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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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第144話 帰省

 別荘への旅行が終わり、早いもので一週間が過ぎた。

 旅行が終われば、またこれまで通り配信三昧の日々が始まっていた。

 とは言っても、今は夏休み。

 学校があった時とは異なり、夜遅くまで配信してもしっかりと睡眠を取れるため、充実した配信ライフを過ごすことができているのであった。


「ふーん、今日はレナちゃんとハヤトのコラボか」


 グループの配信スケジュールを見て、今日のみんなの配信状況を確認する。

 レナちゃんとハヤトと言えば、帰りは二人でスポーツカードライブを楽しんだ仲だ。

 車内での会話は結構弾んだらしく、二人ともホラゲーが好きという共通点が見つかったことで、今日のコラボが決定したらしい。


 とは言っても、二人ともホラゲーをビビらずに笑って楽しむようなタイプだ。

 だからきっと、リスナーのみんながホラゲー配信に望んでいるようなリアクションは見ることはできないだろうと思うと、それはそれでちょっと見てみたくもあり少し笑えてくる。


 そんな感じで、ハヤト達に限らずグループを飛び越えたコラボ企画は以前より増えており、あの別荘旅行は確実に打ち解け合う良いキッカケとなったと言えるだろう。


 まぁそうは言っても、俺は今日もこれからソロ配信。

 時間になったため、いつも通り配信を行うべく開始ボタンを押す。

 ちなみに今日は雑談配信で、俺は配信でリスナーのみんなに伝えないといけないことを伝えるようと思っている。


 俺が伝えたいこと、それは――なんてことはない、ただの帰省だ。

 夏休みだし、明日から一週間ほど実家に帰ろうと思っているのだ。


 配信でそのことをリスナーのみんなに伝えたところ、みんなゆっくりしておいでと温かいコメントをくれた。

 というわけで、これでリスナー公認のもと実家へ帰ることができると安心しつつ、残りの配信はいつも通りリスナーのコメントとバトルしてこの日の雑談配信を終えたのであった。



 ◇



 翌日。

 昨日の配信終了後に身支度を済ませておいた俺は、午前中のうちに家を出る。

 そのまま最寄り駅で電車に乗り、真っすぐ新幹線のある駅までやってきた。


「あ、いたいた! やっほー!」


 すると、そんな俺に向かってその手を大きく振ってくる女性が一人。


「ごめん、遅くなった」

「大丈夫、わたしもさっき着いたところだからっ!」


 待っていたのは、俺と同じくキャリーケースを手にした梨々花。

 そう、今回は俺の実家への帰省なのだが、色々あって梨々花も一緒に俺の地元へ遊びに来ることになったのである――。



 遡ること、数日前――。

 まだ別荘旅行の余韻も引かない頃、突然梨々花からの電話が鳴った。


『あ、もしもし彰? この間はおつかれ!』

『うん、おつかれ。どうした?』

『いや、別に何があるわけでもないんだけどさ』


 どうやら特に用があるわけではないけれど、梨々花は電話をかけてきてくれたようだ。

 そんな風に気を許してくれていることが、俺は内心ではかなり嬉しかった。


『そっか、この間は楽しかったね』

『そうだね、行って良かったよ!』


 嘘偽りのない、そんな素直な感想。

 楽しそうな梨々花の弾んだ声に、俺はやっぱり嬉しくなってしまう。


『あ、そうだ。彰って実家に帰るんでしょ?』

『え? ああ、うん。来週から帰るつもり』

『そ、そっか……』


 その言葉を最後に、さっきまでのハイテンションが嘘のように急に黙ってしまう梨々花。


『……わ、わたしもさ、ちょっとどこか出掛けたいなぁ~って思っててぇ』

『そ、そうなんだ』

『うん、でも一人旅は流石に怖いなぁ~的な?』

『まぁ、そうだろうね』

『でも女友達だけでも、ちょっと不安じゃん?』

『まぁ、うん……』

『男友達でも誘えばいいのかもだけど――』

『それは良くないと思う!』


 それはダメ、ゼッタイ。

 慌てて俺が引き止めると、たどたどしかった梨々花はプッと吹き出す。


『……だからさ、わたしもついて行ったらダメ?』

『……え?』

『彰の地元に、わたしも行ってみたいっ!』


 突然告げられたその申し出に、俺の思考が追い付かなくなる。

 梨々花が、うちの地元に? えっ??


『え、う、うちに?』

『うん! 行ってみたい!!』


 真っすぐに向けられるその言葉――。

 そうやら俺の効き間違えではなかったようだ。


 でも俺と梨々花は友達であって、実家に連れて帰るなんてそんな……。


『ダメ、かな?』

『いや、そういうわけじゃないけど……ど、どうして、行ってみたいの?』

『それは、知りたいから!』

『し、知りたい!?』

『そう! 彰がどんな所で育ったのかとか、色々知りたいの!』


 知りたいって、そんな……。

 それじゃまるで、俺のこと……。


『で、でも、いいの? 俺一応、男だけど……?』

『い、いいよ! 全然いい!!』


 そ、そうか、いいのか……。

 梨々花がいいと言うなら、いい……のか?


『じゃ、じゃあ、一回親に聞いてみるよ』

『うん! 分かった! また結果を教えてね!』


 そんなやり取りの末、通話を終える。

 そのまま俺は母さんに連絡をしてみたところ、母さんは二つ返事で大歓迎と言ってくれた。

 そうなると、いよいよ梨々花の同伴することに何も問題がなくなってしまう。


 そんなことがあって今日、梨々花も一緒に俺の地元へ向かうことになってしまったのであった――。



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