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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第二章

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第62話 カフェと偶然

 それから俺と紅羽は、二人でカフェを満喫した。

 心なしか、俺に彼女がいないことを知った紅羽は、ずっとご機嫌な様子だった。

 まぁきっと、同じく独り身仲間を見つけたことが嬉しいのだろうが、これ以上はちょっと虚しくなるから考えるのはやめよう……。


 そんなわけで俺達は、これからデビューする初めての後輩のことや、今日のレッスンであった笑えたこと――。

 それから、この間藍沢さんと一緒に見た紅羽の配信の話などを楽しんだ。


 紅羽は俺に配信を見られたことを知ると、慌てて「何で見るのよ!」と恥ずかしそうに文句を口にする。

 それでも、文句を口にしつつもその表情はどこか嬉しそうだった。


 まぁその気持ちは、俺にも分かった。

 もしメンバーのみんなから配信を見たことを直接言われれば、俺だって絶対に恥ずかしいからだ。

 けれど、メンバーが俺の配信で楽しんでくれたことを知れるというのは、それでもやっぱり嬉しいことだった。


 だから俺は、そんな紅羽本人に対して思いつく限りの配信の良かったところを言葉で伝えると、紅羽はずっと恥ずかしそうにリアクションをしながらも、やっぱり嬉しそうに笑みを零しながらその全てを聞いてくれるのであった。


 そんなこんなで、一時間以上経っただろうか。

 紅羽と楽しむ他愛のない会話は、飽きることなくあっという間に時間が経っていた。


 それはきっと、これまで紅羽とギクシャクしてしまっていたせいもあるのかもしれない。

 だからこそ俺達は、こうしてその空いてしまっていた時間を取り戻すように、お互いをしっかりと理解し合うことができたのだ。

 遠回りをしてしまったかもしれないが、別にそれが遅いなんてことはないのだ。

 大事なのは、過去ではなく未来なのだから――。


 何より、俺は目の前で紅羽が自然な笑みを浮かべてくれていることが、正直に言って嬉しいのだ。

 過去には、もう絶対に紅羽とは上手くいかないと思ったことだってあったのだが、人間良くも悪くも変わることができるものなのだと実感することができた――。


「それじゃ、そろそろ行きましょうか」

「うん、そうだね」


 少し残念そうに口にする紅羽の言葉に、俺も頷く。

 今日も充実した一日だったなと、俺は確かな満足感と若干の名残惜しさを感じながら、そのお店をあとにしたのであった。



 ◇



 お店を出ると、外に広がるのは渋谷の街並み。

 来た時同様、ここは大勢の人達が行き交う大都会で、地方から出てきた俺にとってはまだあまり馴染めていない環境――。

 それでも、今は紅羽が一緒にいてくれることで、ちょっと安心できている自分がいた。

 まぁそれは、男として少し情けなくもあるのだが、こういう大都会を当たり前のように歩ける紅羽は頼りになるし、それにちょっとかっこいいとすら思えた――。

 

 そんなことを考えながら隣を向けば、そこには心なしか行きより距離の近い紅羽の姿――。


「今日はありがとね、楽しかった」

「いや、こちらこそ楽しかったよ」

「ほ、本当?」

「本当だってば、嘘付く理由なんてないでしょ」

「う、うん……じゃ、じゃあさ、また誘ってもいい?」

「え? ――ああ、もちろん」

「ぜ、絶対よっ!」


 頷く俺に、嬉しそうに迫ってくる紅羽。

 そんなに嬉しいのかと思いつつも、まぁ俺自身、こうして紅羽と過ごす時間は普通に楽しいと思っているのだから気持ちは同じだった。

 それは紅羽だけでなく、俺はもっとFIVE ELEMENTSのメンバー達と仲良くなりたいし、お互い分かり合いたいと思っているのだ。


 今も隣でニコニコと微笑んでいる紅羽のように、もしかしたら他のメンバーにだって、まだ俺の知らない本当の顔を隠し持ってるかもしれないしね――。


 そんなこんなで、次はどこに行こうかとか会話を楽しみながら俺達は駅へと向かって歩く。

 先に見える駅前のスクランブル交差点には、相変わらず物凄い人だかりが絶え間なく見える。


 ――うわぁ、やっぱ凄い人だなぁ……。


 自分もこれからあそこにいくのだと思うと、やっぱりちょっと怖くなってくる……。

 これだけ人がうじゃうじゃいるのであれば、もし知り合いとすれ違っても絶対分からないだろうなぁ……。

 なんてことを考えながら歩いていると、ふと目の前に見知った人の横顔が通りすぎる――。


 ――えっ?


 絶対に気付かないと思った矢先、ちゃんと気付いてしまう自分がいた。

 そして、俺がその相手に気付いたのと同時に、その相手もこちらを向いて驚きの表情を浮かべるのであった――。



「……桐生、くん?」



 そして、偶然すれ違ったその人物は小さくそう呟く——。


 俺を見て驚く存在なんて、FIVE ELEMENTSのメンバー以外ではただ一人――。


 そう、それは他でもない、藍沢さんだったのである――。



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