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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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第130話 別荘当日

 ついに、約束の日がやってきた。

 今日はこの夏休みで一番のイベントと言っても過言ではない、ハヤトの別荘へ遊びに行く日だ。


 早起きした俺は身支度を済ませると、鏡に映った自分の姿を確認しながら身嗜みの最終チェックを行う。

 ちなみに今日着ている服は、この間梨々花と一緒に買い物へ行った際に買った服だ。

 少し伸びてきていた髪も美容室でサッパリしてきたし、FIVE ELEMENTSはともかくDEVIL's LIPのみんなの前に出る上で最低限の身嗜みは整えておいたつもりだ。


「変じゃない……よな?」


 無意味に前髪を整えつつ、そう自分に言い聞かせる。

 何故こんな意識してしまっているのかと言えば、別に異性がいるから色気づいているわけではなく、単純に緊張してしまっているせいだと思う。


 別に消極的なわけではないが、今日はDEVIL's LIPのみんなも一緒なのだ。

 まだあまり絡みのない異性と出掛けるとなれば、どうしても気にはなってしまうのだ。

 ……まぁそういう意味で言うと、やっぱり異性として意識してしまっているということにもなるのかもしれないが。


 そうこうしていると時間も徐々に迫ってきたため、俺は遅刻しないためにも少し早めに家を出ることにした。

 今日は早瀬さん達マネージャーさんがレンタカーを三台借りてきてくれるとのことで、ハヤトの車合わせて系四台で駅に集合してから車で向かうこととなっている。


 当然男の俺はハヤトの車に乗ることとなっているのだが、どうやらツーシーターのスポーツカーで来るらしく、そんなスポーツカーなんて乗ったことのない俺は今からちょっとビビっていたりする。

 そして俺とハヤト二人だけスポーツカーなことに、他のメンバーや梨々花は露骨に不満そうにしていたのだが、気にせず「男同士だから」という理由で引かないハヤトの意見が優先されたのであった。

 ハヤトは今日のスポンサーのため、今回ばかりはハヤトの発言力が強いのである。


 というわけで、約束の駅までやってきた俺は指定の場所へと向かうと、そこには既に数人の姿があった。


「あ、アーサ……じゃなくて! 桐生先輩、おはようございます!」


 俺に気付いた一人が、慌ててこちらへ向かって少し緊張した様子で挨拶してくれる。

 先に集まっていたのは、梨々花以外のDEVIL's LIPの四人。

 やはり後輩ということもあり、俺達より早めに集まることにしたのだろう。


 ――それだと、梨々花だけまだみたいだけど。


 まさか寝坊かなと思いつつも、今朝は梨々花から『今日はよろしくね!』とメッセージが届いていたからよっぽど大丈夫だろう。


 しかしそうなると、梨々花抜きでDEVIL's LIPのみんなと一緒というのは少し緊張してしまう。

 まだそれ程絡みもないし、明らかに四人ともソワソワしているからだ。


 ここは先輩として気の利いたことをいう場面なのは分かっているが、如何せん初対面の女性に対する経験値不足が致命的だった……。


「あー、えっと、みんなおはよう」

「「おはようございますっ!」」


 とりあえず気さくに挨拶を返したつもりが、四人とも慌てて頭を下げながら挨拶を返してくる。

 その勢いと状況に怖気づいた俺も、慌てて一緒に頭を下げることで謎の状況が生まれてしまう――。


「あなた達、何やってるのよ……」


 そこへ、背後から呆れるような声が一つ――振り向けばそこには、紅羽の姿があった。

 今日は別荘へ遊びに行くということで、ノースリーブのトップスにデニムのショートパンツとかなりラフで露出も多い格好をしている。


 それでも、それを着ているのが紅羽というだけで、上手くは言えないがバッチリ決まっている感じで、そんな紅羽の姿にDEVIL's LIPの四人も口をぽかんと空けて見惚れているのが分かった。


 まだ駆け出し中の彼女達と、既に貫禄のある紅羽。

 しかし、DEVIL's LIPの四人だってそれぞれしっかりお洒落をしてきているし、何なら彼女達の中には普通に有名人まで含まれているわけで。


 ただこの場において、紅羽が彼女達にとっての憧れの存在なのだということが、その反応から見て取れるのであった。


「おはよう、紅羽」

「ええ、おはよう彰」


 紅羽が来てくれたことにほっと一安心した俺は、今度こそ気さくに挨拶をする。

 すると紅羽も、満面の笑みとともに普通に挨拶を返してくれた。


 この間はライブへ行かせてもらったこともあり、心なしか以前に比べて距離感が近くなっているように感じられるのは、きっと気のせいではないだろう。


 前はこんな風に笑い合うことなんて絶対になかっただけに、こうして自然にいられることがやっぱり改めて嬉しく感じられるのであった。


 ブロォオオオーン!!


 するとそこへ、特徴のある大きなエンジン音が徐々に近づいてくる。

 まるで引きずられるように全員その音の方を振り向くと、真っ赤な某高級自動車が視界に飛び込んでくる。


「うわ、すごい車だなぁ……」


 さすがは東京……。

 ぼーっとその高級車を眺めながらぼそりと呟くと、何故かその高級車は俺達の目の前のロータリーで止まる。


「みんな、お待たせ!」


 そして、開いた窓ガラスの奥から出てきたのは、まさかの頭にサングラスを乗せたハヤトだった。

 そう、今日はスポーツカーで来るとは聞いていたが、まさかこんな高級車で迎えに来るとは誰も思っておらず、この場にいる全員が声をあげて驚いたのは最早言うまでもないだろう――。

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