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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第二章

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第48話 告知

 次の日、俺は今日もいつもどおり大学へやってきた。

 そして同じくいつもどおり、藍沢さんが隣の席へとやってくる。


「おはよ、藍沢さん」

「うん! おはよう桐生くん」


 最早当たり前となったこの組み合わせ。

 周囲の人達もさすがに慣れたようで、こちらを見てくる人も少なくなっている。

 それでもゼロではないのは、やはり同じ教室にいる藍沢さんの姿に目を奪われてしまっている人が一定数いるからだ。


「そうだ桐生くん。今日の夜、ちゃんとSNS見てね?」

「SNS?」

「そう! 何かすごいことが告知されるかもしれないよー、的な?」


 そう言って、ニッと悪戯な笑みを浮かべる藍沢さん。

 まだ言えないけれど、夜に何かがあることを暗に教えてくれているのであった。


 しかし残念ながら、俺はそれが何かはもう知っている。

 そのうえで俺は、まだ藍沢さんが知らないことだって知っているのだ――。


 だがここで、反応が薄ければ怪しまれてしまうかもしれないと、俺は平静を装いながらそんな藍沢さんに返事をする。


「そっか、じゃあ楽しみにしておくよ」

「うん! 絶対だからねっ!」


 その大きな瞳をキラキラと輝かせながら、ワクワクとした様子で顔を近付けてくる藍沢さん。

 それだけ藍沢さんにとって、今回の発表は楽しみなのだろう。


 思えば俺も同じだった。

 FIVE ELEMENTSが結成されることとなり、デビューが発表されたあの日。

 俺達は、これからいよいよVtuberとして活動していくのだと胸を躍らせたことを思い出す。


 しかし、当時はまだ新規事務所からデビューする、全くの無名Vtuberグループ。

 今のように多くの人達からの反応が得られるわけではなかったわけだが、それでもその当時から応援してくれているファンはいてくれているし、そんな初期からのファンのことは今でも忘れないでいる。


 俺達FIVE ELEMENTSは、決して自分達だけで成り上がったわけではないのだ。

 いつも応援してくれているファンのみんなと一緒に、これまで一つ一つ積み上げてきたのだ。

 そして、そんな俺達のファンの一人だった藍沢さんが、今度新たにVtuberとしてデビューをする。

 そんな巡り会わせが嬉しくて、俺はそのことを考えるだけで嬉しさが込み上げてくるのであった。


 ―—早瀬さんからも宣伝頼まれてることだしな。


 これからデビューするDEVIL's LIP。

 彼女達が輝かしいデビューを飾れるように、俺もできることは協力しよう。


 そんなことを考えながら、俺は再び藍沢さんに目を向ける。

 するとそこには、こちらを向きながらニコニコと嬉しそうに微笑んでいる藍沢さんの姿が待っていた。



 ◇



 帰宅した俺は、晩御飯を食べながらSNSをチェックする。

 時間はちょうど夜の七時。

 そろそろかなと思っていると、新設されたDEVIL's LIP公式アカウントから告知が発表される。



『緊急告知! DEVIL's LIPのデビューライブ開催決定!』



 そのツイートとともに公開された告知用の画像には、DEVIL's LIPのメンバーの可愛い集合イラストが添えられていた。

 そしてその告知は、元々の注目度の高さも相まって瞬く間に拡散されていく。


「凄いな……」


 ブラウザを更新する度に増えていくいいねとリツイートの数。

 そんな爆速で増えていく状況に、俺は感心してしまう。

 前にも思ったが、それは本当にFIVE ELEMENTSを越えてしまうと思えるの注目度の高さだった。


「――っと、とりあえず俺も宣伝しないとな」


 早瀬さんからの依頼を思い出した俺は、早速DEVIL's LIP公式のツイートをリツイートする。

 すると、俺のフォロワーさん達により更に拡散されていき、一気にリプライも沢山寄せられてくる。


 俺はそんなみんなからのリプライに目を通しながら、みんながどれだけ期待しているのかを見て楽しんだ。


 ピコン――。


 すると、ちょっとしてスマホの通知音が鳴る。

 何だろうとスマホを手にすると、それはDEVIL's LIPの当事者である藍沢さんからのメッセージだった。


『告知見てくれた!? ってかヤバイ! アーサー様もカノンちゃんもみんな引用リツしてくれてる!』


 DEVIL's LIPのメンバー本人からの、そんなはしゃいだメッセージ。

 きっと今SNSで賑わっている人達も、まさか張本人がこんなメッセージを俺に送ってきているとは誰も思いやしないだろう――。


 そんな、良い意味で藍沢さんらしいそのメッセージに、俺は思わず笑ってしまう。


『見たよ! リツイートもしておいた』


 だから俺は、嘘偽りなく報告する。

 まぁリツイートしたのは、飛竜アーサーのアカウントからなのだが――。


『え、本当!? ありがとう! さーて、桐生くんのアカウントはどれかなぁー!』


 もちろんそんなこと知る由もない藍沢さんからのメッセージに、やっぱり俺はクスッと笑ってしまうのであった。



 ◇



 藍沢さんとのメッセージのやり取りを終えた俺は、今日もFIVE ELEMENTSのみんなとのチャットに加わる。

 昨日はDEVIL's LIPについての雑談がほとんどだったのだが、今日はそうではなかった。


『それじゃ、この日リハする感じでいいわね?』


 今回もカノンが取り仕切り、日付を確認する。

 チャットにはそれぞれのマネージャーも加わっており、俺達の予定が埋められていく。


 ちなみに今合わせているのは、今度のDEVIL's LIPのデビューライブへ、サプライズゲストとして登場するためのリハーサルの実施日だ。

 歌うのも一曲のみのため、そんなに大袈裟な話ではない。

 それでも、前回のライブから半年ぐらい空いているため、一度事前に集まってフリなどを確認しておこうという話になったのだ。


 それに、今回は始めての後輩達の記念すべきデビューライブなのだ。

 そこで、先輩である俺達が失敗するわけにもいかないのである。


 そんなわけで、DEVIL's LIPの活動がいよいよ動き出す裏で、俺達は俺達で活動の予定が埋められていくのであった。




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