ディープインパクト
ディープインパクト
それから2日かけて開拓村に支援物資を配り、三日目の朝、ダニー男爵邸前に到着した。
面会には当初の予定通り、フレイアさん、シルフィーさん、私と三人で挑む、邸の応接間に通されダニー男爵と対峙する。
「それで、この開拓地から退去せよと?」
「勿論ですわ、王妃様は二年前に開拓は失敗と判断し、元の地主であるロキ公爵に丸投げで返還されました。
貴方はこの開拓地の管理者でも統治者でもありませんし、ロキ公爵の臣下でもありませんから、直ちに不法占拠している土地を返還してロキ公爵領から退去していただきます。
また、不正で取得した資産は没収致します。
最低限の荷物だけ持ちこの地を去って頂きます」
「不正とは?」
「ダニー男爵、あなた、ロキ公爵に開拓地が返還された後も徴税を行っていましたね?
しかも、ロキ公爵には報告連絡は一切なしで税率は法定外です。
これが不正と言わずして何を不正と?」
「何を証拠に?」
「王妃が左遷した徴税官が三人もいるのを貴方もご存じのはず、その三人が証言しましたよ!」
ダニー男爵は思わずというふうに舌打ちをした。
クズ一派はおつむが腐食しているのか? 自らが左遷した徴税官がいるのも忘れて不正とか・・・、馬鹿なの死ぬの?
「退去期限は明日の朝まで、朝には退去していようがいまいが、この邸を更地にしますので急ぐことをお薦めします。
また、くれぐれも、ロキ公爵領内で略奪などの犯罪は起こさないように、その時は貴族ではなく盗賊として対処致します」
それから席を立ち、出口で一旦停止、扉の両脇、壁の向こうに隠れて剣を構えている手下に壁越しで牽制する。
「ミスティルティン!」
ミスティルティンが、シルフィーさんにはクレイモアを、私には自らが剣となり現れる。
「グサッ」
「うわぁ~~~」
フレイアさんは、振り返り「浅慮なこと、戦争をお望みですか?」とニッコリ笑った。
ダニー男爵はガタガタと震えながら崩れ落ちた。
馬車に戻り、いったんダニー男爵邸を出る。
邸内を精霊達に探らせ、不正の証拠を精霊界に送って貰い現金や食糧も没収した。
「これで何時でも更地に出来ます!」
「ビオレータさん、更地にって、どの様な方法で行うおつもりですか?」
「爆破か、爆撃か、ディープインパクト」
「わたくしには詳細は分かりませんが、一番不穏なのがディープインパクトでしょうか?」
「パラグライダーで上空から、隕石並みの速さで鉄球を落とし、クレーターを造り、後に農業用水の溜池にします。
土地の有効活用ですね!」
「王妃派には、ほんと、容赦無い様ですわね?」
翌朝、ダニー男爵邸に動きは無く、退去勧告を無視して居座るつもりの様だ、お昼前にパラグライダーで上空へ、高度を5000メートルまで上昇、ダニー男爵邸の直上より魔法で真空を作り待機。
「こちらビオレータ、ダニー男爵邸直上で待機中、照準よし、何時でもどうぞ!」
「フレイアです、ではカウントダウン始めます。
5秒前、4、3、2、1、・・投下」
「投下!」
ピカッ
「ドゴーーーーーーーーーン」
「我れ、奇襲に成功せり、トラトラトラ!」
目の前にあったダニー男爵邸が光と共に消滅した。
眼下には直径100メートル程のクレーターが出来ていた。




