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グリモア・ライブラリ  作者: カツヤマ403
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杖を造ろう

杖を造ろう


食事の鐘が鳴り、フレイアさん、シルフィーさんの三人で食堂に向かう。

あまりの衝撃的な話に、トレイをテーブルに置き椅子に座るまで三人とも無言であった。

最初に沈黙を破ったのは、散歩から帰ってきたミスティルティンであった。


「たっだいまぁ~~! ビオレータ、あたいの苺ある?」


「ちゃんと取って置きましたよ!」


「「クスクス」」


フレイアさんとシルフィーさんが思わず笑う、ミスティルティンが苺をカブリ、ほのぼのとした空気が流れ出す。


「カタリーヌ先生の話、驚きましたわね!」


「私は、ビオレータさんの話が衝撃でした」


「私、かなりやらかしちゃってるのかな?」


「悪いことをしているのでは有りませんし、気に病む事は有りません!

わたくし達も、何れはなにがしと契約を成立させなければなりませんし!」


「私はエルフなので、ビオレータさんと同じ精霊契約を狙っています」


「でも、媒介による契約なら、良い素材を集めて魔術具作成で合体させれば出来そうですよね?」


「カタリーヌ先生の杖、ですわね?

問題はあの金剛石ですわ、あの大きさは中々見つかりません!」


「そうですか? 家にゴロゴロしてますよ」


「「・・・・・」」


二人ともフリーズしちゃった、またやらかしたかな?


「ビオレータさん、あんな大きな金剛石がゴロゴロしていましたら、貧乏子爵領では有りませんわよ!」


シルフィーも頷いている。

しかし、金剛石は比較的簡単に造れるのだ!

空気中の二酸化炭素をかき集めて、分子構造操作して、小さめだけど此で良いか!


「そうかな?」


「コロコロ」


「「・・・・・」」


二人ともフリーズした後、フレイアさんが慎重に転がった物を摘まんで確認する。


「何処から出しましたの?」


迫力が凄い・・・

よし、誤魔化そう!


「何処からでしょう?」


「鑑定しましたが確かに本物です、しかも直前の魔法行使の兆候、しかしビオレータさんは何も触媒や素材はお持ちしていませんでした。

何の対価もなく行使出来るなら、此はもうカタストロフです!」


いつの間にか、フレイアさんは立ち上がり熱弁を奮っていた。


「フレイアさん、落ち着いて、周り、見てます」


シルフィーが小声で指摘して着席を施すと、フレイアさんは周りを見渡して真っ赤な顔で座り直した。


「ん~~と、フレイアさん、実は素材は見えないだけで存在しました。

これは錬金の一つで物質変換になります。

このスキルの習熟をする為に、私は錬金学科を受験したのです。」


「どういう事ですの?」


フレイアさんとシルフィーさんが真剣な顔で聞き入る。


「私の領地は大半が密林地帯か乾燥地帯で、土地も痩せ農業には適しません」


「そうですね、エプタ領での農業改革は至難の技でしょう」


「そこで目を付けたのが鉱業です。

調査の結果、錫・鉄と少量の銅ですが、一番の埋蔵量を誇るのがボーキサイトです!」


「・・・?、ボーキサイトとは何ですか?」


フレイアはシルフィーと顔を見合せ首を傾げる。


「端的にいいますと、ルビーとサファイアの素材です。」


「「えっ?」」


「ちょと待って下さい!

ビオレータさんの領地は、金剛石にルビー・サファイアと宝石の宝庫ではありませんか、何故に貧乏子爵なのですか?」


「あ、失礼しました。

前提条件を付け忘れていました、私の手が加わってです。

その為、領地の外には持ち出し禁止です。(国外には輸出していますけど!)」


「なるほど、合点がいきました。

ビオレータさんだけが造れても意味がないですもんね!」


私は頷く


「どういう意味ですか?」


「ビオレータさんは、鉱業を領地の産業として発展させたいのです。

それなのにビオレータさんだけにしか造れないのでは意味がありませんし、大量生産して市場を荒らしても損をするだけです。」


「あ、なるほど!」


「ではなぜ、いまそのスキルをわたくし達に披露したのでしょう?」


フレイアさんは首を傾げて質問をする。


「カタリーヌ先生の金剛石は、親友から格安で購入したそうです。

実はあれ、見覚えが有るんですよ!」


「なるほど、お友だち格安でですね!」


私とフレイアさんは、お互いにニコニコしながら頷いていると、シルフィーが訝しげな顔で睨み「二人だけで納得しないで下さい!」と拗ねていた。

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