第3話 ひでぇ話
「はぁ……」
姉貴の部屋から戻って、俺の部屋で、大きなため息をつく。
「はぁ……俺、どうなっちまったんだよ……」
机の上に広がるのは、俺の教科書のはず。
名前の欄を見ると、そこには……
〈三木屋音虎〉
の文字がある。
「マジか……」
眼を瞑り、額を抑える。
マジか……。名前まで変わりやがった。
––––人の子よ。そなたの願いはなんだ––––
「誰だ!?」
––––そなたの脳内に直接話しかけておる…いわゆるサンタみたいな者だ––––
サンタって……時期外れにも程があるぞ。
––––そちらの概念でのことだ。気にするな––––
気にするなって……。
––––それで、そなたの願いはなんだ––––
願い。願いか……。男に戻してくれ。
––––それは無理だな––––
使えねえ神龍。
––––まぁ、そんなこと言うな––––
言うしかねぇよ。
––––そうだな……なら、保留ということでいいかのぅ?––––
まぁ、な。あ、俺の経歴はどうなってるんだ?
––––記憶とかは送っておこう。ほれ、念じたら、脳内からワサビのようににゅるっと出てくるぞ––––
なにその比喩。
––––それぐらい別にいいでしょ––––
まぁ。そんなもんか。
––––あ、その口調は直させてもらいます。女口調にね–––
は?
––––それじゃ。あ、私を呼ぶときは、普通に念じたらきますから––––
あ、ちょい待て!!
……………………。
逃げた……。
てか、最後の方、口調崩れてたな。女かよ、サンタって。
「えーっと、わ、私、だよね……お、お……お………」
俺って言いにくくなってる!?
「まぁ、いっか」
「いやぁぁぁぁぁぁっほぉぉぉぉぉぉい!!!」
姉貴が、叫びながら部屋に入ってきた。
「姉貴……何?」
「これ、プレゼーント」
そう言って、渡されたのは、ヘッドホンマイクと昨日使っていたノートパソコン。
「…………Youtuberになれってこと?」
「Vtuberにね!」
は?
「はい?」
「ほら、紙鳶音虎やってたでしょ!それで一緒に稼ごうよ!!」
……………。
………………………………………………………。
………………………………………………………。
ま、いいか。