パラグライダー
パラグライダー
翌朝、無風快晴、子爵家空軍御用達のパラグライダーの初披露である。
おい、そこ、やりたい放題とか言わない!
「わたくしには、これが何なのか分かりませんが、本当にこれで行くのですか?」
「はい、フレイアさんはナー姉さんと、シルフィーさんは私と二人乗りで向かいます。
飛行時間は、アイリス湖まで大体一時間半くらいです」
「そんなに速く着けるのですか?
エプタ子爵領、恐るべしですわね」
「では、行きますよ、ナー姉さん、お先に!」
風魔法でパラグライダーに風を送り、上空1000メートルまで急上昇する。
「きゃ~~~~~~」
シルフィーさん絶叫である。
ナー姉さんも後に続く!
「ヒャッホ~~~」
以外とフレイアさん、余裕だ・・・。
アイリス湖は海抜500メートル、それから背中から風を受ける様に徐々に上昇して、ゆっくり下降しながらアイリス湖に到着、着陸出来る湖畔を探しながら湖を周り、凡そ二時間のフライトを楽しんだ!
「わたくし感動しました、ビオレータさんの領地にはこのパラグライダー? の専属空軍があるそうですね?
飛行中にナーシサスさんにお伺い致しました」
「はい、本来は南にある海の警備の為に監視する方法は無いかと持ちかけられて、高い所から見渡せば良いと提案した事から派生したものです」
「確かに、高い所からなら広範囲に遠くまで見渡せますものね!」
「ただ弱点も御座います。
飛行には天候が影響します、落雷や豪雨、強風などの荒れた天気ですと飛行の難易度が急上昇します。
なので、今日は晴れて良かったです」
「そうですね、晴れていたので凄く眺めが良かったです。
最初は突然風に飛ばされた感覚に驚きましたが、飛行中はゆったりと時間が進み楽しかったです」
「エプタ領に遊びに行ったら、一人で飛行する訓練をしますか?
風魔法が使えれば七日間で自由に飛行出来る様になりますよ!」
「「是非お願いします!」」
それからナー姉さんと二人には昼食の準備をしてもらい、私はシルフィーさんの剣を作成する。
やはり湖は、ホウ素の含有量が高く、大量に採集させてもらった。
これでウルツァイト窒化ホウ素のロマン武器が・・・
「ウフフ、ウフフフフ」
「おチビ、そろそろ昼食だよ、悪巧みは終りにして食事にしてくれ!」
いそいで造り上げたウルツァイトの紅いクレイモアを精霊界に保存して食事をする。
「食事が終わったら、少し早いですが山を下りたいと思います。
採集がはやく片付いたので、ロキ公爵領の農地を視察して周りたいです!」
「わたくしどもも、開拓に力を入れているのですが、残念ながら、北部は寒冷地ということで中々前に進んでいません」
「そちらの説明も兼ねて、帰りはフレイアさんが私と、シルフィーさんはナー姉さんと乗って下さい!」
食事を終えるとパラグライダーに乗り、行きとは違い低空を農地を観察しながら飛行する。
「この辺の畑は夏小麦でしょうか?
背丈が低く、成長も遅いような?」
「領都での開拓者募集に応じてくれた方が、小麦を中心に栽培している様です」
「土地に作物が適していない可能性もありますが、土壌も確認して、要相談ですね!
では次に向かいます。」
「ここは放牧地ですか?
山羊が多い様ですが、特産品はチーズですか?」
「ビオレータさん、さすがですね、ここは元々から人の住んでいた地域でチーズやバター等の加工乳製品が特産です」
「では、次に移動します」
「これは酷い、葡萄畑が真っ白です。
霜にやられていますね!」
「今年は雨が多く、気温が上がらない時期が長く続き、そもそも収穫量が年々落ちていた所にこの病気です。」
「ん~~、ではあの一番酷い畑でお試しです、あそこなら失敗しても文句は出ないでしょう!
あった、これこれ、パラパラ、パラパラ、10日ほど様子を見て下さいね!」
「なんですか、今のは?」
「子爵領で使っているうどん粉病等のカビ類に使っている農薬です。
効果が有る様なら取り寄せましょう、場所を覚えて置いて下さいね!」
それからも暫く巡回して、日が傾き始める頃に領都へ帰還する。
翌朝、港湾施設予定地の視察である。
本日は、ナー姉さんと二人でテイクオフ、フレイアさんとシルフィーさんも行きたがっていたが、領地のお仕事であるため遠慮してもらった。
領都から港町ポートタウンまでは直線で150キロメートル、馬車で約3日かかる。
上空3000メートルまで上昇して、降下で速度を上げて二時間程で現地に到着、港町を徘徊していた。
「町の治安は、そう悪くは無いですね!」
「問題は領都までの時間だな、移動に3日はかかりすぎる。
うちの領地なら1日もかからない距離だ!」
「街道整備も手伝わないといけないかもしれませんね!」
「うちの商業ギルドに頼めば何とかなるよ!
それよりうちらは、こっちの商業ギルドに港湾の使用料と労働者の賃金の確認ですね!」
港湾施設の入口に、忙しく人員の遣り繰りをしている場所で話をきく
「すみません、伺いたい事が有るんですが・・・」
「仕事の依頼なら中で聞きな!」
ゴッツイ30前後の男が建物の中を指差す。
建物の中に入ると受付窓口があり、20代前半位のキリッとした女性がいた。
「すみません、少々お伺いさせて下さい!」
「仕事の依頼ならこちらで、労働者登録なら向だ!」
「ではこちらで!
数日後にエプタ子爵領からの大型輸送船が入港します。
その時に停泊出来る波止場と荷下ろし出来る場所の確認に来ました」
「話は聞いている。
私が案内しよう、私の名前はスクルド、宜しく」
「私はエプタ子爵の七女、ビオレータと申します。
こっちが姉のナーシサス、宜しくお願いします」
「では案内しますので、付いて来て下さい!」
建物の外に出ると、大型の船が荷物を下ろしていた。
「こちらには、今停泊している大きさの船がもう一隻停泊出来るので、伝え聞いている長さでも問題はないと思います」
「水深の方はどうですか?」
「確か三メートルは欲しいという話でしたね?」
「はい、無理でしたら、沖に停泊して荷物を運ぶ方法も取れますが、時間がかかりすぎますので・・・」
「大潮の干潮時に三メートルを切ります、大潮に当たらなければ問題は無いかと・・・」
「そうですね、最大積載時に船底三メートルですから、今回は大丈夫です」
「・・・あの、お会いしたらお伺いしようと思っていましたが、本当に一度に馬車200台分の荷物が運べるのですか?
しかも、荷下ろしに半日とは? 到底信じられませんが・・・」
「そうですね、あれは見なければ理解出来ないと思います。
船が着いたらピオニー姉さんの指示に従って下さい!」
ひとます、港湾施設の確認と手配が終り上空へと飛び立つ、上空3000メートルまで上昇し、海岸線に沿って南下する。
「よいしょ、あ~あ~、ナー姉さん聞こえますか?」
「あ~、聞こえる!
そろそろ時間だ、くるぞ!」
「ザザ、ザザ」
「こちらピオニー、ナーシサス姉さん聞こえる?」
「おう、聞こえるぞ!」
「現在、目的地まで500キロメートルの海上、明日の夕方までには到着するわ!」
「ビオレータです、停泊地は大潮の干潮時には三メートルを切るそうです、なので、翌朝に入港して下さい!」
「ビオレータ、お疲れさま、了解!」
「ピオニー、私も疲れているのだが?」
「脳筋は疲れない、労って欲しければ妹よりも役に立て、以上、通信終り」
「ザザ」
「なぁ~、おチビ、ピオニーは何故私に冷たいんだ?」
「・・・ナイショ・・・」
学園時代に、「ナーシサス様はカッコよくて華やかなのに、どうして君は地味なの?」と、交際を申し込んだ相手に言われたらしい!
言えるか~~




