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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第二章

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第83話 開幕

 ~彰視点~


 DEVIL's LIPのライブが、いよいよ始まろうとしている――。

 俺はメンバーとともに、バックヤードのモニターから生配信の模様を見守る。


 そして目の前には、実際にカメラの前に立ちスタンバイするDEVIL's LIPのみんなの姿。

 全員緊張した面持ちで、これから始まるデビューライブに集中している様子だった。


 ちなみに今回のライブは、コンサートステージに設置された巨大モニター越しでの生ライブとなる。

 とは言っても、自分達は実際に会場現地へ行くわけではない。

 事務所のスタジオでフルトラッキングの撮影がされた模様が、会場の巨大モニターに映し出される形となり、こちらからも会場の様子はモニター越しに確認できる形となっている。


 こうして物理的な距離は離れていても、コンサート会場だったり配信だったり、様々な場所でライブはできるし繋がり合うことができる。

 そんなところは、バーチャルならではの利点と言えるだろう。


 モニター越しに見る現地には、DEVIL's LIPのデビューライブへ集まった人達で満員状態だった。

 また、このライブの模様は会場のカメラで撮影され、現地へ来られない人達のため生配信も同時に行われることとなっており、既に配信には十万人を超えるリスナーが集まっている。


 デビューライブにして、既にこの注目度。

 それだけ、彼女達に対する期待は高まっているのであった。



 ◇



 会場の照明が、一斉に全て暗転する。

 その変化に、いよいよかと会場は騒めき出す――。



「「掴み取れ未来、わたし達のこの手で――!」」



 そして暗闇の中、響き渡る歌声――。

 同時に演奏が開始されると、ステージ上のモニターにはDEVIL's LIPの姿が映し出される。


「「うぉおおおー!!」」


 ついにみんなの前で、DEVIL's LIPが始動した瞬間だった――。

 初めて見るDEVIL's LIPの動く姿に、会場からは大歓声が沸き起こる。


「みんなー! 今日はわたし達のために集まってくれてありがとー!」

「今日は短い時間だけど、たっくさん楽しんでいってね!」

「最後まで、絶対に飽きさせないわよっ!」

「精一杯、頑張ります!!」

「わたし達が、せーのっ! 『DEVIL's LIP』ですっ!!」


 イントロの演奏の中、DEVIL's LIPのメンバー一人一人が会場に向けて元気一杯声をかける。

 その初めて聞ける彼女達の声に、既に会場のボルテージは最高潮に達していた。


 そしてイントロが終わり、一曲目のAメロが歌いだされる。


 その歌詞には、これからの成功に向けて頑張る決意が籠められていた。

 フレーズごとに、メンバー一人一人が入れ替わりながら歌われるその歌声。

 明るいアップテンポの曲調に合わせたダンスはエネルギッシュで、視覚的にも聴覚的にも気が付くと引き込まれているような、その姿はまさしくアイドルそのものだった。


 ――がんばれ、みんな!


 俺はその様子を、応援する思いで見守る。

 それはきっと俺だけでなく、一緒に見守るメンバー全員同じ気持ちだろう。


 梨々花だけでなく、今日ついにデビューを果たした彼女達の成功を祈りつつ、俺達は初めて見る彼女達のライブを楽しんだ。


 そして彼女達は、そのまま無事に失敗することなく一曲目を歌い終える。

 しかし、歌って踊るのはそれだけで体力を使うため、肩で息をする彼女達。


 そんな彼女達に向けて、会場ではメンバーそれぞれのイメージカラーに合わせたサイリウムが一斉に振られ、同時にメンバーの名前を叫ぶ声援が飛び交い出す。


 その反応に、DEVIL's LIPのみんなは嬉しそうに顔を見合わせる。


 ここまで一番不安だったのは、間違いなく彼女達本人。

 だからこそ、会場のその反応が嬉しい気持ちはよく分かった。


「みんな! どうだったー?」


 リリスの呼びかける声に、会場からは最高だったとまた割れんばかりの声援が飛び交う。

 その声援に、満足そうに頷くDEVIL's LIPのみんな。

 実際にこうして言葉にして貰えることで、成功を実感として得られるのであった。


「うんうん、まぁ当然よね!」

「いやいやミリア、直前まで一番ビビってたじゃない」

「はぁ? ビ、ビビってないし!」


 ドヤ顔で胸を張るミリアに、おちょくるように笑いながらツッコミを入れるレナ。


「もう、二人とも今はライブ本番中ですよ?」

「――集中する」


 そんなじゃれ合う二人を嗜める、アールとツクシ。

 しかし二人の言葉にも、嬉しさが滲み出ていた。


「あはは! そうだね! まだ一曲歌い終えただけだからね! 残り二曲用意してあるから、みんな最後まで楽しんでいってねー!」

「「うぉおおおー!!」」


 リリスが会場のみんなに声をかけると、またしても割れんばかりの声援が飛び交う。


 その様子は、決して今日がデビューライブだとは信じられないほど、完全にアイドルのライブそのものなのであった。

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