婚約破棄とラグナロク
婚約破棄とラグナロク
「カタリーヌ、そなたとの婚約を破棄する。
理由は分かっておろう?」
唐突に始まった断罪劇に、学園冬のパーティーは騒然となった。
「マーカス殿下、全く見当も付きませぬが、如何な理由でしょうか?」
「惚けるな!」
殿下が手元に有ったグラスを投げ付けてくる。
「ガッシャン」
グラスは私に当たる事はなく、殿下の目の前に転がっていた。
「この国は、婚約者を理由も告げずに棄て、グラスを投げ付けるのが礼儀か?」
「ヤオ?」
いつの間にか隣に駆け付けていたらしいヤオが、グラスを叩き落とした様だ!
「きさま~、殿下に対して不敬な、切り捨てくれる。」
殿下付きの腰巾着、騎士団長の嫡男ブルータスが剣を抜く!
「黙って見ているつもりでしたが、致し方ありません!
私がお相手致しましょう」
ナーシサスが剣を抜き、ブルータスに立ちはだかる。
怯んだブルータスに変わり、殿下が口を開く
「ナーシサス、貴様は母上の近衛騎士ではないか!
なぜ我等に剣を向ける。」
「殿下は何か勘違いをなされているのでは?
私はまだその様な役職を拝命してはおりません。
そもそもそれは、時期を見て王太子妃の近衛騎士となる約束の元で交わされた内定です。
王太子妃がカタリーヌ嬢であるならともかく、その隣の破廉恥令嬢がなるならば、慎んで御断りさせて頂きます。」
ナーシサスは私を見てニッコリと笑って、「クズとの婚約破棄、おめでとうございます」と挨拶をして手を差し出した。
ナーシサスにエスコートされ、ヤオがその後をクレイモアを背中に担ぎゆっくりとパーティー会場を後にした。
「やはり、クズの息子もクズか、どうしようもないクズ母子だな!」
部屋に戻って、三人でこれからの事を相談すると、ナーシサスが殿下と王妃の毒を吐いて呆れを口にする。
「私やナーシサスは実家に帰れば何とでもなるが、問題はカタリーヌだな!」
「多分、ディーン公爵家は王妃に追従すると思われます、支援どころか私を追放するでしょう、その前にディーンの家名は捨てるつもりです!」
「捨ててどうする?
ここを卒業して外に出れば、最悪、暗殺まで有り得るぞ!」
「ここに留まるというのはどうだろう?
講師としての実力はあるであろう?」
「ヤオ?」
ヤオは、何も無いところから一本の太い枝を出してきた。
「先日、エルフの里より呼び出され、精霊王と謁見した。
ラグナロクの兆し有り、だそうだ!
精霊契約に使ってくれ」
「こんな貴重な物を・・・」
「私は戦士だ、使い方が判らん!
有効に使ってくれる親友に貰って欲しい!」
「ラグナロクか、なぁヤオ、何れくらいの猶予がある?」
「兆しと言うくらいだ、直ぐ様ということは無いだろうが、悠長にもしてられないだろう」
「王都での用も済んだ、実家に帰り備えよう!」
「私は・・・」
「国の頭がクズなんだ、支える者までクズだと話にならん!
講師として、此からの未来を支えて欲しい」
「それはカタリーヌにしか出来ない事だ!」
「ナーシサス、ヤオ、分かったわ」
その翌日、ヤオは勇者を探す旅に出る、ナーシサスは一週間後に自領へ帰っていった。




