
「なんと非道な!」
学園での王太子による婚約者断罪劇と、その後のエプタ領とレイネの森への報復を聞き、コンスタン侯爵は声を上げた。
「お父様がお元気で有ることは安心しましたが、それで今後どうするつもり?」
「早急の課題はエプタ領の食料問題で、エプタの食料自給率は7割ほど、小麦に関しては6割を切ります。
ソーマ領を経由してサターン領からとも考えましたが、間のドルト領が海上を封鎖しているため此方に来るよりも遠回りになります。
そこで、コンスタン侯爵に協力をお願いしたいのです」
「それは構わないが、どの様な協力をお望みか?」
「私の名前で商会を立ち上げたいと思います。
軍資金として此方を・・・」
後ろに控えていたロイドが3つの箱を差し出す。
「先ずは此方を売って商会設立費用を作ります」
箱を開けると、1つ目はルビー、2つ目はサファイア、3つ目はダイヤが12粒づつ入っていた。
これにはコンスタン侯爵もカミーリア姉さんも目が点である。
「こちらは全てカット済で、あとは好きな台座にのせるだけです。
あと、こちらはお義兄様とお姉様に・・・」
お義兄様には純度100%鉄の鉄剣、お姉様には椿の髪飾りで、ルビーとサファイアで出来ている。
両方ともビオレータがふざけ・・・コホン、お遊び・・・コホンコホン、ロマンを求めた一品!
「これは・・・、鉄剣かな?」
「ビオレータによるとその剣は、純度100%の鉄で出来ており錆びないそうです」
「は?」
「カミーリア姉さんのは椿を象った髪飾りで、ルビーとサファイアで出来ています。
ビオレータが言うには、ガネーシャが踏んでも壊れないそうです」
「・・・」
「お義兄様、お姉様?
どうかされましたか?」
「これはどちらもビオレータが作成したのですか?」
「はい、ビオレータは農地改革を始めエプタ領の全ての開発を担当しています。
食料問題も2年有れば自給自足を達成出来るそうです」
「ピオニー、ビオレータは本気でその様な事を仰っているのですか?」
「はい、実際にすでに耕作面積は5割増しました。
来年の自給率は8割を越える予定です、あの子は天才です」
「へっ? どの様な改革をしたら耕作面積が5割も増すのですか?
森林の伐採がそれほど短期間で行える方法が有るのですか?」
「いえカミーリア姉さん、森林ではなく、反対の乾燥地帯の方です」
「へ?、乾燥地帯・・・?
確かに乾燥地帯だと伐採に時間を取られる必要はありませんが・・・、でもどうやって?
草も生えないんですよ!」
「ビオレータによると『水が無いから乾燥地帯であって、水が供給出来れば畑』だそうです」
「簡単に言いますが、その水は何処から持って来るのです!」
「森林地帯にある3本の川の1つをせき止め、水の道を約2000キロメートル繋ぎました。
川1本分の水が、現在領都と西の乾燥地帯に常時供給されています」
「「・・・」」
コンスタン侯爵夫妻は、話を聞かされ暫くは固まっていたが、コンスタン侯爵が先に意識を取り戻し質問してくる。
「その様な長い距離でも水を引くことが可能なのですか?
条件とかはあるのでしょうか?」
「詳しい技術に関しては存じませんが、ビオレータによると『水は高いところから低い所に流れるので、取水地より低い場所なら間に高低差があっても水が引ける』そうです」
「・・・それは凄いな・・」
「そんな技術をビオレータは
何処から学んだのでしょうか?」
「謎なのです。
王妃と王太子に経済封鎖をされたと知ったビオレータは、『自重は止めます』と宣言したあと、あの船や昨日リリィが飛んできたと思いますがあの空飛ぶ道具、水を引くための道と信じられない物を産み出しています。
また、周辺領地からの侵攻に対処するために兵器も製作中で、配備が済むと王国の全てを敵にまわしても勝利出来るでしょう」
「エプタ子爵は謀反を起こすつもりですか?」
「まさか、父上は『死に体の王国に止めを刺して悪者になるのは御免』だとハッキリ明言して折ります。
問題は、王国が倒れたあとだと・・・」
「王国が倒れた後の周辺領地への対策ですか!」
「領民の生命と財産を護るのが領主一族の役目だと認識して折ります」
「分かりました、我れコンスタン侯爵はピオニー商会の後ろ楯として協力しよう」
「有り難う御座います」
ピオニー商会は、今後世界最大の海運商会として発展していく!




