護衛と山越え
大きな街に来た二人は海岸線に向かうことにする。そのついでに寛貴は昔の連れに頼まれて一仕事することに、、、
「大丈夫か?疲れたなら休むか?」
寛貴は拓実を気遣って後ろを振り向く。今二人は森を抜け街を目指している。
結構な距離を歩いているためもうそろそろ根をあげるのではないかと思っていたのだが、以外と後ろを平気な顔で歩いている拓実を見るとため息が漏れる。
だってそうだろう?自分より体力があるというのはちょっと、いや、かなりショックだとしか言いようがない。
「平気だ。先を急ごう。」
「あぁ、、、」
そんなこと言われれば疲れたから休もうなんて言いずらいじゃないか?
仕方ない、年上の意地だ。絶対に先に『疲れたー休もう』っと上目使いにおねだりさせるんだ~。
と、心に刻むのだった。それが叶うことはないのだが。そんなことは露知らずもくもくと歩き通した。
途中で野宿したものの、4日目には大きな街にたどり着いた。
行き交う人も多いので人混みではぐれないようにと寛貴は拓実の手を握って離さなかった。
最初は嫌がっていたが、慣れると違和感がないのか自分から手を握っては行きたい方に歩き出した。
「こんなに人がいるとこなんて初めてだ」
「何か欲しいものでもあった?」
「うんん。なんか色々なものがあって飽きないなぁって。俺がここにいるのが場違いな気がしてきた」
「そんなことないよ」
そっと頭を撫でると、目を細めて微笑んだ。最近はくどいぐらい接触が多かったせいか、多少のことでは動じなくなった、というか呆れて咎めなくなったといった方が正しいかも知れない。それに拓実自信も触れられることにそれほど嫌悪感を感じなくなってきていた。何気ない仕草のついでに腰に手を回してもおとなしくそこに収まっていた。
情報を集めるには依頼を漁るのが一番、っということで流しの裏家業の巣窟へ行くことにした。
もちろん拓実を置いていく訳にはいかないのですぐ傍らにおいて。
「よぅ、久しぶりじゃねーか?最近はめっきり話を聞かねーからおっ死んだと思ったが生きてやがったか?死神よ~」
奥から聞きなれた声と悪態は相変わらずの体格のいい筋肉質の男が声をかけてきた。
「正嗣か、まだ生きてたのか?」
「当たり前だろう?俺が簡単にくたばるかよ・・・・そっちのちっこいのはどうした?」
「拓実は俺の相棒だ」
俺の後ろに身を隠して警戒する拓実に正嗣は上から順にじろじろと眺めると突然ため息を吐いた。
「おいおい、冗談だろう?死神ともあろうものがこんなひょろっこいのを連れてちゃ仕事にならんだろう?」
「うーん、そうかな?拓実を離す気はないけど?」
「マジかよ、今回の依頼が一人だときついからお前を誘おうと思ったのによ」
「なんの依頼?」
「護衛だよ。矢岳山を越えるのに緊急で人を集めてるんだ。あそこは海岸に出る為の難所だからな。そこを迂回するとなると安全だが倍以上の日数がかかっちまうしな。俺以外は使い物にならんからな、実質一人みたいなもんよ。それじゃ~不安が残るって訳だ」
「なるほど、俺たちも海岸の方に用事があるからその話、一枚噛もうかな」
「おいおい、そのガキ連れてく気か?」
「ガキじゃない! もう17だ」
「まだガキだろう?」
拓実は余りにもガキ扱いされてイライラしてきていた。
「まぁまぁ。いいじゃない俺ならどんなことにも対処できるっしょ?」
「そりゃーちげいねぃ」
屈託なく笑い正嗣は奥へ入っていった。
「先立つものもいるしね。ちょうどいいっしょ?」
「なんか、さっきのやヤツ、ムカつく」
「いいじゃない?ほかっておけば、さてと宿屋に行こう」
「うん」
手続きを済ませ明日の出発の場所を聞いて宿に行った。宿はそこそこきれいにされておりところかしこに明かりがあり、夜でも明るかった。
「まずは矢岳山を越えなきゃだな、それから沿岸部の捜索、、、そういえばさっきの場所で今回の依頼以外に何かやってなかったか?なにやってたんだよ?」
「んー?内緒?」
「ずりー教えろよー」
実は今回の依頼以外にも黒死病の原因解明と後処理を請け負ってきたのだ。根絶方法も教えるということで依頼は成立した。しかし、治療法までは教える気にはなれなかった。
それはいわゆる拓実を実験台として差し出す事に繋がるからに他ならなかった。
「なぁに?そんなに気になる?」
俺は聞きたがる拓実の瞳を覗き込むと唇を重ねて言葉を吸いとった。
「んんんっっっっーー」
段々とその気になる体を抱き寄せて深く深く口づけをする。
思考を奪うには一番いい解決方法だった。一度その気にさせてしまえば後はこっちのものである。
下半身へと手を滑らせてゆく。露になる白い肌がとても儚げで誰かに取られる位なら壊してしまいたくなる衝動に駈られた。服を取り払い、その肌に舌を這わせ吸い上げる。
「あっ、、、んっんんっっ、、、」
鼻にかかったような甘い声が漏れる。理性の限界がそんなに長くないことを悟った。
夜も更け、拓実を見下ろすと疲れのせいか、それともさっきの運動のせいか今はぐっすり眠っている。
そこへ人の気配が上から降りてくる。
「悪い趣味だね」
「お前ほどじゃねーよ。男を抱く趣味は俺にはないね」
上から降りてきたのは正嗣だった。
「そいつを連れてくのはやめた方がいいぜ。今回の護衛は襲撃の可能性が高いんだ、だからお前を誘ったのに足手まといが居たんじゃ無理だろう?それに、、、外でもそいつを抱かないと眠れないか?」
「そうねぇ~拓実がいないと生きていけないかな?」
「おいおい、冗談だろう?マジなのか?」
にっこりと笑って見せると正嗣は頭をガリガリと掻くと呆れて言った。
「どうかしてるぜ。まさか、、、護衛に娼夫を連れてくとわな~死神もとんだ腑抜けになったもんだぜ。まぁ、しっかり守ってやんな。それと、足引っ張るなよ」
言いたいことを言うとそのまま姿を消した。




