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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第一章

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第32話 メイパラ

「「おかえりなさいませ、ご主人様! お嬢様!」」


 扉を開けると、前に藍沢さんと行ったメイド喫茶と同じく、メイドさん達が笑顔とともに俺達を出迎えてくれた。

 ただ違うのは、以前行ったお店よりも店内は広く、また在籍するメイドさんの数もこちらの方が多かった。

 それにメイドさんの着ているメイド服も、たしかにクリスの言うとおり前のメイド喫茶よりも凝っているというか、可愛らしいデザインだった。


 それだけ、このメイパラというお店が人気店だということが一目で伝わってくる。

 店内には、他にも沢山のお客さん達で賑わっており、働いているメイドさんもみんな可愛らしかった。


「ちょっと、鼻の下伸ばしてんじゃないわよ」

「の、伸ばしてねぇよ!」

「どうだか」


 そんな非現実的な空間が物珍しくて、俺はつい周りをキョロキョロしていると、相変わらず塩対応な紅羽に溜め息とともに呆れられる。

 他の二人はともかく、紅羽だけはいつも俺に対してこんな態度なのに、何でさっきは俺が別行動するって言った時に反対してきたのか正直謎だった。


 こうして俺達四人は、奥にあるボックス席へと案内される。

 すると、席へ向かって歩いているだけで、周囲からの視線がこちらへ集まっていることに気が付く。


 それもそのはず、今一緒にいるのはタイプこそ違うが、街でも中々見ないレベルの美人揃いなのだ。

 他にも女性客はいるものの、三人の特別な容姿のおかげでこの席だけ明らかに異質なのであった。





「畏まりました! では、少々お待ちいただけますでしょうか」


 メイドさんから、このお店のシステムについて軽く説明を受けたあと、俺達はドリンクの注文を済ませる。

 こうしてとりあえず席に座って落ち着いた俺は、念のため改めて店内を見回して確認してみる。


 ――よし、藍沢さんはいないな!


 予想どおり、店内に藍沢さんの姿は見えなかった。

 そのことにほっとしつつも、俺は改めて今自分が置かれている状況を理解する。

 メイド喫茶という特別な場所。そして、同じテーブルには美女三人という状況に対して、若干……いや、結構居辛さを感じてしまうのであった……。


「うわぁ、みんな可愛い!」

「あはは、そうだね」

「こういうところには来たことがなかったけど、来てみると中々興味深いわね」


 幸い、クリス、穂香、紅羽の三人は、俺を放って女子トークに花を咲かせている。

 まぁ同じFIVE ELEMENTSでも、ここでは俺だけ男なのだ。

 彼女達だけで楽しんでくれるなら、そっちの方が俺としても気楽で良かった。



「お待たせいたしました、ごしゅ……」



 そして、注文したドリンクをメイドさんが持ってきてくれる。

 しかし、そのメイドさんは話している途中で何故か突然フリーズしてしまう。


 その異変に気付いた俺は、何事だろうと顔をあげる。

 するとそこには、俺のよく知る人物の姿が……。


 ――ええ、なんで!?


 一目見て、そのメイドさんと同じく困惑する俺——。

 何故ならそのメイドさんは、今日ここにはいないはずの藍沢さんだったのである――。


 バッチリ目を合わせながら、驚いて固まる俺と藍沢さん。

 そしてその異変は、すぐに他の三人にも伝わるってしまう。


「え? なに? どうかした?」


 そんな穂香の声に、俺はすぐに気を取り直す。


「あ、ああ、すまん! 頼んだドリンク、凄いなぁって思ってちょっとビックリしてただけ!」

「あ、あはは、そうなんですよ、これよく驚かれるんですよぉー! それではご主人様、お嬢様! ごゆっくり、お寛ぎくださいませ!」


 咄嗟に俺が誤魔化すと、藍沢さんも少し慌てた様子ながらもすぐに合わせてくれた。

 そのおかげで、三人は少し訝しみつつも、今のメイドさんが俺の知り合いだとは勘付かれていないようでほっとする。


 なんで藍沢さんがここにいるのかについては、この際考えても仕方がない。

 理由はどうあれ、結果こそ全てなのだから。

 であれば、今はどうやってこの状況を切り抜けるかが大事であり、ここはお互い知らないフリをしてやり過ごすのが一番だろう――。


 それはどうやら藍沢さんも同じで、ここに俺がいることに驚いている様子ではあったものの、俺に合わせて知らないフリをしてくれて本当に助かった……。


 そして藍沢さんと入れ替わるように、すぐに別のメイドさんが席へとやってくると、お決まりの美味しくなるおまじないを一緒にかけて、無事この場は元通りとなる。


 おかげで、そのメイド喫茶らしいおまじないに、三人はまた楽しそうに女子トークに花を咲かせている。


 そんな光景を横目に眺めながら、俺はやたらカラフルなドリンクを飲んで気持ちを落ち着ける。

 すると、ポケットに入れたスマホのバイブが振動していることに気が付いた俺は、スマホを確認する。

 するとスマホには、一件のメッセージが届いていた。


『なんでいるの!? それから、一緒にいる美女達は何!?』


 それは、まさかの藍沢さんからのメッセージだった。

 そのごもっとも過ぎるメッセージに俺は、背中からまた変な汗が流れ落ちていくのが分かった……。



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