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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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第98話 約束

「ねぇ! 見た見た!? すっごい面白かったよね!」


 カノンとツクシちゃんのコラボが終わり、俺は今梨々花と通話をしている。

 梨々花はすっかり盛り上がっており、テンションマックス状態で俺にいきなり通話をかけてきたのである。


 ちなみに今は、これまでのスマホのメッセージアプリの通話ではなく、パソコンのチャットツール経由での通話をしている。

 今はもうお互いにVtuberであることを明かしているから、これまでの桐生彰と藍沢梨々花としてではなく、飛竜アーサーと愛野リリスとして繋がり合っているのだ。


「でも、こうやって彰と通話してるなんて、今でもちょっと信じられないかも」

「あはは、そうだね。俺もビックリだよ」


 お互いVtuberになって、しかも同じ事務所の所属になるなんて誰が想像出来ただろうか――。


 でもそれは、やっぱり俺にとっては物凄く嬉しいことだった。

 こうして大学だけでなく、Vtuberとしても梨々花と近くにいられることが、素直に嬉しいと思っている自分がいるのである。


「ねぇ、わたし達もさっきの二人みたいに、いつか楽しくコラボできるのかな」

「大丈夫さ、きっとできるよ」

「まぁ、そうだよね。だって相手はあの、アーサー様だもんね」

「なんだよそれ」


 笑い合う俺達。

 ずっと俺のことが推しだったと言ってくれていた梨々花は、俺のことを少し買いかぶりすぎなのだ。

 でもまぁ、そうやって信頼してくれていることは嬉しいし、俺も応えられたらいいなと思う。


「でも、そ、そうなんだよね……彰って、マジでアーサー様なんだよね……」


 通話の向こうの梨々花は、噛みしめるように俺がアーサーであることを再認識しだす。


「なんかさ……今でも信じられなくなる時があるんだよね」

「信じられなくっていうと?」

「うん、わたしってさ……その……アーサー様推しだったわけじゃん? だから今、そのアーサー様と直接通話してるんだなって思うと信じられないっていうか……え、待って、やっぱ普通にヤバイ……!」


 そう言って、自己完結して恥ずかしがる梨々花。

 でも、梨々花がそんな風に思ってくれるのは嬉しいし、何よりちょっとおかしくて笑えてきてしまう。


「――まぁ、俺様に全て任せておけばいい。絶対に面白いコラボにしてやるぞ?」


 だからここは、俺も誇張したアーサーボイスで梨々花の期待に応える。

 俺は今、チャンネル登録者数が百万人を超える人気Vtuber、FIVE ELEMENTSの飛竜アーサーなのだ。

 いずれ実現するであろうアーサーとリリスのコラボ配信も、絶対に俺様が面白い配信にしてみせると胸を張りながら――。


「……」

「あれ? り、梨々花?」


 しかし、梨々花からの反応はなかった。

 思っていたのと全く違うその無反応に、俺は一気に恥ずかしくなってくる――。


「……ヤバイ、高まる」

「高まる?」

「ふぇ? あっ、違くて! そのっ! アーサー様となら絶対面白くなりそうだなぁーっていうアレで!」


 何故か慌て出す梨々花。

 でもその反応に、俺は良かったとほっとする。

 もし本当に無反応だったら、さすがに軽く死にたくなるところだったから……。


「あはは、まぁ俺的にも梨々花——じゃなくて、リリスとなら面白くなると思ってるよ」

「ほ、本当に? なら、嬉しいなぁーあはは!」

「じゃあ、いつにしよっか?」

「……ふぇ?」

「コラボ、いつにする?」

「へぅ!!」


 俺の問いかけに、謎の声をあげる梨々花。

 その反応が面白くて、俺はつい笑ってしまう。


「じゃあ……ら、来週!! 来週やろう!!」

「来週? ちょっと予定見てみるね」


 急だなと思いつつも、時間を空けたところで何が変わるものでもないかと俺は予定を確認する。

 とは言っても、ベースはソロ配信の予定ばかりだし、ほとんど融通は利くわけだけだけど――。


「うん、金曜日と日曜日以外は空いてる、かな?」

「じゃ、じゃあ土曜日!!」

「土曜日? うん、分かった」

「よっしゃあ!!」


 俺が了承すると、物凄い勢いで喜ぶ梨々花。

 そんなに嬉しいのかと思いつつも、こんなにもやる気になってくれるのは俺としても有難かった。


「じゃあさ、俺にちょっと考えがあるんだけどいい?」


 そして俺は、そう言って梨々花にある案を提案する。

 そんな俺の案に、梨々花は大喜びで乗り気になってくれた。


「いいね! それで行こ!」

「分かった、楽しみにしてるよ」

「うん! わたしもっ!」


 嬉しそうに声を弾ませる梨々花。

 こうして俺達は、流れではあったがコラボの約束をして通話を終了したのであった。


 ――梨々花と、コラボか。


 どうなるのかは分からないけれど、全く不安はなかった。

 何故なら、いつも一緒にいる俺こそが一番梨々花の良さを知っているからだ。


 だからコラボでは、俺が梨々花の――愛野リリスの魅力を引き出してみせると一人意気込むのであった。




 流れでアーサーリリスのコラボ決定!!

 伝説の始まりの予感――!!

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