転地養蜂
転地養蜂
農場の視察も兼ねてサターン領で2泊したのち、一路エルフの里を目指す。
「あの少し拓けた場所にお願いします!」
シルフィーさんの指示で、エルフの里に近い草原に着陸する。
「この辺は、先日話していた養蜂を営んでいる一族が住んでいる場所です」
「ローダンセマムの草原ですか?」
「はい、少し見頃は過ぎてますけど綺麗でしょ!」
「シルフィーさん、あの森の近くに咲いているのはシロバナムシヨケギクではありませんか?」
「あぁ~、あれは魔獣避けです。
あれを植えると大概の魔獣は寄り付きません!
ビオレータさんはあの花を知っているのですか?」
「はい、シロバナムシヨケギクと言って、哺乳類や鳥類以外の生き物には蓄積して有害になる成分が含まれていて嫌うのです」
「なるほど、どうりでボアやオーク等には効かないのですね!」
「はいそういう事です。
ところでシルフィーさん、この花の種子を頂けませんか?」
「どうするのです?」
「これは、農薬として使います。
蝗害って知っていますか?」
「はい、レイネの森も度々襲われますので・・・」
「特に虫類には最大の威力を発揮しますから、早急に増産したいと思います!」
「え?、ビオレータさん、これで蝗害が防げるのですか?」
「フレイアさん、飛蝗だけでは有りませんよ、あの黒い悪魔にだって有効です!」
「「お願いします!」」
シルフィーさんとフレイアさん揃って懇願してくる。
種子を分けて貰って、サターン領の農業試験場で増やして貰いましょう!
「フレイアさん、あれが養蜂箱です」
「ビオレータさん、よくご存じですね?」
「エプタ領でも取り入れようかと検討しましたが、気候的に暑すぎるんですよね!
それで、学習はしましたが、諦めました」
「何か問題がおありでしたの?」
「気温の問題ですか?」
「はいシルフィーさん、気温が高過ぎました。
密林地帯ではどうにかなるのですが、商品価値としての蜜が採れないことで断念しました。
また、密林地帯には天敵のスズメ蜂が生息していて・・・」
「養蜂に詳しいのですね!」
そこに一人の少女が話しかけてきた。
「ルーリア!」
「シルフィー、久しぶり!
学園はどうしたの?」
「学園は長期連休に入っていて、今はお友達の杖素材を採集する旅をして回っているの!」
「と言うことは、そちらの方々が学園でのお友達?」
「挨拶が遅れました、わたくしロキ公爵家の長女でフレイアと申します。
以後お見知り置きを!」
「私はフレイアの契約魔獣でエイルと申します」
「私はエプタ子爵家の7女でビオレータです」
「私はビオレータの姉のナーシサスだ!」
「私は、この花畑で養蜂を営んでおりますハーフエルフのルーリアと申します、宜しくお願いします・・・」
ルーリアさんは、自己紹介が終ると周りを飛び回るミスティルティンやアルミナ、パナケイアを目で追いかけている。
「あなた達は自己紹介してくれないの?」
「あ、見えるんだ、あたいミスティルティン!」
「失礼しました、パナケイアと申します」
「・・・アルミナ・・・」
エイルの目であるヒュギエイアとイアソも飛び出し挨拶をする。
「私ヒュギエイア、宜しく」
「私はイアソ、宜しくお願いします」
挨拶が終るとエイルに戻っていく!
それを見てルーリアは驚いていた。
「エイルさんは体に精霊を宿しているのですか?」
「エイルは生まれつき眼球が無く盲目の為、精霊と契約して目が見える様になりました。
もともとラミアの性質で、眼球の取り外しが可能だったため契約精霊がその役目をかって出ています」
「そうなのですね、人の体から飛び出してくる精霊を初めて見ましたので驚いてしまいした」
「それよりもルーリアさんは、精霊が見えるのですね!」
「はい、私にはフローラの加護があるそうで、珍しいそうです」
「なるほど、春の女神、花の精霊フローラの加護ですか?
花が咲きほこりそうですね!」
「フレイアさん、お誘いしてみては?」
「お誘い? ですか?」
「はい、ルーリアさんは転地養蜂に興味は有りませんか?」
「転地養蜂とは、南から北へ春を追いかけていくと言う移動養蜂の事ですか?」
「はいそうです!
ロキ公爵領の開拓地で、アブラナとカラシナを作付します。
あと、初夏にはブドウ園も廻っていただきたいと思っています。
そうやって廻りながら、養蜂の希望者に指導も行って、いずれ巣分けをして頂きたいのです」
「蜂達と一緒に旅なんて、とても楽しそう!」
「ルーリア、興味ある?
あるなら一緒に里長の所に付いてきて!」
転地養蜂に興味を持ってくれたルーリアさんと5人で、エルフの里長に会いに行く事になった。




