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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第二章

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第70話 凸待ち

 今日も一日、無事に全ての講義が終了した。

 ほぼ同じ講義を受けている梨々花は、今日もこれからバイトがあるということで先に急いで帰って行った。


「バイトかぁ……一回ぐらい、やってみたいかもなぁ」


 正直、金銭面で言えばVtuber活動での収入だけで十分暮らして行けるだろう。

 なんなら、就職しなくても良いぐらいの稼ぎはあるため、夢のある職業だとは思う。


 でも俺は、お金ではなく純粋にバイトというものに興味があるのだ。

 コンビニ、ファミレス、それからアパレル……はちょっと厳しいかな?

 まぁとにかく、学校とは別の場所で何か仕事ができる環境というものに、少し憧れみたいなものを抱いているのであった。


 しかし俺には、今は配信業という大切な活動があるため、正直バイトをしている暇はない。

 だから憧れつつも、それはこの活動ができなくなった時の楽しみにでもとっておくことにして、俺は今日も夜の配信があるため真っすぐ帰宅することにした。



 ◇



「ただいまー」


 帰宅した俺は、誰もいない部屋で一人ただいまを告げながら、俺はとりあえずそのままベッドで横になる。


 今日一日で溜まった疲労が、全身にずっしりと圧し掛かってくるようだった。

 俺はベッドに身を委ねたまま、今日も一日頑張ったと自分で自分を褒めながら、俺はしばらくそのまま横になる。


「……っと、このまま寝たら配信できなくなるな」


 寝起きが悪いことは自覚しているため、自分の両頬を叩いて一度自分に喝を入れると、起き上がってパソコンの電源を入れる。


 いつもどおりチャットを確認すると、今日も沢山のメッセージが送られてきていた。

 俺はそれらに目を通しつつ、必要な分だけささっと返信する。

 そして、今日もこのあとある自分の配信の準備を済ませると、食事とお風呂もささっと済ませる。


 ちなみに今日の配信は、凸待ち配信ってやつを行う予定だ。

 以前リスナーのみんなに見たい配信アンケートをとった結果、凸待ち配信をして欲しいというコメントが多数寄せられたため、今日は別に何の記念日でもないけれど凸待ち配信をやってみることにしたのである。


 ちなみに凸待ち配信とは、通話を開放した状態で俺が待ち、そこへ誰か他のVtuberや配信者が俺の配信に入ってくるのを待つ配信のことである。

 だから場合によっては、凸待ちゼロ人なんてことになる場合もあるのだが、まぁそれはそれで笑いを誘うから悪くはないのであった。


「さて……ちょっと気が重いけど、そろそろ時間だな」


 とは言っても、やっぱり誰か一人ぐらいは来てくれないとさすがに困ってしまうわけだが……。

 でも、こういうのはライブ感が重要だと思っているから、事前に誰かに来て貰うような根回しなどは一切していない。

 なんなら、今日はただの雑談配信として宣伝しているため、誰も今日の配信が凸待ち配信だということは知らないのである。


 要するに、これは本当にぶっつけ本番。

 だからこそ、観ている側もライブ感があって面白いと思うから。

 まぁその分、誰もいない確率もあがってしまうわけだが……。


 そんなわけで、俺は今日も配信を開始する。

 開始ボタンを押すと、配信がスタートする。


「はいどーもー。飛竜アーサーでーす! 今日は雑談配信……ではなく、以前のアンケートで多数寄せられた企画を行いたいと思いまーす!」


 俺の言葉に、ざわつくコメント欄。

 その反応に満足しつつ、今日の企画を明かす。


「ほうほう、何やるか気になるって? じゃあ発表しよう! 今日の企画は『何の記念日でもないけど凸待ち配信』やっていくぞ!」


 俺がそう宣言すると、一気にコメント欄は盛り上がりを見せる。

 そして俺は宣言に合わせて、チャットツールの方でも凸待ち配信をすることをフレンドに公開し、いつでも誰でも入って来れる状態にした。


『アーサー凸待ちきちゃー』

『FIVE ELEMENTSは絶対来るだろうな』

『神企画!!!!』

『DEVIL's LIPきたら草』

『何の記念日でもないのに凸待ちwww』


 などなど、盛り上がりを見せるコメントの数々。

 やはり期待が高かった分、見ている方も面白い企画なのだろう。


 しかし、まだ公開した直後ではあるものの、誰からも反応がこない。

 俺は雑談で時間は潰しながらも、一体誰が来てくれるのかソワソワしてしまう。


 ピコン――!


 そして、ついに通話に入ってくる一番手が現れる――。


「やぁアーサー、僕が一番ノリってことでいいかな?」


 凸しに来たのは、ハヤトだった……。

 なんだろう……嬉しいんだけど、ハヤトかぁ感が否めない……。


 しかしまぁ、これは凸待ち配信。

 来た人をこちらが選ぶわけにもいかないため、受け入れるしかなかった。


「……ハヤトかぁ」

「おいおいアーサー、来てやったというのにつれないじゃないか」

「……そうだな、ありがと」

「はっはっは! 気にするな!俺とアーサーの仲じゃあないか!!」


 メンバーのハヤトが現れたことで、コメント欄は更に盛り上がり流れていく速度は爆速となる。

 見れば、既に同時接続数は五万人を超えており、何の記念でもない配信にしては異常な盛り上がりを見せていた。


『ハヤトきちゃー!』

『やっぱり二人はそういうことですよね』

『一生このままでいい』

『アサハヤてぇてぇ』


 うん……、なんだかちょっとアレなコメントが多い気がするけど、これらは絶対に拾わないでおこう……。


 まぁそんなわけでこの凸待ち配信、こうして早速一人目が凸にきてくれたことで、ひとまず良いスタートを切ったのであった。




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