2-3.ヘアアイロン
翌日。
僕は緊張していた。
若干のほとぼりが冷めたので、今日は七星とは登校していない。
僕はひとりで早めに学校へ行く。
扉は開いているが、教室には誰もいなかった。
とりあえず自分の席に着き、とりあえず頭を抱えた。
ーーー昨日のメール、読み返したら、僕自身意味が分からない!
昨日、高嶺さんからのメールに対し、僕はお近づきの印にお菓子を持っていくと返信したのだ。
そもそも、お近づきの印ってなんじゃそりゃ!お菓子持っていくってなんだかお金で解決するみたいじゃないか!
とりあえず僕はグミを買い、持ってきた。
オススメのグミとして、高嶺さんにプレゼントするのだ。
しかし、いざ学校に来ると緊張してしまう。
ーーーその時、がらり、と教室の扉が開く。
「おはようございます」
にっこりと微笑む高嶺さん。黒髪ロングで整った顔立ちの高嶺さん。清楚ながらスカートはやや短めの高嶺さん!
何時に起きて準備すれば、この時間にこの姿で登校できるのだろうか!サラサラの髪はシャンプーやトリートメントのお陰なのか!?それともヘアアイロンをしてるのか!?
「あっ、おはようございます!」
高嶺さんは僕の斜め前方の自分の席に座り、カバンから教科書を取り出し、机に入れる。
その所作ひとつひとつが、とても美しい。
ーーー僕は勇気を出して、高嶺さんに近づき、話しかける。
「き、昨日の、メールのやつ!」
僕はグミを差し出した。
「うそでしょ!?」
あの高嶺さんが、あまり見せない驚き方を見せた。何に驚いたのか。
僕が本当にグミを持ってきたことにだろうか?
高嶺さんが、カバンから袋を取り出す。
同じグミが出てきた。
「私も、好きなお菓子をお渡ししようと思って。。。」
「す、すごい、い、一緒だ」
僕と高嶺さんは、些細な奇跡を共有し、微笑んだ。
僕は同じグミの奇跡よりも、高嶺さんがお菓子を持ってきてくれたことが嬉しい。
「そ、それじゃあ、これ」
「私からも」
同じものを交換する、物理的には意味の無い行為。
僕は幸せを感じていた。




