第8話~策謀の船出~
地中海の西へ日が沈み、底冷えする砂漠の夜が訪れた。
風は昨晩よりも穏やかだが、時に吹きつける一陣の風が服のすそを翻し、さらさらとした砂粒を夜空へ舞い上げる。
町の港には大小さまざまな船が停泊している。風向きによっては砂漠を通るよりも海路を通る方が手軽で速い。大都市とは言えないが、人が多いこの町には船の運航がそれなりに栄えている。
その港には列を作った屈強な兵士たちと、それを出迎えるギイと彼の使用人たちが集まっていた。
「時間通りだな。ここを離れる準備はできたか?」
兵の先頭に立つガザールがギイに話しかける。ギイは小さく頭を下げて答えた。
「はい、すでに船を出す準備は整っております。こちらの船にお乗りください」
「おう」
うやうやしく頭を垂れたギイの姿は、ガザール隊の気を良くしたようだ。露骨に囃し立てなくても、兵たちの間には優越感が蔓延している様子だ。
ガザールが顎をしゃくると、兵士たちが歩き出す。船に架けられた橋を渡って、次々とガザールの率いる兵隊が船へ乗り込んでいく。
岸に残ったのはガザールとギイとその使用人たちだ。
兵士が全員乗り込んでからギイたちも船に乗り込もうとしたが、突然ガザールが使用人の肩をつかんだ。
「そういえば、お前たちはギイに雇われているのだろう。もっと大勢いたはずだが、どうしたんだ?」
ガザールの急な問い詰めに、使用人の青年は目を白黒させて戸惑っていた。何か言葉を絞り出そうにも、ガザールの凶悪な人相に恐れきっている。
「あ、あの……」
「うん? なんだ?」
さらに顔を近づけてくるガザールの目は笑っていない。その笑顔にひとかけらも善意は含まれておらず、ただ人を食い物にすることしか考えていない表情だ。
「半分以上が辞めたんですよ。異国の都市ヴェネツィアに行くことを嫌がった者が大半でしたから」
ギイが代わりに答えると、ガザールは使用人から手を離して、ギイの正面に立って見下ろしてきた。
「金の羽振りが良いお前が、まさかこうも簡単に見放されるとはな」
「……故郷を想う気持ちには勝てません」
「いいや、それだけではない。人を率いるには人望と力が不可欠だ。どちらが欠けていれば部下は離れ始め、どちらもなければ他人に取って代わられる」
「俺は自分の店をここまで大きくしました。その力は持っている」
「ぶっ、くくくっ……そうだな、しかし人望も力も俺に及ばなかったから、このような日がやってきたのだ。なあに、悪いようにはしない。俺のもとで励めば良い思いをさせてやる」
唇を震わせたギイを見てから、ガザールは大きく鼻息を吐いてギイの前を通り過ぎる。頭にかぶっていた兜をギイの使用人に押しつけ、堂々とした足取りで橋を渡っていった。
ギイの使用人たちはじっと黙っていたが、ギイが視線を送ると小さく頷いた。
予定通り、ガザールたちが乗り込んだのは大きい船だ。その船からおよそ30m離れたところに、若干小さい船が停泊している。
その小さい方の船こそ、ギイの財産といえる品々を積んだ本命の船であり、そこでアーシムがギイの使用人たちを半数率いている。
策の概要は、小さい船にギイを避難させてから、大きい船に乗ったままのガザールたちを沈めるというものである。
この作戦を決行する上で、アーシムの責任は非常に大きいものだ。アーシムはギイの合図を逐一確認しつつ、ガザールたちが寝静まったところを見計らって、船を近づけなければならない。
ギイの方にいた使用人から、本命の船へ小石が投げ込まれた。
甲板に転がった小石をアーシムが拾う。小石には布が巻きつけられていて、その布を剥がすと連絡文が書いてあった。
「船尾の松明が回れば出発せよ。姿と声をひそめること」
ギイから寄こされた文章を読み上げて、アーシムはギイたちが乗った船の方に目を向けた。
すでにガザール隊もギイたちも乗船したようだ。兵士たちは広い甲板でくつろぐ者もいれば、荷から出した食料や酒で宴会の準備を進める者もいる。
「操船の作業はほとんどギイの使用人たちで行っている。ギイが要求に応じたとはいえ、兵士は誰一人としてヴェネツィアまでの航行を手助けしないつもりだな」
遠目でも分かる傲慢な振る舞いにアーシムが苦言を呈した。
そこに1人の男が近づく。アーシムの背丈にひけを取らず、顎は広く、なかなか筋骨隆々とした使用人だ。その男はラティーフと名乗り、アーシムに声をかけてきた。
「アーシムさん、どうか頭を低くしてください」
外見こそ威圧的なラティーフだが、その話し方や声色から察するに穏やかな性格のようだ。人を恐れさせる言動を滅多に行わず、昼間の作業でも他の使用人から信頼されている様子だったのをアーシムは覚えている。
「ああ、すまない。この船に誰か乗っていることを感づかれたら危険だったな」
アーシムが忠告を素直に聞くと、ラティーフはほっとした顔をして、アーシムと同じように身を低くした。
「あの、アーシムさん」
「なんだ?」
「どうして、あなたは主人に肩入れしてくれるんですか? 昔からの友達?」
「いいや。友達も何も、ギイとは昨晩知り合ったばかりだ」
アーシムの答えにラティーフは口を開けて固まっていた。知り合って間もない人間が、こうして生き死にに関わることに手を貸すことが不思議なのだろう。
「じゃあ、なんでこんな危険な作戦に協力してくれるんですか?」
「俺だってギイのことを全て信頼しきっているわけではない。知らないこともまだまだ多い。だが俺の旅の目的に関して、ギイはずいぶんと有益なことをしてくれた。その恩を返すなら、この作戦を手伝うことくらいお安い御用だ」
「恩返し……」
「そうだ。付き合いこそ短いが、俺もお前たちと同じくギイに恩返しがしたい。戦う理由が一緒なんだよ」
その言葉に胸を打たれたラティーフは、子どものように大きく頷いてアーシムの肩を叩いてきた。やはり見た目と違って人当たりがよく、そうとう純真な性格らしい。
「お、俺も主人に雇われて貧乏な生活が楽になりました。大飯食らいな俺に仕事を与えてくれて、商売に厳しいところもありますけど、でも、すごく良い人なんです」
「うん、そうだな」
「だから、俺も主人を助けたいんです。この町から離れて外国の街で働くのは不安だけど、仕事仲間と主人がいれば頑張れます」
「お前は優しいな。心配ない、不測の事態になっても俺がギイを助けてやる」
アーシムはそう言ってから大きい方の船を見た。ギイたちの出港の準備はだいぶ進んでいた。
「みんな、そろそろ合図が来る頃だ。こちらも船を出す準備を始めるぞ。明かりは使わず、作業もガザールたちから見えない場所で静かに行え」
アーシムに従ってギイの使用人たちは動き出す。その動きは迅速かつ緻密で、負荷の大きい作業ですら軽々とこなしていく。
この船にはギイの使用人たちのなかでも、ラティーフをはじめとした体力のある若者が多く乗っている。先に出発するギイとガザールが乗っている船に追いつくには、多少強引な速度で船を動かさなければならない。その場合、風がうまく吹かなければ帆に頼らず、櫂を使って人力で漕いでいくしかないためだ。
対して大きい方の船に乗る使用人たちは非力な者が多い。ギイが言うには、力自慢の使用人を多く乗せれば、ガザールたちの警戒心を刺激してしまうということだ。
アーシムたちの作業の途中で、ギイとガザールが乗る船が岸から離れた。
「出発したな……まだ静かに! ここで気取られたら策が台無しだ」
先に出発した船を見てにわかに騒ぎ始めた使用人を、アーシムが小さく鋭い声で制する。
「ラティーフ、この船のなかで最も視力に優れた者を何人か選び、船頭に立たせて合図がないか見張らせろ。ギイが松明を3周回したら、こちらも出発する」
「はいっ」
「あちらの船からは松明で合図が来る。それまでは待機だ」
アーシムのそばに控えているラティーフはよく働き、素直な性格だが肝も据わっている。他の使用人たちに適切な指示を出し、ラティーフの指示に使用人たちは従う。
新天地ヴェネツィアでギイは商売を始めるらしいが、ラティーフならばギイのもとで副官として立派に働けるだろう。
「さて、俺も準備するか」
せわしなく出発の準備を進める使用人たちの間を縫い、アーシムは船室へ入った。
目の前には貴重品の山が広がっている。どの品々も高価な品であり、ギイがヴェネツィアで再び勝負するための財産だ。
アーシムはこの船を指揮する立場だが、もしもギイが窮地に陥れば、自ら救出しに行かねばならない。ギイが殺されるようなことがあれば使用人たちは途方に暮れ、アーシムをコルス島に送るどころではなくなる。
「つまり、状況によっては俺が命を張ることになる」
誰もいない船室でアーシムがつぶやく。もちろんその声に返答するのはマヘスしかいない。
『まあ、そうだろうな。ギイの後ろ盾がなければ、あの使用人たちによってお前はただの部外者だ。そして主を失った者たちの前にこの財宝の山があれば、そう遠くないうちに争いが起こるだろう。誰がギイの財宝継ぐにふさわしいか、誰が多くの取り分をとるか、とな』
「そんな不毛な争いには巻き込まれたくないな。俺もアル・アジフを探す目的があるゆえ、もちろんそんなことはさせないが」
『まったくだ。さて、そこでお前はどれを拝借するのだ?』
マヘスの問いにアーシムは言葉を返さなかったが、その代わりに武器が収納されている箱へ手を伸ばした。
時を同じくして、ギイはガザールたちへの接待を行いながら、隙を見て使用人に声をかけていた。
「この船に乗せた品々は安物だ。多少はガザールたちの好きにさせてもいい。ただ、馬鹿にされても兵に反抗したり、使用人どうしで話をすることは避けろ。俺の指示があるまで、アーシムさんに合図は送るなよ」
ギイの使用人はその言伝をよく守っていた。しかし、この船には非力な使用人が多いといえど、自分たちの商品を好き勝手にされることに憤慨している。なにか間違いが起これば、兵と使用人のあいだに諍いが勃発するだろう。
「みんな、辛抱してくれよ……ガザールたちを酔いつぶしてしまえば終わりなんだ」
現在、ガザールたちはギイのもてなしにより、甲板で酒盛りに興じている。
最初はおのおのが持参した酒で飲んでいたが、ギイの積み荷の中に酒や食料があると知ってから、それらを際限なく飲み干し、食い散らかしていく。
自分の仕入れた品物に手を付けられる悔しさは大きい。だが、ギイはその怒りを胸の内に押しとどめ、かえって酒席が盛り上がるほど、ガザールたちの酔いが早く回ってくれると考えることにした。
「もうそろそろ、頃合いか」
甲板の片隅でつぶやいたギイは、少し離れたところに立っている使用人と目を合わせる。使用人はギイの視線に気づくと小さく頷いて、適当な酒瓶と食料を持って歩き出した。
わずかに遅れてギイも歩き出し、ちょうどガザールたちが酒盛りをしている近くで、ギイと使用人がぶつかった。
「あっ!」
使用人が声を上げると、ガザールたちが一斉に振り向いた。
その使用人が運んでいた酒と食べ物がこぼれ、ギイの衣服にたっぷりとぶちまけられていた。上等な白い布が赤ワインと肉汁に汚れ、ギイの唇がわなわなと震える。
「もっ、申し訳ありません!」
慌てて使用人が頭を下げるも、すでにギイの怒りは沸点に到達していた。
「どこを見ていたんだ馬鹿者! この服がいくらするのか知らないのか!」
怒鳴り声をあげるギイに、より深々と頭を下げる使用人。
その光景を見たガザールたちは勢いよく笑い出した。
「がはははっ、ずいぶんお洒落な服を着てやがるなあっ!」
ギイの汚れた姿をガザールがけなし出すと、それに続いて兵士たちも腹を抱えた。
もはや屈辱の極致に達したギイは顔をうつむかせ、「あとはお前がどうにかしろ」と使用人に言い残してから、足早にその場を去っていった。
恥ずかしさで逃げていったギイの後ろ姿を見て、ガザールたちは笑い続けている。
「おい、見たか! あんな顔したギイはなかなか見れねえぜ!」
「ぶふふっ、ありゃ傑作だったな」
「なあ、そこの若造! ご主人様に怒られて泣いてるのか? そんなもの掃除するくらいなら、俺たちが慰めてやろうかあ?」
酔って上機嫌に騒ぐガザールたちの声は船中に響き、残された使用人は気落ちした様子でこぼした酒と肉を片付け続ける。
その乱痴気騒ぎを背中で聞きながら、ギイは静かな足取りで船尾に向かう。
「造作もなかったな。酔っているとはいえ、あんな芝居で騙されるとは……」
盛大に服を汚されたにも関わらず、ギイはくすくすと小さく笑っていた。
あの使用人とはすでに打ち合わせしており、わざとぶつかり合ってギイの服を汚したのだ。
ギイはこの船が沈みやすいように細工し、アーシムたちへの合図を出す予定だ。それは今夜の作戦の成否を決める作業のため、ギイは自分自身でその重要な作業を行いたかった。
だが、接待していたギイが前触れもなく姿を消せば、いくら酔ったガザールたちでも不審に思うだろう。
それゆえギイと使用人は一芝居打った。服を汚されたギイが怒りをあらわにして、堂々とその場から立ち去る姿をガザールたちに見せつけたのだ。
「これで当分は自由に動ける。あとは船底に細工して、アーシムさんへ合図を送る」
ほとんどの兵士たちは酒盛りに夢中だが、中には酔い覚ましするために船内をぶらついている者や、積み荷の中にある金品を物色している者もいる。
そこで見つかってしまえば、この作戦は元も子もない。この作戦にはギイとその使用人の生死がかかっている。アーシムという心強い協力者もいるが、最後の決め手はギイがどれほどうまく動くかどうかにかかっている。
芝居に成功しても、ギイの緊張感はまったく途切れていなかった。
ギイは慎重かつ素早く動き出す。船室にいる使用人にも協力してもらい、船室に残っている兵の気をそらす。
船室の奥にある床の跳ね上げ戸を開けて、船室の下部へ入った。
「暗いな……目が慣れるまで待つか」
入った先は船室の床下だ。床板の隙間から光は漏れているが、それでもかなり暗い。
この船室の下部にも荷は積まれているが、どれも兵に物色された形跡はない。欲深いガザールたちでも、ここまで入り組んだところまでは入らなかったようだ。
「よし、俺の言いつけ通りに道具を用意していたようだ」
暗さに目が慣れたギイは、とある荷物の影に置かれていた道具を手に取った。
船室の下で船を沈みやすくする細工を行うと、ギイは使用人たちに言い含めている。大部分の使用人はガザールたちにこき使われていたが、そこからうまく抜け出した使用人が指示通りに用意してくれていたのだ。
「刃物にノミ、金づち、油紙、そして砂を詰めた重り代わりの樽。うん、これさえあれば充分だ」
ギイの行う細工とは、船底の壁に小さな穴を開けて、そこへ丸く固めた油紙を押し込むことだ。
固く丸めた油紙は水を通さないが、急な船の動きには弱い。別の船に逃げたギイたちを追うためにガザールたちが船を加速させたら、まず間違いなく油紙の栓は抜け落ちて、どんどんこの船は沈んでいくだろう。
もちろん下手を打てば即座に船が沈む危険な作業だが、手先が器用なギイには自信があった。
「……よし、まずは1ヶ所。少なくとも5ヶ所は穴を開けておきたいところだ」
ギイは額の汗をぬぐいながら作業を進めていく。
穴を開けた瞬間は若干の海水が浸入してくるが、ギイは手際よく油紙を穴に押し当て、多少の揺れでは抜けないようにしっかりと詰め込んだ。
「そう簡単に油紙が外れても困る。舵を思いきり切って、なおかつ急発進しようとした時に抜ける固さでなければ……」
難しい作業を黙々と進めていると、ギイが入ってきた戸板の真上から、なにやら言い争う声が聞こえた。
「いえ、ですから……ここは……」
「……だからって…てめえごとき……」
不穏な様子に気づいたギイは戸板の真下まで移動して、真上で起こっている言い争いに耳を澄ませた。
「だから、なんでここを開けられねえんだよ!」
「あの、ここにあるものは、その、食料でもなんでもないですし、」
「だったら見せろってんだ! てめえ、死にてえのか!」
声の主はギイの使用人とガザールの兵だ。この状況から察するに、使用人はギイが真下で作業しているのを知っているため、床の戸に気づいた兵士を止めようとしたようだ。
「ちっ、まずいな」
そうつぶやいたギイは近くにあった荷箱をわざと倒した。
荷箱の倒れる音が真上にいる兵士に聞こえる。さらに不審感を抱いた兵士が使用人を押しのけ、床の戸を引き上げた。
兵士の顔が開いた戸から覗き込んできた瞬間、ギイは兵士の首をつかんで引きずり下ろし、持っていた刃物をその首に突き刺した。
「ぐ、ぎぎっ、このっ」
「もう、黙れっ」
首を刺されてもギイにつかみかかろうとした兵士だったが、さらにギイが刃物をねじ込むと、兵士はびくびくと痙攣を数回繰り返してから力尽きた。
「……ふう。ハリル、大丈夫か」
殺した兵士の体を船室の下に押し込み、ギイは上で慌てふためいている使用人に声をかけた。
「す、すみません! 僕がちゃんと気をそらせなかったせいで、作戦がばれそうに」
若い使用人ハリルは泣きそうな顔で謝ってきたが、ギイは首を横に振った。
「いいんだ。ひとりいなくなったくらいなら、すぐには気づかれない。それよりも後始末だ。だいぶ返り血がついてしまったから俺は着替えなければいけないし、殺してしまった以上、予定より早めに合図を送るほうがいい」
「分かりました。でしたら、すぐに着替えを持ってきます」
「ああ、頼む。俺はここで待っているからな」
ハリルはその場から去り、ギイは戸を内側から閉めて、暗がりの中でゆっくりと腰を下ろした。
「はぁーーっ……やれやれ、そうやすやすと事は運ばないか」
疲れたようにため息をついたギイの傍らには、首から血を流して死んでいる兵士がいる。おびただしい血が暗い船室の下に流れていく様を見ると、ギイの脳裏に古い記憶が浮かび上がる。
「まったく、どうしてこう、血なまぐさいことになるのかね」
ギイの内にあるその記憶は、少年だった頃のギイの生き方を変えた。
血と泥にまみれた丘に、首から血しぶきを上げた若い騎兵。そしてそれを見届けてから、脇目もふらず森の奥へ走り抜けていった自分の汗と吐息。
その日は今でも忘れない。崇敬と信頼、そして本当の慈悲をかなぐり捨てた日だ。
「こんなところで死ぬもんか。たとえ俺の周りが皆殺されたとしても、俺だけは必ず生き残ってやる」
出自を隠し、国から出て、どん底から這いあがったからこそ生まれた生への渇望を胸に、ギイはこの作戦の成否にかかわらず、あらゆる手を使ってでも生き延びるという決意を固めるのだった。
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