表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.02 それを使う人たち
43/185

4-3.地獄絵図


場所を移して、加津代食堂にいる。

久しぶりに入るその食堂には、やはり店主の加津代さんはいない。


テーブルを挟んで向かい合う。

雨が降ってきて、喋らない間はざぁざぁと外の音が聞こえた。


「親睦会は、スポーチョってところでやるみたい」


スポーチョとは、ミニゲーム程度のスポーツが色々出来る複合施設だ。僕は行ったことがないが、テレビコマーシャルでよく見る。


「そこでチーム戦で様々なスポーツをやるみたいなの。勝利チームはなんと、皆んなで持ち寄ったプレゼントを総取りできるみたい!」

七星は目を輝かせている。



「た、楽しそうだね」

僕は同調してみるが、運動神経など無い。正直地獄絵図だ。やはり参加は控えたい。


「私とアンタはミーコが空気を読んで同じチームにしてくれるみたいよ。そこで適当にいざこざを起こすのさ」

「なるほど」

「それで、喧嘩別れ」


なるほど。

付き合って早々、喧嘩別れのシナリオか。

後ろめたさはあったけど、いざと言うと正直切ない。


切ない、という感情を僕ははじめて知った。

飼っていた小動物が死んでしまうものとは全然違うのだ。



「私が最低を演じるから、アンタから別れようって言ってね」




いや、ダメだ。




「それは出来ない。僕が最低を演じるから、七星から別れを切り出してほしい」



僕が嫌われるべきだ。

七星にそれをやらせる事は出来ない。

なんなら、別れたくない。




「私がやらないと。アンタの印象が下がる。高嶺さんもいるんだよ?」

「そ、それは譲れない」

「だいたいさ、アンタに悪人みたいな事出来るわけ?」

「そ、それは分からない。でも、ここまでやってもらって、七星に迷惑をかけたくない」

「分からず屋ね。アンタ」

「それでいいよ」



しばらくの沈黙。



「親睦会は6月20日。それまでに色々練習しないと。アンタ、見るからに運動神経無いでしょ?演技と運動の練習するわよ」

「わ、分かったよ」


いつの間にか僕の参加は決定していた。



そうか、今日は6月の1日。



七星との仮のお付き合いも3週間を切っているのか。



やはり、切ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ