RE:START
―では、ここから再び始めよう―
気付いた時には、何もなかった。見渡す限り、どこまでも白。不思議な空間にヴァンと銀髪の男は立っていた。
ここは一体どこだろう?どうして俺はこんな所にいるのか?
そもそも俺は誰だ?
俺の名前はヴァン。
俺は18歳で……
本当にそうなのだろうか?全く確信は無い。そんな気がするなという程度。
ヴァンは何でもいいから思い出そうとうするが、家族も住んでいた所も、何もかも曖昧だった。
まるで夢から覚めた後、夢の内容を忘れてしまったような感覚。頭の中に確かに『残滓』は残っている。でも、それを掴まえることは上手くできなかった。
ハッと我に返り、ヴァンは目の前の男に視線を合わせる。
年齢は50代くらいだろうか。顔にはいくつもの傷があり、そのひとつひとつに重みを感じる。
この男にも全く見覚えはない。どうして二人でこんな空間で立っているのか全く見当がつかない。
「なあ、あんたは何者だ? ここはどこだ? なんで俺の記憶がない? 始めるってなんだよ?」
ヴァンは銀髪の男に一気にまくし立てる。
銀髪の男は一瞬切ない表情を見せたがすぐ表情が変わり、口元が大きく歪んだ。
「俺は、お前の……」
「俺の……?」
ヴァンは思わず息を呑む。
「俺はお前の……息子だ」
全くわけがわからない。この男は俺の息子? 明らかに俺より年上だぞ。こんな子供を作った記憶はない。記憶喪失だから当然だが。俺だけ若返ったか、俺だけコールドスリープにされてたか。そうすると、きっと妻は銀髪の綺麗な人に違いない。ちくしょう! 何で思い出せないんだ。せめてイメージだけでも……
ヴァンの脳内のシナプスをすべて見知らぬ妻に集中させる。
「ちょっとちょっと。早く『お前は俺の息子だろ!ってスターウォーズか!』って突っ込んでくれないと俺、困るんだけど」
「そんな分かりづらいボケあるか! こっちは記憶喪失でなんもわからないのに、スターウォーズってなんだよ! 俺の銀髪の妻返せよ!」
俺の頭の中から銀髪の巨乳若妻が霧散した。
「……っていうか、お前、俺の親父なのかよ」
「いや、全然」
「マジでなんなんだよ! 一瞬信じちまったじゃねえか。あんた何がしたいんだよ」
「とりあえず、お話をしたかったんだ」
目の前の男にペースを持っていかれて、ヴァンはとてもヘトヘトになった。この全く何を考えているのかわからない男は、本当に何者なのだろうか。
「まあ、お話といっても、『世界を救うお話』だけどね」
細々と書いていこうかなと思っています。