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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第一章

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第37話 配信スタート

「それじゃ、配信開始するよ!」


 ハヤトは持ってきたノートパソコンから、配信開始ボタンを押す。

 今日はハヤトのチャンネルでオフコラボ配信をすることとなっているのだが、待機状態で既に八万人もの人が集まっていた。


 これから、ただ仲間内で飲んでお喋りをするだけだというのに、そんなにも沢山の人に聞かれるのだと思うと中々恐ろしいものがあった。


「はいどーもー! 鬼龍院ハヤトです! 本日は、僕達FIVE ELEMENTSのみんなでのオフコラボということで、もうみんな集まってます!」


 そう言って振り向くハヤトに、俺達はワーと声を発して応える。

 すると、コメント欄のコメントは一気に加速し、リスナー達の期待が窺えた。


 そして俺達も、一人ずつ自己紹介をすることとなった。


「飛竜アーサーでーす」

「煌木アユムでーす」

「紅カノンでーす」

「恐山ネクロでーす」

「いやみんな、もっと気の利いた挨拶とかできないかなぁ」


 俺達のやる気のない挨拶に対して、珍しくハヤトがツッコミ側に回っていることにみんな吹き出すように笑い出す。

 これも、配信越しではなくこうして直接面と向かってコラボできているからこそかもしれない。


 いつもは一人だけれど、今日はみんなが一緒なのだ。

 それは心強くもあり、何より当事者である自分達も楽しかった。


「まぁそんなわあけで、みんな揃ってまーす。ついでに、配信前から晩酌始めちゃってるわけだけど、リスナーのみんなも一緒に乾杯しよっか! じゃ、いくよー! せーのっ!」

「「かんぱ~い!」」


 俺達の乾杯に合わせて、コメント欄も乾杯で埋め尽くされていく。

 同接数は既に十万を超えており、もはや目で追えないほど加速するコメント欄。


「で、今日は何するの?」

「何って、晩酌でしょ?」

「でも、アーサーだけお茶」

「お、俺は飲めないから仕方ないんだよ」


 さっそくネクロに、俺だけお茶なことをバラされる。

 するとコメント欄は『アーサー飲めないの?w』『アーサーだけお茶は草』『竜人なのに飲めないwww』と、俺をいじるコメントが沢山流れていく。


「そう、アーサーだけ飲めないのよ。格好悪いわよねぇ」

「みんなも言ってやれー!」


 そして、そんなコメントを拾うカノンとアユムが、二人して俺のことをいじってくる。

 当然、竜人であるアーサーが年齢を理由に飲めないなんて言えないため、ここはお酒を飲めないキャラで通すしかなかった。


「うるせーな、飲めないものは仕方ないだろ」

「はっはっは! アーサー、俺は飲めないお前も好きだぞ」

「お前はややこしくさせるだけだから黙っててくれ……」

「そうよハヤト、アーサーに触らないで。アーサーはわたしのよ」

「お前のでもねーよ」


 気付けば結局俺がツッコミ役となり、次から次へ振られる話題に俺はツッコミを入れ続けるのであった。


 そうこうしていると、配信開始から三十分ぐらい経っていた。

 ずっと飲み続けていることもあり、大分みんなのお酒も回ってきているのが分かった。


「だからダメなのよ、アーサーはさぁ~」


 中でも、そう言って俺を指さしてくるカノンの酔いっぷりが一番酷かった。

 どうやらお酒はそんなに強くないようで、普段はクールな分お酒に酔ってよれてるカノンは、ちょっとギャップがあった。


 実際コメント欄にも、『カノン様かわいい』というコメントが多く流れており、徐々に酔いが回ってくるのに比例してコメント欄は盛り上がりを見せていた。


「カノン、ちょっと飲みすぎじゃないか?」

「うるさぁい! アーサーも飲みなさいよねぇ」

「だから飲めないんだって」

「なぁに? わたしのお酒が飲めないって言うのぉ?」


 なるほど、これが俗に言う絡み酒ってやつか……。

 顔を赤くしたカノンが、グイっと顔を近付けてくる。

 元々キレイ系で整ったその顔の急接近に、俺はついドキドキさせられてしまう――。


 当然それは配信には乗っていないのだが、不満そうにこちらを見てくるカノンを前に、俺はどう反応したらいいのか困ってしまう。


「まぁまぁ、カノン。アーサー困ってるって」

「はっはっは! たしかにカノンは飲み過ぎだから、はいお水」


 そこへ、すぐさまアユムとハヤトがフォローしてくれたおかげで、俺は無事解放された。

 どうやら二人はお酒に強いようで、もう缶ビールを三本は飲んでいるがそんなに変わってはいない感じだった。


 だが、やはり晩酌配信。

 このまま何事もなく終わるはずもなかった――。


「カノン、アーサーを困らせないで」

「なによぉ? 文句あるのネクロぉ?」


 そう、カノンほどではないにしろ、実は静かに酔っていたネクロとカノンが、俺を理由に睨み合いを始めたのである。

 その不穏な空気はすぐにコメント欄にも広がり、心配するようなコメントが流れる。


「文句あるから言ってる」

「ふ~ん、良い度胸してるじゃない」

「度胸? そうね、わたしの方が胸が大きい」

「はぁ? む、胸の大きさで、人の価値は決まらないからぁ!」

「そんなことない。ね? アーサー?」


 言い合いを始めたと思ったら、何故か胸のサイズで勝負し出す二人。

 そしてその決着を俺に委ねられても困る……。


「違うわよねぇ? アーサー」

「大きさだよね?」


 迫ってくるカノンとネクロ。

 きっとどっちを答えてもダメなこの状況に、またしても俺は追い込まれてしまう。


「はいはい、二人ともそこまで。胸の大きさなら、わたしが優勝です」


 割って入ってきたアユムが、そう言ってそのたわわな胸を張る。

 三人の中で一番背が低いのだが、胸の発達は一番のアユム。


 そんなアユムの絶対的な胸を前に、カノンとネクロはぐぬぬと黙り込んでしまう――。


「まぁまぁ、一番大事なのは胸のサイズじゃなくて、僕達の友情さ! な、アーサー!」

「いや、それは違う」


 そして、最後にしゃしゃり出てきたハヤトだけは、俺は全力で拒絶させてもらうのであった。


 そんなわけで、この晩酌配信。

 お酒が入っていることも相まって、さっそくカオスな状況になってしまうのであった――。



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