4-5.僕は漫画
「に、にほん!?」
僕は驚く。
僕に向かう好意の矢印が2本!?
「まず一本は、ずっとどこからか向かって来ている矢印。誰か全くわからない」
な、なんじゃそりゃ!?
「どこからか、分からない?」
「俺の受けてる祝福は、自分の視界の矢印までしか見えないよ。どこかの誰かの好意の矢がお前に向かっている」
僕は漫画の単行本の最初のページぐらいにある、人物相関図を思い浮かべた。なるほど、ページからはみ出した矢印は当たり前だが見えない。
「も、もう一本は???」
「七星ちゃんだよ」
心の何処かで期待していた、その通りの言葉が返ってきた。
「5月の中旬から、お前らは両想いになったみたいだな」
そうか。
付き合ったフリをして、好きになったのは、僕だけじゃなかった訳だ。
同時に、胸が痛い。
「でも七星ちゃんって、アレなんだろ?お前らマズいんじゃないか?」
「それは・・・」
僕は茂木にコールセンターでの一件を話した。自己申告制であることや、天使の恋について、そしてさらには親睦会が開かれ、僕は七星と別れる設定である、と。
「そうなんだ。なら解決だな」
「う、うん・・・」
両想いなのに、別れるのか。
せめて僕の片想いであって欲しかった。
話し込んだので、時間も遅くなり、僕と茂木は帰ることにした。
僕は茂木という身近な存在が同じ様な境遇であったことに安堵し、また、七星が僕を好きでいたことに、心を痛めた。
また、くよくよしてしまう。
本当に別れていいのだろうか。
でも、天使と恋に落ちても未来は無い。
おそらく七星もそれを知っている。
でも、嫌だ。
でも、そう言っていられない。
僕は恋愛で悩んでいる男女の話をいつもどうでもいいと思っていたが、いざ自分が当事者となると、これほど辛いとは思ってもいなかった。
恋愛は、痛い。




