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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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第90話 ファンネームとタグ

「よ、よしっ! じゃあ、今日のお品書きですっ!」


 仕切り直したリリスが、画面に今日のお品書きを表示する。


 ”ファンネームについて”

 ”配信タグについて”

 ”ファンアートタグについて”

 ”好きなものについて”

 ”今後やりたいことについて”


 以上の五つ。

 ファンネームとは、簡単に言えばリリスファンの呼び方のことだ。

 ちなみにアーサーの場合、竜人にかけてファンネームは『竜人会』。

 このように、ライバーにあったリスナーの呼び方を決めるのが通例となっているのだ。


 次に配信タグとファンアートタグ。

 これは、SNSで呟く際に付けるハッシュタグのことで、まぁこれがあるとエゴサとか諸々が楽になるというメリットがある。

 ちなみにアーサーの場合、配信タグが『#配信やりゅう』で、ファンアートタグが『#アーサー見ろ』だ。

 まぁこの辺は結構、こういうデビュー配信のその場のノリで決まったりする。


 そんなわけで、さっそくリリスもファンネームとタグの候補一覧を画面に表示する。

 これは事前にSNSで募っておいたもので、あとは配信の投票システムを利用して決めるようだ。


「ふむふむ、じゃあファンネームが『リリスナー』で、配信タグが『#リリスポット』。あとはファンアートタグが『#愛野イラスト』でいいかな?」


 多数決で決まったファンネームとタグ。

 コメント欄も、満場一致で決定となった。


「よしよし、じゃあこれは忘れないようにメモしとかないとだね!」


 そう言ってリリスは、配信の向こうでペンを走らせる。


『まさかのアナログwww』

『かわいいwww』


 配信でテキストを表示しているのに、そこは手書きなんだねとみんなの笑いを誘う。

 結果、またしても当の本人だけは何で笑われているのか分からず、またしてもテンパってしまっているのであった。


 この辺から、コメント欄では『あほピンク』の文字をチラホラ見かけるようになってきた。

 リリスのイメージカラーは、その髪の色と同じくピンク。

 そしてこのポンコツっぷりから、徐々にリスナーの中でリリス=あほピンクというのが定着してきているのであった。


 Vtuberの面白さは、配信者だけではないのだ。

 このように、リスナーも一緒になって笑いを生み出していくところも一つの醍醐味だったりするのだ。

 コメント欄では、DEVIL's LIPのメンバー達も『あほピンクwww』と笑うコメントをしていた。

 それがまた、リリス=あほピンクというのを定着させていく。


「ちょ、ちょっとぉ! あほピンクって言うなぁ!!」


 ようやく気付いたリリス。

 慌ててやめろと言うが、それがまた新たな笑いを生むのであった。


 そしてトークは、リリスの好きなものへ移る。


「全くもう……! じゃあ次、好きなものね! ――これはズバリ! Vtuberですっ!」


 好きなものを即答するリリス。

 まぁ俺からしてみれば、梨々花が本当にVtuberファンなことを知っているから何も感じないが、リスナーからしてみれば誰推しなのか気になるようだ。


「え? 推し? それはもちろん、FIVE ELEMENTSのみなさんだよ! だからわたしがここにいると言っても、過言ではないからねっ!」


 そう言って、無い胸を張るリリス。

 これも、そのとおりだった。

 あの日Vtuberオーディションを探していた梨々花は、迷いなくDEVIL's LIPのオーディションを選んでいたから。


「え? FIVE ELEMENTSにも色々いるだろ、いい加減にしろって? え、待って待って! あたり強くない? わたし、今日デビューなんですけどぉ?」


 そのリリス一言に、コメント欄には『いいから早く答えて』と強めのコメントが流れ出す。

 どうやらリスナーも、この子はいじって光るタイプだと察しが付いたようだ。


「え、怖い怖い。わたしアイドルだよ? もっと可愛がってもよくない? ――まぁ、そんなみんなには誰推しかは秘密でーす。今後配信追ってくれたら、分かるかもね!」


 そしてリリスも、さっそくリスナーとのプロレスをしていく。

 この適応力の高さは、俺から見てもさすがだった。

 まぁそれも、元々大学での人気っぷりを見れば全くもって自然なことだった。

 まさかリスナーのみんなも、通常こういう界隈には入り込んで来ないような、大学で一番の美人ギャルが中の人だなんて誰も思いやしないだろう――。


「あとは、ネイルとかファッションは好きだね。可愛いものも好きかな!」


 そんなリリスの好きなものに、『リア充乙』『爆発しろ』とコメントが溢れていく。

 そんなコメント欄に対して『だから、さっきから酷くない!? そろそろ泣くよ!?』とリリスが反応することで、また笑いを生んでいるのであった。


「で、最後はこれからやりたいこと、ね。――そうだね、わたしは特にこれってのは決まってないの。別にゲームが得意なわけでもないし、まだこうして配信をするだけでも正直精一杯だからね……。でも、わたしがVtuberになりたかった理由は最初からずっと一つだよ。わたしはVtuberの先輩達に、これまで沢山の笑顔を貰ってきた。だから今度はわたしが、みんなに笑顔を届けたい」


 そうはっきりと語られた、リリスのやりたいこと。

 そのリリスの言葉に、さっきまでプロレスを楽しんでいたコメント欄もその話に聞き入っていた。


「だからみんな! これからわたしと一緒に、楽しい時間を過ごしましょ! みんなが笑ってくれるような配信ができるよう、頑張っちゃうから!」


 その言葉に、コメント欄も『もちろん!』『こちらこそ、これから宜しく!』と同意する。


 今の話は、具体的ではなかったかもしれない。

 それでも、それが本当にリリスのしたいことなのだというのが、しっかりとみんなに伝わってきた。


 楽しいの共有。

 それはたしかに、俺達Vtuber——いいや、配信業をするうえで一番大切なことなのかもしれない。

 そこに真っすぐ向き合おうとしているリリスは、もうすでにデビュー配信で沢山の笑いを生んでいた。


「……やっぱり凄いな」


 俺はそう呟きながら、リリスのデビュー配信を最後まで見守る。


「ってことで、そろそろ一時間だね! ――あー、緊張したぁ! まぁでも、これでわたしもVtuberの第一歩を踏み出したわけだっ! やっば、そう思ったらテンション上がってきたぁ!」


 配信の向こうでは、テンションの上がるリリス。

 そしてリリスはそのまま、席を立ってどこかへ行ってしまう。

 そんな自由過ぎる振舞いが、また新たな笑いを生んでいた。


「あ、ごめんごめん、飲み物取りに行ってた! ってことで、これでデビュー配信終わりまーす! みんな、これからもよろしくね! おつリリスー!」


 こうしてリリスのデビュー配信は、大きなトラブルはなく、代わりに大きなインパクトを残して終了したのであった。


 SNSを開けば、そこにはさっき決めた『#リリスポット』という配信タグと一緒に、『あほピンク』というワードも日本のトレンドにあがっており、俺は思わず吹き出してしまったのであった。





 あほピンク伝説、始動!!

 (現実のVtuberにもいましたよね……うん……。)

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