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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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第167話 次はファッション

 カフェを出ると、今度はショッピングを楽しむことにした。

 ここは原宿、一本路地を入れば個性的なお店が沢山あり、歩いて見て回っているだけでも楽しい。


「ここだよー!」


 しばらく歩いて回ると、梨々花の行きたかったお店に到着する。

 ショッキングピンクに塗られた個性的な外観に、展示されているマネキンのファッションは一言で言えば『すごくギャル』だ。


 梨々花いわく、時々このお店で買い物をしているらしく、店長さんとも仲が良いのだそうだ。


「どーもー! 久しぶりー」

「えー、梨々花ちゃんじゃーん!」


 店内へ入るや否や、梨々花はお店の人とハグをする。

 前情報通り、本当に仲良しなご様子だ。


「今日は何ー? ってか、そっちの彼はもしかしてピ?」

「そう、わたしのピだよー!」

「ヤッバ! イケてんじゃーん?」

「だしょー!」


 梨々花もギャルだが、もう一回りギャルな店員さん。

二人のノリはピッタリなようで、どんどん二人の会話は俺の話題で盛り上がっていく。


 そんな二人の砕けた会話に、若干の居心地の悪さを感じつつもただ笑ってやり過ごすしかないのであった。



 ◇



「ねぇねぇ、これ可愛くないー?」


 今は八月。

 まだまだ夏だが、これから買うなら秋冬もの。

 ということで、梨々花はタイトめなニットワンピを自分の身体に当てながら聞いてくる。


 聞かれた以上、ここは彼氏として答えるべきだろう。

 そう思い、梨々花が来ている姿を脳内に思い浮かべてみる。


 ――うん、まぁ何着ても梨々花なら似合うだろうな。でも……。


 そこまで答えが出て、俺はあることが気になってしまう。

 それは、ちょっとこれはセクシー過ぎることだ。

 肩が大胆に出ているタイプで、梨々花がこんな格好をしたら余計に周囲からの注目を集めてしまう懸念を抱くのは、親バカならぬ彼氏バカというやつだろうか……?


 そんなことを考えていると、梨々花が俺の顔を覗き込んでくる。


「ねぇ? どうなのー?」

「え? ああ、可愛いと思うけど、ちょっと露出が気になる、的な?」


 問い詰められた俺は、思わず本音を答えてしまう。

 すると梨々花は、う~んと少し悩んでからそのワンピを戻した。


「え? 良かったの?」

「うん、確かに露出多いから、彰の言うことも分かったから」

「そ、そうか」


 理解してくれるのは嬉しいが、思えば春ごろも同じように露出のある服を着ていた梨々花。

 だから今更と言えば今更なのだが、梨々花は代わりに別の服を選んでいた。


 そして――、



「じゃあ、彰君に質問です。――これとこれなら、どっちがいい?」



 このお店の中では比較的控えめなデザインの服を一つずつ手にし、梨々花はニッコリと微笑みながら問いかけてくる。

 それはまるで『だったら自分で、好きな系統を示してね』と言われているようで、笑っているが逃れることは許されないような圧が感じられるのはきっと気のせいではないだろう……。


 まぁそれはたしかにごもっとも。

 というわけで俺は、一説では決まった答えが無いということでお馴染みの、お買い物定番の二択を迫られることとなった。


 一つは、ゆったりとした黒のニット。

 これはセクシー系というよりも可愛い系で、それはそれで見てみたい気がする。


 そしてもう一つは、カジュアルなデニムジャケット。

 これもこれで、スタイルの良い梨々花なら完璧に着こなしてくれることだろう。


 セクシー、可愛い、そしてカジュアル――。

 そのどれもが魅力的で、正直に言えば全部見てみたい――と思ってしまっているのも、やっぱり彼氏バカなのかもしれないな。


 俺はその欲求をぐっと堪えつつ、ここは一つの答えを導き出す。


「……デニムジャケット、かな」

「ほほう? その心は?」

「さっきのも含め全部似合うと思ったけどさ、梨々花に一番似合うのがこれだって思ったからさ」

「ふーん、そっか」


 俺の答えがお気に召さなかったのか、それともさほど重要ではなかったのか。

 答えを聞くや否や、くるりと回ってレジの方へと歩き出す梨々花。

 そしてそのまま、そのジャケットを購入するのであった。


「えへへ、買っちゃった! 彰の好みなら、買うしかないっしょ?」


 たった今買った手提げ袋を突き出しながら、ニッと微笑む梨々花。

 だから俺も「絶対似合うと思うよ」と一緒に微笑み合う。


「あらまぁ、アツアツだこと~。わたしもピが欲しくなってくるわねぇ~」


 そんな俺達に対して、レジの方から聞こえてくる店員さんの声。

 残念ながら、それは全くもってその通りなので、二人一緒に吹き出すように笑ってしまうのであった。



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