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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第一章

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第38話 質問コーナー

「それじゃ、そろそろ今日の企画始めようか」


 ハヤトのその言葉で、元々今日のオフコラボでする予定だった企画をようやく始めることとなった。

 ちょっとカオスな状況になりつつあったため、ちょうど良かったと俺はほっと胸を撫で下ろす。


「ということで、みんなからのマシュマロ読んでいくよー!」


 ちなみに企画というのは、ハヤトの言うとおりマシュマロ読みだ。

 マシュマロとは質問箱の運営サイトの名前であり、リスナーのみんなから寄せられた質問に対して、俺達が面白おかしく答えていくというシンプルなものだ。


「じゃあ初めは……よし、これにしようか! えっと、『FIVE ELEMENTSの皆さんに、質問というかお願いです。お互いに、メンバーへ一言お願いします』とのことです。――なるほど、メンバー同士でお互いを一言で紹介し合う感じかな? よし、じゃあ一人ずつ順番に言っていこうか」

「え、一言って、要するにその人のことをどう思ってるか言っていけばいいんだよな?」

「うん、そうだね。――じゃあまずは、僕からお願いできるかな?」


 さぁ遠慮なく言ってくれ! と、配信には映らないが自信満々の表情を浮かべるハヤト。


「じゃあ、ちょっとキザ」

「空気読めない」

「エセ王子」

「暑苦しい」


 そんなハヤトに対して、カノン、アユム、ネクロ、そして俺の順に、思ったままを一言で答えていく。


「あ、あれ? みんな? ちょ、ちょっと酷くない?」

「でもほら、コメント欄もみんな納得してるし」

「そ、そんなぁー! 泣くよ? 泣いていい!?」


 アユムのツッコミとハヤトのリアクションで、コメントは大盛り上がりとなる。

 やっぱりリスナーのみんなも同じこと思ってたんだなと、みんなでうんうんと納得する。


「くそぉ……じゃあ次は、ネクロ行ってみようか。 ――えっと、配信しろ」

「配信しろ」

「配信しろ」

「配信しろ」


 うん、満場一致で配信しろですね分かります。

 ついでにコメント欄でも『配信しろ』コメントで溢れていた。


「ぐぅ……配信は、わたしのコンディション次第」

「でも見ろよ、コメント欄のみんなも期待してるぞ?」

「むぅ……じゃあ、アーサーがコラボしてくれるなら考えなくもない」

「え、俺次第!?」


 急に責任転嫁される俺——。

 コメント欄も、『アーサー頼んだ』と切実にネクロの配信を求めるコメントで溢れていく。


「いや、俺以外にもメンバーいるだろ?」

「それはそれ、これはこれ」

「えぇ……」

「はい、じゃあ次はアユム! ――ええと、僕からはそうだな。ゲームが上手い」

「おっぱいお化け」

「チビ」


 ハヤト、カノン、ネクロの順に答えていくが、さっきの件もあってか女性二人はアユムに対しても容赦なかった。

 そして残すは俺のみ。


「そうだなぁ、ゲームが上手いのもそうだけど――何て言うか、いつも笑顔でそこにいてくれるだけで楽しい存在、かな?」


 俺はアユムについて、思ったままを口にした。

 アユムと言えば、やっぱりゲームの腕前が一番にくる。


 でもアユムの魅力は、決してそれだけじゃないのだ。

 アユムは誰とでも上手くコラボできるし、人とトークを合わせるのだって上手いのだ。


 実際この間、藍沢さんと一緒にゲームをした時だってそうだ。

 初対面ながらも、出しゃばり過ぎずちょうど良い位置に収まってくれたというか、そういう人との距離感の取り方が上手なのだと思う。


 そんなアユムだからこそ、一緒にいるだけで俺も楽しい気持ちになれるし、FIVE ELEMENTSに絶対必要なメンバーだと思っている。


「……えへへ、ありがとね」

「いや、俺は思ったまま素直に言っただけで」

「もう、それが嬉しいんだってば」


 そう言って、言葉どおり嬉しそうに満面の笑みを浮かべるアユム。

 普段はこんな反応を見せることなんてないだけに、俺までちょっと恥ずかしくなってくる。

 きっと今はみんなお酒が入っていることもあり、普段よりちょっと素直になっているのかもしれないな。


「……わたしの時と大違い」

「そうだよアーサー、僕達の男の友情は?」


 しかし、今酔っているのは他のメンバーも同じで、ハヤトとネクロが不満そうにこちらを睨んでくるのであった。


「あーはいはい。——じゃあハヤトは、暑苦しいのは本当だけど、確かに唯一の男メンバーなこともあるし、いつも兄弟みたいな頼れる存在だと思ってるよ。それからネクロは、マイペースなようで実はちゃんと考えて行動してるし、イラスト含め裏で沢山頑張ってることも知ってるから、尊敬できる仲間だよ」


 だからハヤトもネクロも、やっぱり絶対に必要な存在だと思っている。

 なんて、言っててかなり恥ずかしいのだけれど……。


「……うれしい」

「アーサーぁあああ!」


 珍しく照れるネクロに、叫びながら抱きついてくるハヤト。

 やっぱり二人も、お酒の影響で普段とは違う反応を見せるのであった。


 そんな俺達のやり取りに、コメント欄には『てぇてぇ』の文字で溢れる。

 ちなみにてぇてぇとは、尊いを言い換えたネットスラング。

 その文字どおり、Vtuber同士のやり取りが尊いと思われた時に使われる言葉だ。


「……何よ、みんなばっかり」


 そして、唯一まだ俺に褒められていないカノンはというと、一人いじけるようにそっぽ向いてしまうのであった。



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