4-4.ハートが無い
翌日。6月2日。
いつもの様に登校し、数学の授業前は少しだけ高嶺さんと会話し、気がつけば放課後。
僕と茂木はカードショップにいた。
ふたりで向かい合い、カードゲームで勝負をしながら、話を始める。
「茂木、昨日のって」
「どうやらお前も俺と同じ状況なんだな」
「て、天使?」
「ああ。俺も祝福を受けている。アシストだな」
やはり、茂木もラブアシストの被験者だった。
続けて茂木は語る。
「お前と七星ちゃんの関係が、奇妙だったからね。そこから疑い始めたんだ。信頼出来るお前だけに言うよ」
茂木は、自分のラブアシストの力を語る。
「カッコ良く言えば、ラブ・アロー」
ラ、ラブアロー?
「俺は、矢印が視える。お前からは三本、矢印が出てる。高嶺さん、七星ちゃん、八巻さんだ」
「えっ」
ぼ、僕の好きな人たちだ。
「ぼ、僕の気になる人たちだ!」
「そう、俺は恋愛の人物相関図のようなものが視えるんだ。片想いなら一方的な矢印。両想いなら両矢印。付き合ってるなら、両矢印にハートがつく。お前らにはハートが無かった。GW明けに急に付き合いだして、お前もラブアシストの被験者だと勘付いた。以前、ここで本当に付き合っているの?って聞いたのもそれだな」
なるほど。
ハートが無い。
付き合っていないから当たり前だ。
あれ?ハートが無い?
ハートは無いけど、両矢印だったのか?
気になる。
「や、矢印は・・・?」
「おいおい、俺の秘密だけじゃなくて、お前の事も教えてくれよ」
「ぼ、僕は・・・」
僕はタイムリープの説明をした。
1日1回5分までしか使えない事。七星が天使で身体に触れないと使えないこと・・・などなど。
タイムリープなんて誰も理解してくれるわけがないと思っていた。なぜなら証明が出来ない。しかし、茂木は分かってくれた。
「なるほど、それであの日、高嶺さんにフラれた後に七星ちゃんとハイタッチしたのか」
「でもその日、タイムリープは起きなかった」
茂木は少し考えている様子だ。
「俺はお前の告白を見てた。ずっと矢印が出てたのを覚えている。もし、仮に天使の祝福が無効化出来るのならば、俺の矢印も見えなくなったはず」
なるほど。
「つまり、故意にお前だけのタイムリープを無効化出来る力を持つ奴がいるという事じゃないか?」
その通りなのだが、なんだか今日の茂木はすごく頼もしいぞ!
ただ、それより。
「と、ところで、僕に向かっている矢印とか、あるわけ?」
「ああ、悔しいけど2本あるよ」
にぃ〜、にほん!?