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実は俺もVtuber~駆け出しVtuberを支える俺、実は登録者数100万人の人気Vtuberな件~  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第三章

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110/170

第110話 翌日の朝

「あ、起きた。おはよー」


 カタカタという音に目を覚ますと、リビングのローテーブルでパソコン作業するクリスの姿があった。


「おはよ……もう体調はいいのか?」

「うん、おかげさまで」


 そう言って、作業に集中しているクリス。

 こう見ると、クリスはプロのイラストレーターなんだよなと感心してしまう。


「あ、彰起きた? ちょっと待ってね、もうすぐ朝ご飯できるから」


 そしてキッチンでは、穂香が朝食の準備をしてくれている。

 ベーコンだろうか? ジュージューと焼ける良い香りが漂ってくる。


 時計を見ると、朝の九時過ぎ。

 窓からは朝日が差し込んでおり、どうやら結構眠ってしまっていたようだ。


 身体を起こした俺は、一度大きく伸びをする。

 それから、とりあえず歯を磨くべく洗面所を借りることにした。


 歯を磨き、顔を洗い、頭も起きてさっぱりした俺が再びリビングへ向かうと、穂香が作ってくれた朝食をテーブルに並べてくれていた。


 ハムエッグに、サラダ。

 あとはご飯にお味噌汁と、盛り付けもとても綺麗でおいしそうだった。


「おお、ちゃんと朝食だ」

「そうだよ、彰が寝てる間に食材買ってきたんだからね」


 マジか……それは何だか申し訳ないな。

 昨晩は寝るのが遅くなった分、そんな穂香にも気付かないほど深い眠りについてしまっていたようだ。


 まぁそんなわけで、それから三人で仲良く朝食をいただくことにした。

 穂香の手料理はどれも美味しくて、どこか優しく温かい味わいだった。


「ね、どう? 良いお嫁さんになれそうかな?」

「ん? ああ、そうだな。こんな朝食なら、毎日食べたいぐらいだな」


 俺は素直に、感じたままを答える。

 すると穂香は、頬を赤らめながら恥ずかしがるのであった。

 その反応はまさしく恥じらう乙女といった感じで、何だか俺まで少し恥ずかしくなってきてしまう。


「人の家で、ラブコメ禁止」

「「してない!」」


 目を細めながらつっこむクリスに、俺と穂香の声がシンクロする。

 それが何だかおかしくて、三人同時に吹き出すように笑い合った。


 そんなわけで、穂香の朝食は美味しかったし、クリスも体調はかなり良くなったようで何よりだった。



 ◇



「ね、見てこれ」


 朝食を終え、お礼に洗い物をさせて貰ったところで、クリスが俺を呼んでくる。

 そしてクリスは、パソコンの画面を指差して今作業中のイラストを見せてくれた。


 それはVtuberを題材にしたラブコメ作品の表紙絵で、複数のキャラが上手に配置された綺麗なイラストだった。


「おお、凄いね」

「へへん、そうでしょ」


 素直に褒めると、胸を張ってドヤ顔を浮かべるクリス。

 どうやら本人的にも自信作のようだ。


 この作品は、元々Webで連載されていた作品のようで、既に人気も高い作品なのだという。

 そんなVtuberモノの作品を、Vtuber本人である恐山ネクロがイラストを担当するということで、巷では結構な話題にもなっている。


 そして実際のイラストも、さすがの一言だった。

 一目でそれがクリスの描いたイラストだと分かるほど、唯一無二の完成されたイラストだった。


「頑張って描いた」

「うん、分かるよ。素人の俺が言うのもなんだけどさ、本当によく描けてると思う」

「えへへ、褒められた」


 嬉しそうに微笑むクリス。

 昨日の辛そうな表情ではなく、その人懐っこい微笑みに俺まで嬉しくなってくる。

 まぁこの様子なら、もう大丈夫だろう。


「よし、それじゃ俺はそろそろ帰るけど、まだ完治したわけじゃないから無理はするなよ?」


 あまり長居するのもあれだし、家でゆっくりお風呂に入りたい俺はそろそろ帰ることにした。

 しかしクリスは、そんな俺のズボンの裾をきゅっと掴んでくる。


「行っちゃうの……?」


 そして寂しそうに、クリスは俺の顔を見上げてくるのであった。


「はいはい、わたしはもうちょっと一緒にいてあげるからね」


 すると見兼ねた穂香が、そう言ってクリスを安心させるように後ろから抱きしめながら頭をぽんぽんする。


「彰、昨日お風呂入ってないしね」

「……それは不味い」

「でしょ? だから、ね?」

「うん、分かった」


 俺をいじって笑う穂香に、クリスも納得してくれた。


「てことで、あとはわたしに任せて先に帰って大丈夫だよ」

「彰、ありがとう。――その、来てくれて本当に嬉しかった」


 あとは任せてというようにニッと微笑む穂香に、恥ずかしそうに微笑むクリス。

 バイバイと手を振ってくれる二人に、俺もバイバイと手を振り返して家を出た。


 外は、雲一つない快晴だった。

 朝の澄んだ空気が、今は一段と気持ち良く感じられた。


 何だか色々あったけれど、なんやかんや楽しかったことを思い出す。

 そんな充実感に満足しながら、特に急ぐ理由もない俺はゆっくりと帰宅するのであった。





 無事クリスも良くなってめでたしめでたし。

 この夏休み、次は何が起きるか楽しみですね!!

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