4-1.それを使う人たち
【chapter.02 それを使う人たち】
秘密と言うのは、誰かに言いたくなるような情報と言っても過言では無い。
僕もこのラブアシスト制度や七星の超能力など、出来れば皆んなに話したいぐらいだ。
それは他の被験者にも言える気がする。
僕のタイムリープ失敗の件を考えると
天使の祝福、それを使う人たちが他にいるはずだ。
もしかしたら、互いの力で、互いを助け合ったり出来るかもしれない。
僕はそんな思いを秘めて登校する。月が変わって6月の1日になった。
「おはよう茂木」
「おはよう」
僕は茂木が被験者ではないかと疑っている。
というより、被験者かどうかを探るにしても、仮に他の天使がいた場合、天使に密告されないように、天使ではない事が分かる人間をチョイスしなければならない。
茂木は良く知った仲だし、転校して来た訳でもない。天使である可能性は低いのだ。
何より、僕は茂木と近しいし、似ている。恋愛をサポートする制度なら僕と茂木は近しい存在だ。
僕は、ある質問を考えた。
「なぁ茂木、天使っていると思う?」
ズバリこうやって聞いて、反応を見る。しかし、茂木の答えは想定外だった。
「そりゃあいるでしょ」
僕は戸惑う。まさか、茂木も被験者!?
「ガーディアン様はマジで天使」
ガーディアン様というのは、カードの絵柄の事だ。
「あ、そう」
茂木に期待した僕が馬鹿だった。
「おっはよー!」
七星が教室に入ってきたので、僕は茂木とカードの話を始めた。
七星が僕の脇腹を突く。僕はびっくりして、机が揺れた。
七星が急に耳打ちをしてくるので、ドキドキする。
(ちょっと話があるから、今日一緒に帰ろ)
僕は頷いた。
なんの話だろうか。
もしかしてコールセンターに電話したことがバレたのだろうか?
その日の帰り、七星と帰ろうと教室を出ると、茂木が立っていた。
「天使ってラブアシストの事だよな?」
え?
何を言ってるんだ、茂木?