断罪後のエプタ領
断罪後のエプタ領
「はてさて、どうしたものかのう?」
「父上、申し訳ありません」
「お前が謝る必要など有るまい!
陛下も、王妃や王太子を諌める処か便乗とは、愚王にも程がある。
今回のことで見切りを着けるべきとは思わぬか?」
「王国に反旗を翻すのですか?」
「反旗ではないし、その必要も無いであろう!
死に体の傾いた王国など、黙っていても倒れる。
その下敷きに成らぬよう避ければ良いだけだ!」
「ではどう致します?」
「わしは病に侵され倒れる事にする。
領主代行、特に軍事、情報の責任者としてお主は動け!
いづれ領主代行にピオニーを就ける、経営や商才に抜きん出たあやつなら、王国が倒れても領地は倒れまい。
それから、各地に草を放ち他の貴族の監視を行え!
わしが倒れている間、社交の義務は無い、没落貴族を装え!」
「社交を停止し、日和見すると?」
「左様、王妃腹の王子は期待薄じゃが、側妃の王子はまだ分からぬ、見極めが必要じゃ!
駄目ならわしらは・・・、カタリーヌ嬢を押す。
異論はあるか?」
「いえ、御座いません、が・・・、領地の開発をビオレータに任せても宜しいでしょうか?」
「んーーー、構わん!
しかし・・・ピオニーとビオレータには苦労をかける事に成りそうじゃな?」
その後、エプタ子爵領に対して王妃による通商破壊工作が実施される。
北西部に隣接するウェストウッド伯爵領、北部のランカスター侯爵領(王妃ヘラの実家)、北東部のマッケイ子爵領、東部のドルト辺境伯領が通行税を5倍に引き上げ、商人はエプタ子爵領に来る事は無くなった!
「これで、完全にエプタ子爵領の商業価値が無くなったわね!」
「すまんなピオニー、私の見通しが甘かった。
これ程あからさまな攻撃を仕掛けて来るとは・・・」
「お姉さまのせいではありません、しかしこれで、周辺領地が王妃派閥に染まったとハッキリしました、見えない敵よりやり易い!」
「ナー姉さん、ピオニー姉さん、私に3ヶ月程猶予を下さい!
販路を開拓します」
「ビオレータ、貴女には何かいい案があるの?」
「陸路が駄目なら海路を開きます!」
「サウスアイランド王国・・・、しかし直線距離で1200キロは有るわよ、外洋は波も高い、出来るの?」
「領民の為に自重するのは止めようと思います。
片道2日、これなら生鮮食品も運べるかと?」
「ふ、2日・・・、本当に?」
「はい、任せて下さい!」
自重を止めたビオレータは、2ヶ月後に蒸気機関による最大速度20ノットの貨物船を完成させる。
その後、港湾施設を整備し、クレーンによる積み卸しで簡略化し、貿易量を増やしていく、もう王国の後ろ楯はいらない!
その1年後、水道工事が完了、全領民の家に上水道が、西部の乾燥地帯に灌漑農場または牧場を開き、食糧自給率が100%を超えた。
その翌年、エプタ子爵家で危惧していた飢饉が王国を襲う、ディーン公爵領とロキ公爵領北部は山背の冷害が襲う、王都周辺と王妃派の貴族領を中心に立ち枯れやうどん粉病などが広がり
大飢饉となる。
「おチビが予想した通り、未曾有の大飢饉になったな・・・」
「ウェストウッド伯爵領とマッケイ子爵領からの難民によると、立ち枯れやうどん粉病で生産量が減っているにも関わらず徴税は増えていて、土地を棄てて逃げてきたと聞いていたから、今年か来年辺りにはこうなる予想はついた」
「そこでだめ押しの山背なわけね・・・、うちの領地で起こらなかったのは、くしくも通商破壊工作で物流がなかった為って皮肉ね!」
「話を聞いたときに対策は講じていた!
最低限の農薬を準備していたから問題はなかった。
ちょっと肩透かしだね!」
「ところでピオニー、やはり有ると思うか?」
「有りますね、大飢饉の影響がほぼ皆無なのはエプタ領だけですから、圧力か? 強奪か?」
「後者の場合、天災や自然災害ならば、エプタ子爵家には関係が有りませんよね?」
「おチビ、何を企んでいる?」
「例えば・・・、進行中の部隊に隕石が落下するとか?」
「どう演出する?」
「夜空に火魔法で流星群を降らせます。
その後、爆弾も投下しますけど!
星降りで部隊は全滅して貰いましょう」
「リリィにも話を通さないとな!」
「あと、マグノリア姉さんにもドルト辺境伯を警戒して貰いましょう!
水軍を出して来るかもしれません」
「ナーシサス姉さん、マグノリア姉さんには、帆船やガレー船なんて時代遅れだから拿捕せず沈めて下さいと言っといて下さい!」
話し合いから1ヶ月後、王妃より食糧の拠出を求められ、通行料が払えないと断る。
さらにその1ヶ月後、ウェストウッド・マッケイ・ランカスター連合軍が、15000の兵で進行、その途中で星降りにあい全滅。
時を同じくして、ドルト辺境伯の水軍(戦艦五隻、ガレー船20隻)がエプタ子爵領海域で遭難し、生存者は確認されていない!




